今回はドイツのシンフォニック・ロック・バンド:GROBSCHNITT グロープシュニット。 ラテン、ブルーズロックのグループを母体に’70年に結成。‘90年頃には解散。ハードなシンフォニック・ロックが基調で、初期2作品はサイケデリック色も加味しており、混沌を極めていたジャーマン・ロック・シーンの中でも異彩を放っていた。この調子で90年代まで活動していたら、アモンデュールやカンと比肩される高い評価をも得ていたことだろう。しかしながら………

 ファースト・アルバム「Grobschnitt 冥府宮からの脱出」はサイケデリックな要素が強い名作となった。エロックのドラミングにはかつてバンドのルーツともいえるラテンのエッセンスをも感じることができる。
Grobschnitt
グロープシュニットの1stアルバム。ロックはテクニックではなくスピリットであるということを証明した(?!)アルバム。1972年作。

 セカンド・アルバムは更に呪術的要素を加え、大道芸を覗き見る如くな唯一無比の世界を体現させてくれる。そのくせ意外とメロディアスな部分があるのもこの頃のグロープシュニットの特徴である。
Ballermann
グロープシュニットの2ndアルバム。LP2枚目は名作「Solar Music Suite」。おどろおどろしたところが魅力。1974年作。

 しかしグループは3作目「JUMBO ジャンボ」できれいなメロディーで聞きやすいシンフォ・ロックへと軌道修正。まだクセのある演奏は健在だが、大道芸を鑑賞するような魅力は半減。
Jumbo
3rdアルバムでいきなりコミカルなジャケットデザインに変化。内容も聞きやすくわかりやすいサウンドに。1975年。

 さらには’77年にこれぞお伽の国のシンフォ・ロックというべき「Rockpommel's Land」を発表。素晴らしいテクと緻密なアレンジで耳障りの良いサウンドを展開。一部で高い評価を得たが「このテのサウンドは今はどこにでもある。グロープシュニットがやる必要はない。」と昔からのファンは彼等の前から去っていった。
Rockpommel
かつてのおどろどろサウンドのファンに鉄槌を打ち込んだ4thアルバム。変身の影にはNOVALIS ノヴァリスの(ちょっとした)成功があったのかも。1977年。

 翌年2ndアルバムに収録されていた「Solar Music Suite」のライヴ版『Solar Music Live』をリリース。このライヴはグロープシュニットの魅力満載といってよい内容で、傑作です。が、新作ではないですからねぇ。せめて「Jumbo」の前後にでもリリースされていたら……。「Rockpommel's Land」の後では評価も微妙です。
Solar Music
おどろどろ全開のライヴ・パフォーマンス。リリース時期を誤ったものの、傑作。1978年。


[おまけ]
EROC
グロープシュニットのリーダー=ドラマー:エロックのファースト・ソロ・アルバム。捕らえどころがないといおうか、中途半端といおうか、印象を語るのは難しい作品。決して駄作ではないと思うんですけどね。1975年。