戦争と平和 第4巻・第1部(11−2)ピエール、銃殺形場へ連行されたのは見学の為だった、しかし疑 | 気ままな日常を綴っています。

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いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

(物語)

ロシア人全ての顔に、フランスの兵士や士官の顔に、例外なく全ての顔に、彼は自分の心の中に有ったと同じ驚愕と、恐怖と、闘いを読みました。

『だが、一体誰が結局こんな事を開いたのか❓皆が俺と同じように苦しんでいるではないか。一体誰が❓誰が❓。。』という疑問が一瞬ピエールの心を過よぎりました。

 

「第86連隊の射手、前へ❗️」と、誰かが叫びました。

ピエールと並んでいた5番目の男が1人だけ引き出されました

ピエールは、自分が助かった事も、彼と残りの全ての者達が単に処刑を見せる為にここに連れてこられたのである事も、わかっていませんでした。

彼は恐怖心をますます募らせながら、喜びも、安堵も感じzUni,目の前で行われる事を見ていました。

 

5人目は、作業用の上っ張りを着た職工でした。

彼は腕に触られると、ぎょっとして飛び退き、ピエールにしがみつきました(ピエールはびっくりして、その手を振り切りました)。

職工は歩く事が出来ませんでした。

彼は両脇から腕を引きずられながら、何やらわめき散らしました。

柱の前まで引きずられて行くと、彼は急に黙り込みました。

彼はふいに何かを悟ったようでした、叫んでも空しい事を悟ったのか、それとも彼を殺す事など出来る訳が無いと悟ったのか、彼は柱の前に立ち、他の人達と同じに目隠しされるものと思って、それを待ちながら、手負いの野獣のように、ぎらぎら光る目で辺りを睨み回していました。

 

この5人目の処刑で、ピエールと全群衆の好奇心と興奮は最高潮に達していました。

これまでの者達と同じに、この5人目の男も落ち着いているようでした。

目隠しをされると、彼は自分で当たりの悪いうなじの結び目を直しました、それから、血で汚れた柱に押し付けると、彼はのけぞるように背をもたせかけましたが、その姿勢では具合いが悪かったので、自分で姿勢を直し、両足を平らに揃えて、静かに柱に背を当てました。

ピエールはその男から目を離さず、どんな些細な動作を見逃しませんでした。

 

号令が聞こえたはずですし、号令に続いて八挺(ちょう)の銃による銃声が届いたはずでした、しかしピエールは、後でどんなに思い出そうと努めても、射撃のどんな小さな音も聞いた記憶がありませんでした。

彼はただ、縄で縛られている職工の身体が急に崩れ落ち、2箇所に血が広がり、縄が身体の重みで解けて、職工が不自然に頭を垂れ、片足を折り曲げて座り込んだのを、見ただけでした。

 

ピエールは柱の方へ駆け出しました。。誰も止めませんでした。

職工の周りで蒼ざめた怯えきった人々が何かしていました。

1人の口髭を生やした年寄りのフランス兵が、下顎をがくがく震わせて、縄を外していました。

体が地面に崩れました。

兵士達が不器用にそそくさとそれを柱の陰へ引きずって行き、穴へ押し落としにかかりました。

 

誰もが、明らかに自分達が犯罪者で、犯行の跡を早く隠さねばならぬ事を、疑いも無く知っていました

 

穴がすっかり埋められると、号令が聞こえました。

ピエールは元の位置に連れ戻されました。

柱の両側に向き合って整列していたフランス兵部隊は、それぞれ左右に向きを変えて、歩調を取って柱の側を通過して行きました。

円陣の中央に撃ち終わった銃を持って立っていた24名の射手達が、中隊の側を通過する時、駆歩で列中の自分の位置に戻りました。

 

ピエールは、今はもう虚ろな目で、2人ずつ駆歩で円陣の中から出て行く射手達を見ていました。

1人を除いて、全員が中隊に合流しました。

死人のような真っ青な顔をして、軍帽を後ろへずり落としそうにした1人の若い兵士が、銃をだらりと垂れて、穴の前方の発射した位置にまだぼんやり突っ立っていました。

彼は酒に酔ったように、足元がおぼつかなく、倒れかかる身体を支える為に、前に後ろにふらふらとよろめいていました。

古参の下士官が列中から走り出て、若い兵士の肩を掴み、隊列の中へ引きずって行きました。

 

ロシア人やフランス兵達の群衆は散り始めました。

皆うなだれて、黙々と歩いていました。

「これが放火の見せしめだよ。。」と、フランス兵の誰かが言いました。。

ピエールはそちらを振り向きました、そして、その兵士が、今行われた事に何か理由を見つけて気を休めようとしたのだが、それが出来なかったのだ、と知りました。

その兵士は、途中まで言いかけて、やっぱりだめだ。。というように片手を振って、歩み去って行きました。。

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(解説)

さて。。いよいよピエールと並んでいた5番目の男が1人だけ引き出されました。

ピエールは、自分が助かった事も、彼と残りの全ての者達が単に処刑を見せる為にここに連れてこられたのである事も、わかっていません。(➡︎これは読者自身もこの時点でピエールが処刑されない事を知り、ホッと胸をなで下ろす所ですね。)

 

5人目の男は17、8歳のとても若いまだ少年ですね。。この設定の言わんとしている所も納得ですね。

この非常に若い男の処刑のシーンは、最もリアルに描写されています。

若い命が終わる瞬間が、あっけないものに描かれています。

流石のフランス兵達も『まるで自分達が犯罪者のよう』に思ってしまうのですね。

自分の息子、孫。。思い出したのでしょうか。

 

彼の死に、思わずピエールは駆け寄ります。

周囲の者も、しばらくは彼を制止する事ができないくらい動揺しているのですね。

 

そうして、死刑執行は終わり、射手達も元の隊列に戻っていくのですが、ただ一人若い射手だけがあまりの恐ろしさに我を忘れてしまって戻る事が出来ません。

彼は古参の下士官に無理に連れ戻されますけれど。。

 

群衆は散って行きます。

その中のフランス兵士でさえ、納得が行かない。。今のはなんだ。。「ああ、放火の見せしめだったのだ。。」と自分に言い聞かせるように呟きましたが、それを聞いたピエールも言った本人も『見せしめでこんな事があるものか❗️本当に放火犯だったのか、奴らは❓あ❓そこまでして、良いのか❓あ❓まだ大人にもなっていないのをなんで殺さなくちゃならないのだ❓。。』」いろんな疑問が心の中を渦巻いているのを認識していたのでした。。そして周囲の者達も。。