シンクはステンレス製の業務用だった。


確かに、木造の注文住宅の新築では、少ない選択であろう。

彼女に聞いたところ、工務店のメニューから、キッチン回りは外されたらしい。

理由は分からない。

知り合いの方の器用な人に頼んだのとか。


こうして、書いてみると何ら違和感など、ないのかもしれない。

こちらの先入観が偏っているということかもしれない。


ただ、普通でないと思う。

目に してるものが、まさしく普通でないのだ。


ステンレスのシンクは、リビング側に向いての作業の、対面式なのだが、

そのシンクの背面に建築用の構造用合板を

張ってると思われ、

それは、ある意味何ら違和感がないのですが、

シンクの背面壁の上に、いわゆる面台( カウンター)があり、そして、リビング側に半円状のカウンターがあるのだけど、

このバックにこれも構造用合板が使われている。

厚みは、どちらも25ミリあり、しっかりしてるのだけど、

まるで、そのままなのだ!

構造合板は、主にフローリングの下地( 捨て張りとも言う )に使用され、その上に各種、星の数ほどある、フローリングが施主の好みに合わせて張り付けられるのだ。


その、合板を堂々とリビング側に塗装もせずに、その柄と言えば言えなくもない、

合板のうねった木目を見せてるのだ。

しかも、その断面をそのまま隠しもせずに、二枚の合板は隙間を開けてシンクの横を通る時、その構成が丸見えなのだ!

合板の合板たるその合板の構成断面を、

惜しげもなく、さらして、なんとなしの隙間もある。

「 そういえば、こないだこの隙間からゴキちゃんが出てきた! きゃはは 」

若干 二十歳のこの家の長女は 楽しげに笑うのだった。


この屈託のなさは どうだ!

何一つ、

コーディネート とか、

こうでないと とか、

こうじゃないの とか、

へんでしょ!

おかしいでしょ!

なんて。


なに、なに? なにが?


揃ってないでしょ!

なにもかも!


統一感の整合性のハーモニーがないし、

センスの調和の

何より、 デザイン!がない!!!


                                      ・


デザインがない!

デザインされてない!

ノンデザイン!


意図のない、意匠。

屈託なく、いきいきしてる!


とっても あったかで、楽しそうで、

家族の ( 4人兄弟、1番したまだ二歳! )

写真とかそこここ貼ってるんだけど、

そのまま、楽しそう!


ハゲハゲの床板、温かキモチいい。

白い壁、クロスかと思えば、ペンキでした。


たぶん、間違いなく、お家の人、

住宅建材のカタログが 好きでないのでしょう!


実は、この僕も某メーカーの

メラミンだの、ポストフォームだの、受注生産だの、オフセットだの、ケーシングだの、特注品だの、

実は、何でもかんでも 中身はMDF!

ただし、色合わせの納期3ヶ月!


大 大 大キラい!


なのだ!すっきりした。


木はね、

経年で色が変わり、最後は銀色になるの。

雨に当たっても、

またお日さまに照らされたら、

なんともいい、温もりになるの。


そこで お昼寝したら サイコーに

キモチいいよ!


お家つくりは、お仕事ではありません。

では なんなの?


楽しいけど  やっぱり

むつかしいのかな。