アーティスト、を考える |      生きる稽古 死ぬ稽古

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ー毎日が おけいこ日和ー
        

皆川公美子さん主催の

辻信一さんのお話会+「サテシュの学校」上映会に行ってきました。


上映会の模様は、公美子さんが

それはそれはくわしく、書いてくださっています。

 

で、私は映画をみながら

直接、映画の内容とは関係ないかもしれないことを

考えてみたので、

そのことを書いてみます。

 

「サテシュの学校」という映画には

みんな、特別なアーティスト

という副題がついています。

 

私は、そのアーティストという言葉について

考えてみたのです。

 

日本語のアーティストっていうのは

有名人、とか

芸能人、とか

芸術家、とか

ミュージシャン、とか

いろんな人のことを指しています。

 

私の中では

アーティストというのは芸術家のことでしかなくて

しかも、その芸術家というのは

作品をみているものに、

作品に出会ったものに、

ものすごい衝撃やら、感動やら

それこそ人生を変えられてしまうような、

そんな素晴らしい作品を残した人たちのみに与えられる

言葉だと思ってきました。

人生をかけて、

命を削って、

作品を生み出しているような人たち。

そういう人のことを

芸術家、アーティストと呼ぶのだ、と

そんなふうに解釈していたのです。

 

私はイラストを描いたりしておりますが

「アーティストさんですね」

などと言われると

「めっそうもない」

と思ってきたものです。

 

テレビをみておりますと

もう、猫も杓子も

アーティストが溢れていて

(な〜〜〜にがアーティストじゃい)

と、心の中で憎まれ口を叩いたりしていたものでした。

 

神様の前では

敬虔な気持ちになり

膝を折って

お祈りを捧げます。

 

私は芸術に対しても

膝を折って

気持ちを捧げるような

そういう気持ちを崩したくないのです。

 

芸術というのは

そういう、なんというか

一言では言えないんだけれど

凄まじさも含めて

ものすごい、とんでもない

魂を揺るがすような

そういうものだと感じているんです。

 

だからまったく個人的に、

アーティストという言葉は

とても神聖であり

軽々しく使っていいものではなく

本当に本当に

素晴らしい作品を生み出した人たちのみに与えられる

特別な言葉であったのです。

 

ところが最近、

英語の先生から

「アーティストというのは

手を使って何かを創造する人のことを言うのですよ」

ということを教わりました。

 

絵を描く

書を書く

工芸品を作る

染色をする

などなどの作品を作る人は

アーティストです。

音楽を演奏する人は

ミュージシャンです。

歌を歌う人は

シンガーです。

というような説明をしてもらいました。

 

その説明を聞いた時に

な〜るほど!と思いました。

もちろん、それを聞いたからといって

わたしの芸術に対する畏敬の念が消えたわけではありません。

けれども、アーティストという言葉は

単なる職業区分だと捉えてもいいのではないかと、

なんとなく、言葉の捉え方が緩くなったのでした。

芸術ということとは別のところで、

アーティストという言葉は、

私にとって、

すこし身近な、フランクなものに

変わってきたように思います。

 

そんな中、

サテシュさんは

「みんな、特別なアーティストですよ」

ということを言われたわけです。

 

あぁ、そうだよね。

みんな手仕事ができるよね。

自分の手を使って

なにかを創造していけば

それはアーティストである

ということなのだよね。

 

というように、

すぅぅぅっとつながっていったのでした。

 

私が子どもの頃は、

近所に住んでいるオネエチャンたちは

み〜んな見事なまでに

手仕事が得意でした。

 

わたしが持っているタミーちゃんという人形に

余っている布で着物をこしらえてくれた

オネエチャンもいましたし、

夏休みの宿題の相談には

毎年乗ってくれて

手芸や刺繍の手ほどきをしてくれる

オネエチャンもいました。

 

私よりすこし上の世代の人たちは

みんな手仕事が得意だったように思います。

自分の身の回りのものは

なんとか工夫をして

自分でこしらえたりしていたみたいです。

 

そういうところに

たちかえろうよ

 

とサティシュさんは言っているように感じました。

 

使いにくくなった道具には手を加え

植物たちを育てて

自分の手で作れるものは作ってみて

不必要なものは手放して

そうやって生きていこうよ

 

とサティシュさんは言っているように感じました。

 

彼のいうアーティストとは

そういうことだと思うのです。

一人一人が

そうやって生きていこうよ

と言っているのだと思います。

 

私もこれから

もっともっと、

手仕事というのを大切にしていこうと思います。

 

「サティシュの学校」という映画については、こちらでどうぞ!
 

https://youtu.be/pztf1jKJuu4

http://shop.yukkuri-web.com/archives/889