マイセン(34) マイセン:カップ&ソーサー フルーツ絵と小花散らし(1775年頃) | 気ままな日常を綴っています。

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今日は、マイセンのマルコリーニ期(1775ー1810年)の初期に作られたと思われるカップ&ソーサーです。

サイズは18世紀のものは小さめです。

カップの直径:約7、3㎝

ソーサーの直径:約12、5㎝  程度です。

まあ、絵付けも大まかな感じですので、決してアンティーク・マイセンによく見られる超絶技巧という印象はありません。

 

この作品は、約5年前、近所の「ギャラリー麻布」で購入したものです。

私が購入した最後のマイセンです。

このお店は、基本的には、フランスの工芸品が得意で、セーヴルの18世紀もの(軟質磁器の上物)や、ガレやドームのガラス工芸品の優れた作品が多くあります。

珍しいな。。と思ったのは「ウイーン磁器工房」のカップ&ソーサーですが、如何せん、ウイーン磁器工房の作品は希少性が高く、有ったとしても贋作が多いので、(そのお店の値段設定が20万円行かない位だったのでちょっと不安)購入はしませんでした。

それで、予算的にもマアマアかな。。というこの作品を購入しました。

 

マイセンで、18世紀物、というだけで、とんでもない価格が付く場合がありますが、これは税込8万円という安さでした。

しかし。。印象は「もう少しお金を出して良い作品を買った方」がbetterですね。

まあ、こうやってブログネタにするには格好の作品例だとは思いますけれど。

 

マルコリーニ期の初期は、絵付け技術の維持が数十年に渡って困難になっていた時代です。

ケンドラーの台頭で、マイセンの作品にはレリーフや彫刻的造形が多く行われ、その為に作品は躍動感と動き、華麗さ(スノーボールなど。陶磁器の花なども。)を得る事が出来たのですが、絵付け部門との協力的作業が行われず、平たい磁器面に思いっきり絵付けしていたヘロルト時代の絵付け技術の維持が困難でした。

そして、ついにヘロルトは、絵付けの教授も辞めてしまっていたのです。

 

このソーサーのフルーツの絵付けは拡大するとそれなりに油絵のような風格があると思いますが、どうなのでしょうね。

一般に、花の絵付けよりも、フルーツや人物、風景などの絵付けの方が難しく価格も高い、と言われていますが、流石に19世紀の後半、もしくはヘロルト時代の花の絵付けの方が表情があります。

 

 

磁器面を斜めにすると、やはり18世紀特有の釉薬の弾けによる点は見られます。

その上に絵付けでフォローしているのは特徴的です。

柘榴なんかも表情出そうという努力は見られます。

きっと、紙の上で平面的に描くのは巧みな絵付け師でしょうが、磁器面に描くコツなどをうまく伝えられていないと思うような仕上がりになりにくかったのかもしれません。

 

ブルーリボンは、この時期の特徴ですが、センスとしてどうなのでしょうね。

おそらくセーブルのブルーリボンの絵柄をヒントに編み出されているのかもしれません。

 

ただ、カップの絵付けは、とても綺麗だと思います。

写真で写していて、今まで気がつかない魅力を感じました。

花の表情もあります。

現代物、特にデパートあたりで売っているマイセンとは、桁違いの絵付けの豊富さですね。

今の時代の新品でこれだけの量の絵付けがあったら、かなりの高額になると思います。

 

器形は「型押し」だと思います。

同じようなカップ&ソーサーがいくつも作られたと推定されます。

なぜなら、これは、恐らく「使う食器」だと思われるからです。

プレートやポット、クリーマー、シュガーポット、トレーなんかもセットとして作られたと思います。

 

18世紀のマイセンの特徴は、このカップの中の絵付けですね。。

本当に、これは嬉しい絵付けです。

まあ、この作品の場合は簡単に絵付けしてありますが、セットで並べた場合は、一つ一つ違う花絵が描いてあったでしょうから、お茶を飲んだ後、どんな花絵が浮かび上がってくるのか楽しみだったでしょうね。

 

マルコリーニ期の双剣マークの特徴です。

双剣マークの下に⭐︎型が描かれています。

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今日はここまでです。

いつも読んでいただき有難うございます💞