佐伯俊男の緋匡

 欧米人はよく、日本人は好色だという。彼等はわれわれを揶揄するために放った言葉なのだろうけれど、少なくとも自分にとってこれは褒め言葉である。われわれは色を好むが故に様々な美を認識し、それを演出・具現化することができるのだと思う。そして、そんなわれわれの代表者が佐伯俊男なのだ。
 彼はモラルの檻を破り、それをエロスの美へと転化して衝撃的なポルノグラフィーを描いた。特に1972年発行の『緋匡(あかいはこ)』は各国でセンセーションを巻き起こした。なんと同年に発表された(ジョン・レノン&ヨーコ・オノの)プラスティック・オノ・バンドの「SOME TIME IN NEW YORK CITY」のレコード・ジャケットの中に佐伯俊男の絵が掲載され、音楽ファンをも巻き込み、一躍時の人となってしまった。

(写真はジャケットの一部で、佐伯の作品は右下部分。)
John&YokoAlbum

 この絵、実は左側だけを掲載したもので、右側には学生服を着た男(弟か彼氏)が女生徒の血を顔面に浴びながら、女鬼に下半身を裸にされて股間をまさぐられ、恍惚としているのだ。
佐伯俊男の緋匡右

 どうです、佐伯俊男の絵は。いやらしい?最高?
(1972年発行『佐伯俊男彩色画集 緋匡(あかいはこ)』より)