前回、ケンドラーの造形の話まで進めましたので、ケンドラー時代に作られたと思われるカップ&ソーサーの作品をご紹介したいと思っております。
本作品は、カップとソーサーににレリーフがあしらわれ、ハンドルは女性の顔があしらわれたケンドラー以降の特徴が如実に現れた作品です。
まず、レリーフのパターンは、「アルト・オツィエ」と言われる物です。
今でこそ、ヘレンドや他の窯の磁器にはレリーフ文様が刻まれますが、本家本元はマイセンです。
ヘロルト時代には絵付けが装飾の主であり、器の形状もシンプルな物がほとんどでした。
しかし、ケンドラー以降、装飾的な形状の器が好まれ、レリーフやハンドルも凝った装飾が付けられるようになりました。
本体のハンドルも、ブリュール伯爵の為に作られたとされています。
本作の花絵は「乾燥した花絵」と呼ばれる事もあり、渋い発色の絵具はマルコリーニ期(1774年~1810年)以前の特徴です。
絵付けの手本となった銅版画の線描も絵付けに取り入れられており、手の込んだ絵付けで現在では再現不能とも言われています。
カップの中にはこの様な美しい花絵が描かれています。
18世紀のカップ&ソーサーの特徴です。
最後にソーサーの表面の釉薬の弾けによる黒点を補う様に美しい花絵が上から施されています。
これもこの時代のマイセンの特徴であり、磁器の欠陥を絵付けで補ったのです。
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今日は、ここまでです。
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