磁器の事をポーセリン(porcelain)と呼ぶ様になったのもこの頃です。
これは、タカラカイを意味するラテン語porcellaに由来しています。
透き通る程の薄さと透光性、強度のある硬さ、純白の輝きを有する東洋からもたらされた磁器は、土色を帯びた肉厚のもろい陶器しか知らなかったヨーロッパ人の人々にとって衝撃だったのです。
高温で焼成され釉薬が溶けかかった硬質のやきものである磁器の製法は、中国で発明されました。
種別 | 焼成 | 釉薬 | 特徴 |
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土器 | 低火度(1000℃以下) | 無釉 | 軟質、土色、吸水性大 |
陶器 | 低中火度(1200℃以上) | 施釉 | 軟硬質、灰白色、吸水性あり |
炻器 | 高火度(1100 - 1250℃) | 無釉 | 硬質、灰色、吸水性小 |
磁器 | 高火度(1350℃以上) | 施釉 | 硬質、白色、吸水性無 |
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ここで「釉薬」(ゆうやく、うわぐすり、glaze)について少し説明します。
釉薬は、陶磁器の表面を覆っているガラス質の部分を言います。
粘土で作った器をそのまま焼いたものは「素焼き」と呼ばれ、表面が粗く、材質の異なる粘土を選ぶ以外には色を選ぶ事が出来ない上、水を吸収しやすく用途が限定されます。
素焼きにした陶器の表面に釉薬を釉掛けしてして焼くと、表面をガラス質が覆い小孔を塞ぐため、耐水性が増します。
また、ガラス質特有の光沢を得る事が出来、様々な色や模様も得られます。
これは、釉薬の中の長石が焼成時に溶け出してガラス質を形成し、金属成分が熱に依る化学変化を起こして色を付けるからです。
釉薬を絵の具の様に用い、素焼きの陶器に模様を付ける事も出来ます(=絵付け)。
昔は、粘土を水で溶いたものに、木炭、わら灰を加えたもので、灰や粘土に含まれる金属成分によって色を付けていました。
絵付けは、素焼きの磁器に描いて釉薬を掛けて焼成する「下絵付け」、釉薬の上から描いてさらに釉薬を掛けて焼成する「上絵付け」が有ります。
下絵付けは、焼成温度が1350度以上になりますので、一般に色が安定せずに、安定した金属のコバルト系のブルー系の色になります(染付)。
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中国では、後漢の時代(25年ー220年)には、素地が固く焼き締まり釉薬が滑らかに溶けかかった磁器が完成の領域に達していました。
本格的な青磁の製作は、後漢時代に始まったと言われています。
※ウイキペディアより•••青磁(せいじ)とは、青磁釉を施した磁器 (Porcelain) または炻器 (Stoneware) のこと。 透明感のある青緑色の磁器で、紀元前14世紀頃の中国(殷)が起源とされる、後漢代に流行し以後次第に普及した。 製造技術は日本や高麗にも伝播した。特徴的な青緑色は、釉薬や粘土に含まれる酸化第二鉄が、高温の還元焼成によって酸化第一鉄に変化する事で発色する。色艶は全く異なるが、酸化クロムの還元で発色させる物も青磁と呼ばれる。
※白磁と青磁の違い•••焼くと透明になる釉薬をかけて作り、器の白さをいかしたものを白磁といいます。 鉄分をふくんだ土に、焼くと青緑色になる釉薬をかけてできたものを青磁(青瓷)といいます。
明時代(1368年ー1644年)には、景徳鎮窯が中国の磁器生産の中心となり、青花や五彩などの絵画的な加飾を施した器が盛んに生産されました。
明末から清(1616年建国)初めに掛けては、景徳鎮の民窯や福建省の漳州窯などで、官窯とは作風の異なる輸出向けの磁器が大量生産され、ポルトガル、オランダ、日本などに運ばれました。
(中国南宗時代:青磁)
(中国明時代:五彩)
個人的には、日本での色絵の発明は、初代酒井田柿右衛門ですが、中国の彩色をさらに独自の方法により発展させたものと考えます。
(中国明時代:青花)
(注)青花とは:日本語は「染付」と言う。白地にコバルト顔料による青色で絵付けをし、その上から透明釉を掛けて高温焼成した陶磁器。透明釉の下に発色がある釉下彩技法の一種である。
今日はここまでです。
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