翌日、午後から、女房と山陰の旧い町並みに

ぶらり散策してきた。


その町は、古くから竹細工の町で、

天皇陛下に献上したモノもあるとか。

涼しげな竹の和紙張りの団扇 

その団扇置き・・


用の美 極まってるけど、 

用がなくなってしまってる・・


竹も 用と、不要と、厄介ものの間を

そよいでいるのだ。


日が暮れて家に帰り、ビールを呑んでて、

なにやら、胸のあたりがゾワゾワと・・


そうだ!

あのままだ!

夕べの、葛のガードレール括り、あのままのこと、

思い出したのだ。


ヒドイ奴だ!


(いや、あれは、一種の実験のつもりで、

ああして、葛と地球を結んで、テンション掛けたら、どっちがどっちに、引っ張られるか・・)


なんて、こころの奥で、言い訳考えながら、

ハサミを持って、現場に行った。


(多分、科学的には、1日の成長で、葛が成長し、

蔦らがダラリとなってる筈なのだが・・)


そんなでもなかった。

少し、緩んではいたけど、痛々しく、そのままだった。


やはり、どうあがいても、言い訳考えても、

カンダダの二の舞いは、免れまい。



そして、その時、その脇に宵闇に仄かに灯る、

薄黄色の千代紙に気づいた。


腰くらいの高さに咲いた、月見草だった。


おやじが、前日の夕方、

奮闘したガードレール回りの草刈り!


伸び切った、草や、葛と格闘して、

「くぬやろ!くぬやろ!!」

なんて、してる時、目に入った、

まだ、眠ったままの、昼間の月見草、


足元、の茎キズ付けないよう、細心の注意で、

周囲の草を 刈る。

今までも、ずっとやってきたことだ。


傍で、葛がグズグズ言ってるだろ。

「くぬやろ!くぬやろ!! 憶えとけよ!」

なんて言ってるかもしれない。


勝手なもんだ。


弱々しく、儚い出で立ちで、

奢ることなく、

川の上の、山蔭から覗いた、月を見上げてる。


そうこうしてるうちに、

川の葦の間から、蛍が舞いだす。


近所の家族連れも、やってきた。

子どもがはしゃいでる。


月見草に、蛍に、月蔭・・ 子どもたち、


カンダダは、自身の業を忘れて、


静かに微笑んだ。