深夜零時頃、大阪を出た列車は、ひたすら真夜中の沿線をひた走る。

眠ってる街並みのカーテンの向こうは、

どんな家族が暮らしてるのだろう。

同じ時代の同じ国に生まれ、

同じニュースに触れ、

同じバラエティーを見ながら、同じところで、同じように笑ってる かもしれない、

生涯、重なることもない人たち。

ムリもない。

同じマンションで暮らしてても、

隣人と挨拶もしないことの、

この国の現代のルール。

挨拶も、ふれあいも、目を合わせることさえも、[ 人に迷惑をかけない ] 

最低限の マナーなんだろ。


にしても。


幼稚園の運動会やめろ!

祭はうるさい!

除夜の鐘やめろ!

そっちのほうが、よっぽど非常識だろ!!

カメラで撮るな!

声かけるな!

笑いかけるな!


下向いて、スマホ見てろ  てか。


深夜の暗い闇を走る列車が

大脱線したけど、

皆さん寝てるまに、また戻りました。


つまり、

夜の風景は、ないのです。

あるのは、黒く暗い窓ガラスに写った、

自分という、表情のない横顔だけなんです。

一人遊びの好きな僕も、さすがに

ガラスの自分に、微笑みかけたり、

変顔して、おどけてみたり、しないのです。


これが、ほとんどの一人旅の風景なんです。


♪ 列車の窓に僕の顔が写る

    なんてみじめな姿なんだろう

    たわむれだと思っていた恋に

    打ちのめされるなんて

    こうして誰もが大人になっていく

    そんな話をどこかで聞いたっけ

    人間同士の辛い別れという劇を

    今 僕が演じている     ♪


みなみらんぼう  「 ウイスキーの小瓶 」


中学校の頃、ラジオの深夜放送を

カセットテープに録音して、聞いてた。

アリス、井上陽水、チューリップ等々


この曲は、50代過ぎてから甦り、

カラオケでも、よく歌うお気に入り。


死ぬまで、自分をやめられない。

死ぬまで、自分の影から離れられない。

車窓の窓の自分に気づくのは、

いつも一人。

少し、にらんで、

少し、にんまり、

そのままでいい。

もうしばらく、そのままいこうや。


あの役者のように、やって行こうか。