椅子に座ってただ黙って憲子を見守っていた


将彦は自宅へ連絡を入れた後すぐさま憲子のいる病室に向かった


憲子はまだ眠っている。


見た所ひどい傷も無く傷として残るのは刺された脇腹だけだろう


将彦はドッと疲れが出たのか椅子の吸い込まれるかの様にドスンと腰を下ろした


「はぁ疲れたぁ まぁ無事ならいいけど」


将彦は無意識のまましゃべっていた


それから1,2時間ぐらい憲子を見つめたまま何も考えずにただ座っていた


病室の窓から風が入り将彦の神経を通り過ぎた


「はっ!」


将彦は一瞬びっくりして今自分が何をしてるのかと立ち上がり周りを見渡した


「風かぁびっくりしたな 外暗いな今何時だ?」 将彦は腕時計を見た


「もうこんな時間か やばいな幸太を待たせてしまってるなこりゃ


とりあえず今日は帰るか 憲子も無事みたいだしまた明日幸太と来るか」


将彦はそっ病室のドアを閉めて急いで静かに階段を下りた。


病院を出てタクシーで家の近くまで行き途中でコンビニに寄る為に近所の


コンビニで降りた


コンビニでおにぎりやらお弁当を買い家に向かうと見覚えのある人物を見かけた





「あの近辺で事件らしい事件は見当たらないですね」


一人の刑事が手帳を見ながら答えた。


「怨恨か…通り魔か…か」


新木はつぶやいた


「怨恨ですか?」 刑事は新木を見て聞き返した。


「まぁわからんけどな どっちにしろ犯人はいるって事だな


早めに犯人挙げないと次の犠牲者が出るか… 


このさ後藤って奴どんな奴だ?」 新木は事故現場で撮られた写真を見て尋ねた


その写真には現場位置に指を指した後藤が写っている。


雨上がりで服が濡れている様子だったが新木は後藤の左脚の靴を凝視していた。


「フリーターらしいです。年齢は27歳 現場近くに住んでますね。


まだ詳しい事は後日調書取るときに聞くって事なんで今のところこんな情報です」


「ふーん 病院で見た時とこの写真の顔まるで違うな」


新木は写真を見ながら少し考えこんだ。


「何時後藤は来るんだ?」新木は写真を見ながら尋ねた。


「明日の昼ですね」 刑事は手帳を見て確認した。


「なるほどね 時間に余裕が出来るって事かぁ」 新木は独り言の様にしゃべった


「まさか新木さん後藤が犯人なんて思ってたりします?」


「住所教えろ 少し見てくるわ」 新木は上着を取り刑事から住所の書いたメモを貰った


「あーあ あーなると新木さん駄目だな」


「いつもの事だろ 犯人じゃないって分かれば何食わぬ顔して戻ってくるよ」


二人の刑事は新木の自由行動を見て少し愚痴った。





「出ないな…」


前の矢部は幸太の顔を見つめながらつぶやいた。


しょううがない病院に連れて行くか…?


自分の親が病院に入院しているのに家で待ってるなんて出来ないしな


前の矢部は後ろの矢部に軽くうなずき後ろの矢部もそれに察して行動を


起こそうとした時に家の電話が鳴った。


幸太は迷い無く電話の方向に近づき 「お父さん!」と電話を出た。


「おぉ幸太か よかった一人で心配させてしまったな ごめんよ」


「お母さんは大丈夫なの?僕のお母さんに会いたいよ」


幸太はまた涙を流しながら将彦に聞く


「お母さんは大丈夫だよ。 お父さんも少しお母さんに会ってから帰るから


明日また二人でお母さんのお見舞いに行こうな 今日はもう遅いから


お母さんも疲れちゃうし」


「……わかった」 幸太は何かを察して素直に言った。


「よし!すぐ帰るから待っててくれな それから家に警察の人来なかったか?」


「いるよ お父さんに依頼されて来たって言ってたけど」


「!?依頼?か んまぁそんなようなもんか じゃーちょっと電話変わってくれないか」


「うんわかった」 幸太は前後の矢部を見つめどちらと交換するか少し悩んだ。




雨は上がっている


多分家に戻っているんだろう


意識ははっきりしないが 徒歩でゆっくりと進んでいる


雨の濡れたフードJKが後藤の肌にピッタリとくっついて


気持ち悪いと頭のどこかで感じているが別に我慢できる。


後藤は今日自分のした事に自問自答を繰り返していた


「犯人が被害者を助けた…でも罪にはなる…」


警察の捜査で自分が捕まるのは時間の問題かと恐怖した


どうすれば捕まらないで済むか考えたが


後藤の思考は停止していた。


そのまま考えを考えられずに自分の家に着いた。


部屋に入りポケットに入ってるナイフを取り出し


このナイフが見つかったら自分が犯人だとすぐにわかってしまう


そう考えてまずナイフの処分をすることに全力で考えた。


警察に調書を取りにいかなければならないし


それまでになんとかしなければ…


後藤はシャワーを浴びて、服を着替え


部屋を出た。 俺が犯人じゃなければいいんだ


そうつぶやいて後藤は歩き出した。