源氏物語「若菜・上」⑧(最終回) 柏木、女三宮の姿を垣間見て恋心を募らせる。 | 気ままな日常を綴っています。

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すみません。誤って途中で削除してしまいました。

再度記載しました。

文面は元の文面とは少し違うと思います。

「いいね」下さった方申し訳わりません。

 

夕霧の大将は、女三宮との結婚を全く考えなかった訳ではなかったのよ。

だから、そのお方がすぐに身近においでになる事にとても平静ではいられなかったのね。

一通りの御用にかこつけては、女三宮の御殿の方に参って女三宮の御様子やお人柄などを観察されるのよ。

女三宮は、たいそう初々しくおっとりとしていらっしゃるばかりなのね。

でも、それほど際立って奥ゆかしい。。と言う風にも見えないのよ。

 

女房なども、、しっかりした年配の者は少なく、年の若い器量の良い者たちが、ひたすら華やかに浮き浮きしてお洒落好きに見えるのばかりで、なんの屈託もなさそうに見えるのよ。

そして明けても暮れても、たわいない遊びに女童たちが夢中になっている始末なのね。

源氏は、それは困った事だと御覧になるけれど、大目に御覧になって叱ったり改めさせたりはなさらないのよ。

ただ、女三宮御本人のお振舞いや御態度だけは、しっかりと教えておあげになるのよ。

おかげで、女三宮は、少しは大人らしさをお身につけられたようなのね。

 

こうしたご様子を夕霧の大将も御覧になって、本当に理想的な女性は滅多に世の中にいらっしゃらない者だと思うのよ。

5年前に垣間見た紫の上の美しさや嗜みの深さが、気品高く奥ゆかしいものだと今更ながら感心するのね。

女三宮は、御身分を考えても、この上なく高貴なお方なのに、源氏は御寵愛に格別のお扱いをなさる風でもなく、世間の手前ばかりを飾っているだけだ。。と夕霧は観察するのよ。

源氏の御寵愛は、やはり一心に紫の上にあるのだと思うのね。

 

柏木の衛門の督は、女三宮との結婚を望んでいたにもかかわらず、朱雀院にも期待を持たせられるような振舞いをいただいたにも関わらず、源氏に御降嫁なさってしまった事をとても残念に思っていたのよ。

柏木は、自分が太政大臣の嫡男で御長男であることから、それなりの家柄の女性を求めていたので、なかなか結婚していなかったのね。

その上、その当時から馴染みになっていた女房のつてで、女三宮の「女三宮は、紫の上の御威勢に負けていらっしゃる」と言う御様子を聞き、慰めにも思うものの胸が痛んでいたのね。

女三宮の乳母の小侍従に「私がいただいていたのなら、そんな御苦労はおさせしないものを。。源氏の院がもし、兼ねて御宿願の出家をお遂げになるような事があったら。。」と責め立てていたのよ。。

 

3月頃の空がうららかな日、六条の院に蛍兵部卿の宮や柏木の衛門の督などが参上なさったのよ。

集まった人々は蹴鞠をして遊ぶのよ。

寝殿の階段に面して咲いている桜の木陰に、人々が寄って、花のことも忘れて蹴鞠に熱中しているのを、源氏も蛍兵部卿の宮も御見物なさるのよ。

夕霧の大将は、雪のような桜の花をちらりと見上げて、撓んだ枝を少し折り、階段の中断あたりに腰をおかけになるのよ。

 

柏木の衛門の督も続いて来て、女三宮のおいでになるお居間の方を流し目で見ると、格別慎み深くもない女房達のいる気配がして、いろいろな衣装の袖口が御簾の下から溢れさせているのよ。

 

そこへ唐猫のとても小さくて可愛らしいのを、やや大きな猫が追いかけて、その長い綱が御簾に引っかかって御簾の横裾が捲れ上がって、内部が丸見えになるのよ。

すぐにそれを引き下ろそうとする機転のきく女房もいないのね。

几帳の陰から少し奥まったあたりに、袿姿でお立ちになった人が見えるのよ。隠れようもなくありありと見渡せるのね。。

御髪の裾まで鮮やかに見え、御髪は糸を縒りかけたように後ろになびき、その裾がふっさりと切りそろえられて大そう可愛らしいのよ。

女房達は、蹴鞠の見物に夢中になっているので、奥が丸見えになっているのを、すぐに気づく事ができないでいるのよ。

柏木の衛門の督は、女三宮の表情や身のこなしなどをとっさに見て取ってしまったのね。。

なんと若々しく可愛らしいお方だろう。。と心を打たれてしまうのよ。

 

夕霧の大将も、御簾が上がっているのに気づいて咳払いをしたわ。

すると、女三宮はそっと奥にお入りになったのよ。。

そして、猫の綱が解かれて御簾が降りたわ。。

夕霧の大将は、女三宮を諦めきれない柏木の衛門の督が、女三宮の姿を見逃すはずはない。。と女三宮の為にも「困った事になった」と思うのね。。

 

柏木の衛門の督は、切なさに、あの子猫を抱き上げるわ。

これがあの宮なら。。と恋しいお方に子猫を思いなぞらえていらっしゃるのね。。

柏木の衛門の督が沈み込んでぼんやりしているのを見て、夕霧の大将は事情をお察しになるけれども「それにしても、あまりにも端近にいらっしゃった女三宮の御様子を、はしたないと感じもしただろう。。」と思うのよ。

ところが、柏木の衛門の督の方は、女三宮の全ての欠点を顧みるゆとりもないのよ。

昔からお慕いしている真心が通じたのでお姿を拝する事ができたのだ。。と思う始末なのね。

柏木の衛門の督は、今でも太政大臣のお邸に独身でお住まいだったのよ。

柏木は、あの日の夕方から、ひどく気持ちが塞ぎ込み勝ちになったのね。。

憂さを晴らす方法もなく、深窓の女三宮にこんなに深くお慕いしていることだけでもお伝えしたいと、小侍従の元に例によって手紙をおやりになるのよ。

女三宮のお前に人影が少ない時を見計らって小侍従はその手紙を女三宮に見せるわ。

その手紙には「遠くから美しい花を眺めるばかりで折ることもできない嘆きは深いのに、貴女のあの面影は私の胸に焼き付いて離れないのです」とあったのよ。。

 

女三宮は、その文面を見て、あの思いがけず御簾の裾が巻き上げられた時に自分の姿を柏木に見られたことを悟るのよ。。

あれほど源氏から「夕霧に姿を見られないように。。」と注意されていたのに、夕霧があの日の事を源氏にお話しになったらどんなお叱りを受けるだろう。。と怖がるのね。

人に姿を見られてしまった事の重大さはわからない子供だったのよ。

 

いつもより、女三宮のご機嫌は悪く、お返事をなさらないのよ。

仕方なく小侍従が、人目を忍んで自分でお返事を書くのね。

「今更、高嶺の花の山桜に心をかけても仕方のない事です」と。

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(追記)

夕霧は、ひょっとしたら父・源氏に降嫁した女三宮と結婚していたのかもしれない、と思うと、男性として女三宮への興味がどうしても湧いてくるのですね。

女三宮はすぐに身近においでになるし、用事にかこつけて彼女の様子を観察するのですね。

しかし、夕霧は冷静に女三宮を観察し、おっとりはしているものの、嗜みに欠け、女房たちも遊んでばかりいるな。。と思うのです。

5年前の野分の朝に見たあの紫の上の美貌や気品には到底かなわない。。と思うのですね。

そして、そんな女三宮の嗜みのなさや、用心深さにかける事が何らかの事件を起こしはしまいか。。と懸念します。

 

一方、柏木は太政大臣の嫡男でかつ長男なのですね。

自分の将来の地位はちゃんと認識していますので、女性への理想は高くなかなか結婚しないでいるのです。

そんな柏木が見初めた女性:女三宮への結婚の申し込みは朱雀院は拒絶はしないけれども、結局は源氏に降嫁させてしまうのです。

この出来事は、柏木の心に深い落胆をもたらします。

 

そんな折、女三宮の不注意から、柏木は彼女の姿を見てしまうのです。

理想を超える美しさに心を打たれてもう柏木は理性を保つことができません。

女三宮の不注意が「嗜みのないこと」とも思えず、自分の真心が通じたから姿を拝することが出来たのだと思う始末ですね。。

さらに、源氏の正妻である女三宮に恋い焦がれたところで、どうなるものではない、という常識すら理解ができず、源氏が出家したら結構しようなど、考えられない発想をします。

もし、自分の恋心が知れて源氏に睨まれたら、自分の身の破滅ということすらわかりません。

柏木の一途な恋は、理性を失い暴走することになります。