「それで被害者は倒れてたんですね?」


「はい 雨の中倒れてたので、どうしたんだろうと思い様子を見たら…」


警察は第一発見者に事件現場の様子を聞いている所だった。


「あなたはコンビニから帰る途中に倒れている被害者を発見したんでよね?」


「はい そうです。家からコンビニが近いので、よく行きますけど…」


「あーだから傘も差さずに濡れているんですね」


「めんどくさいですからね」 発見者は少し笑いながら言葉を返した。


「その時周りに何か不審者らしき人物とかいませんでしたか?」


「いやーわからないですねぇ そんな周りを見て行かないですし


雨で濡れるので早く行って帰りたいとおもってましたからねぇ」


「あーなるほど まぁですよね んーわかりました。


また何か思い出したら連絡下さい。」


「はい わかりました。」


「それで被害者の人は無事なんですか?」 発見者は少し気になりながら聞いてみた。


「んー発見がもう少し遅れてたらやばかったかな 君は命の恩人かもしれないな」


捜査員は少し褒め称えたような感じで返事を返した。


「もう少ししたら被害者の旦那さんが来る頃だ。 もしあれなら待ってるといいよ


旦那さんもお礼がしたいだろうからね。 まぁまだ奥さんの容態も知らないからテンパッってると思うけど」


捜査員は少し余裕のある笑いをしながら発見者に言い残し病院の外に出ていった。


「そうかぁ…生きているのか…」 発見者はぽつりと言った。






着信音が鳴っている


仕事を片付け会社から出た時だった。


将彦は誰だ?とめんどくさそうに上着の内ポケットから携帯を取り出した。


番号通知? 「誰だ?」


将彦は自分の知り合い、会社関係、一度でも番号の交換をした相手は


ちゃんと登録してあるので、知らない番号から掛かってくると少し不安になる。


だから基本番号通知で掛かってきたのは携帯を出ないでそのまま放置が多い


「んーなんか嫌な予感がするな ほっとくか」


将彦はそのまま携帯を上着の内ポケットに戻した。



「そろそろ帰ろっかな 怒られるの嫌だし」


幸太は学校帰りに友達の家に寄りTVゲームで遊んでいた。


雨が降ってきたを理由に雨宿りをしていたと親に言い訳を言うつもりで


友達の家に寄ったのだ。


「もう雨止んでんだね わからなかった」



友達が窓の外を見て言う。


「この先のステージがすげー気になるんだけどなぁー 帰らないとうるさいし


晩飯抜きって言われちゃうかもしれないしな」


幸太は冗談を言いながら帰る仕度をしている。


「ハッハッハッハーそれはあるねー俺んちなら確定だよ」


友達も笑いながら冗談を言う


友達に玄関まで送られて幸太はまたねと手を振りながら


早足で家に向かった。


ウーーウーー


「なんだろ?すごく騒がしいな?」


幸太は水溜りを飛びながらサイレンが鳴っている方向に目をやった


「なんか事件かな? なんだろ気になる…見に行ってみようかな?


でもなー腹減っちゃったからなー どうせニュースとかでやるかもしんないし帰ろ」


幸太は幸太の帰りを待っている母親がいない家に急ぎ脚で向かう



携帯が鳴っている


将彦はまたかと上着の内ポケットから携帯を取り出した。


会社からだ。「何だろう?なんかミスでもしたか」


誰から掛かってきたかわかっても会社からとなると出るのも嫌なものだ。


仕事が終わって帰る途中で掛かってきたのならなおさら不安もよぎる。


「はい牧野です。」


「あっ牧野さんお疲れ様です。」


「おうお疲れ どうした?なんかあった?」


会社の後輩からだった。口調から俺のミスとかでは無さそうだ


少しホッっとして後輩に用件を聞いた。


「なんか警察から電話があって牧野さんに至急電話をくれって事です。


さっき電話したんですけど出なかったので会社に掛かってきたんですけど」


「警察?」将彦は無駄な不安を募らせた。


「あーわかった…なんの用だろなんか怖いな」


「明日の新聞期待してます!それじゃーお疲れ様でした」


後輩は冗談交じりで電話を切った。


将彦は馬鹿野郎と少し笑いながら携帯を切った。


さっきの番号通知は警察だったのか


一体なんの用だろ?とりあえず警察に掛けてみるか


将彦は警察に問い合わせた所至急病院に来て欲しいとの事だった。


妻が何者かに刃物で刺され重症だったとの事


将彦は訳がわからず指定された病院を頭に記憶した。


刺された?妻が?何故?


日常で人が襲われると言うニュースは毎日観ている。


ただTV越しであって現実人が襲われ殺されるなんて自分の周りではありえないと思っていた。


被害にあった遺族を記者がインタビューをしているのを見ると可愛そうだと思う


ただTV越しでそう思うだけであって、TVを消せば忘れてしまう。


自分は関係ないからだ、


この先そんな事件に関わるなんて一生ないと想いながら生活をしていた。


それが…妻が…刺された?


将彦はタクシーを拾い指定された病院に向かった。



さいきんの映画やゲームは過激な表現が多い


R指定も今じゃ当たり前になってきた


見せてはならない表現


でも観てはいけないと思うと観て見たいという感情


そんな物もPCで観ればすぐ動画がUPされている。


このゲーム、映画を作った人間は何を求めて作ったのか?


なんも無い抗体を持った今の子供たちにこんな過激な物を見せてしまったら


未成年犯罪が増えるに決まってる。


もっと夢のある物を作るべきだ!


罪の意識なんて薄れるに決まっている。


法で裁かれて罪を償うって事は、ゲームでいうペナルティーみたいなもんだ


リセットを押してまたスタートからやり直せばいい


その繰り返しだ………多分


後藤はあの事件以来外に出ず


ただPCやTVと睨めっこをしていた。


自分の犯した罪を正当化する為の答えを探していた。


「なんでこうなった?」 


「俺…人を殺しちまったんだ…?」


「あの映画が悪いんだ…あんな映画を観たのが悪いんだ…


あんな映画を観ていなかったらあんな気持ちにもならなかった筈なのに…」


後悔を繰り返しては自分は悪くないとひたすら思い


締め切ったカーテンをチラッと開け顔半分を恐る恐る出しながら外を眺めた


雨が降っている


「フッ…」


後藤は鼻で笑い何か開き直ったかのように


着替えを始めた。


「こびり付くこの想いを剥がし落とすにはもうやるしかない…


うっとしいんだ。めんどくさい過去なんて!」


様は慣れてしまえばいい


殺人を


誰でも構わないやってやる…


後藤は雨の中ナイロンJKのフードを被り


外に繰り出した。


ポケットには護身用のナイフが入ってる。