映画「黒い十人の女」について少し |      生きる稽古 死ぬ稽古

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ー毎日が おけいこ日和ー
        

比較的、新し目の映画から感想を書いていこうと思ったんだけれど

いやいやいや、なかなかすごい作品を観てしまったので

こちらから書いていきます。

 

 

あ、画像ちっちゃあせる

 

 

↑こっちの方がわかりやすいかな?

1961年に公開された市川崑監督の作品です。

 

サスペンスということだけれど、

あんまりサスペンス的な要素はないです。

 

女優陣がともかく豪華

 

 

山本富士子、岸恵子、宮城まり子、中村玉緒、岸田今日子

 

すごい面々が画面を彩ります。

そんな中、主演男優である船越英二がいい味出してます。

ものすごいはまり役!

 

山本富士子が正妻、船越が夫です。

この男、浮気者で九人(いや、実際はそれ以上)の女性と浮気を繰り返しています。

女たちは、この男を巡って争ったり共闘したり…。

 

ストーリーはそれほどおもしろいものじゃないんだけど、

この白黒の映像がものすごくオシャレなのと

画面の切り取り方が素晴らしいの。

 

そして女優さんたちはみんな魅力的だけど、

何と言っても山本富士子の正統派美人としての美しさと

岸恵子の上品なお色気。

そして宮城まり子のどこか庶民的な愛らしさ。

中村玉緒は切れ味のいい若さを発揮しているし

岸田今日子は陰りのある雰囲気はこの頃から。

 

そして、当時の言葉遣い。

 

「あぁ〜た(あなた)」とか

「ござぁ〜ますのよ(〜なのよ)」とか。

 

山本富士子が話すのを聞いていると

もう今では誰も使わなくなった話し言葉が散りばめられています。

 

映画の冒頭で山本富士子が何者か(愛人たちなんだけど)に

追いかけられるシーンは、ヒッチコック的なドキドキ感があるし、

 

 

 

↑妄想の中で、男をみんなで殺すシーンは

フェリーニの「サテリコン」を彷彿とさせるような

殺伐としているのに、

そこに凛と美が存在している。

 

こんなに美しくセンスのある日本映画にはなかなかお目にかかれません。

 

あ、そうしてね。

<ハナ肇とクレージーキャッツ>

登場します。

テレビ収録のワンシーンとして出演しています。

 

市川監督が大ファンだったために

実現したのだとか。

(病気療養中で石橋エータローだけが出ていません)

 

本当にワンシーンなんだけどね、

とってもいいんですよ、このシーンがデレデレ

 

船越英二の演じた男には

実際にモデルがいるそうで、

そのこと自体にも驚かされましたポーン

 

個人的には

「キューポラのある街」や

「どですかでん」と

同じグループに入ってもらいたいような名作でしたラブラブラブラブ