玉鬘の姫君の六条の院へのお引越しは9月に決まったのだけれど、そんなにスラスラと事が運ぶものでは無かったのよ。
右近は、まず、五条の自分の里にこっそり姫君をお移ししてから、女房を選び仕込んだ上で衣裳を整えたりして、いよいよ10月に六条の院にお写りになったわ。
源氏は、花散里に姫君のお世話を頼むわ。
「昔、愛していた女が私との仲を悲観して寂れた山里に身を隠して居たのですが、女との間に姫が居りました。ずっと探して居ましたが、最近思いがけない方向から居所を聞きつける事が出来ました。その母も亡くなっていますので、(夕霧の中将のお世話に加えて)この人のお世話もお願いしてよろしいでしょうか」とね。
花散里は「姫君がお一人しかいらっしゃらないので、大変よろしい事でございます」と鷹揚に答えるわ。
源氏が、母君の夕顔の話をお聞かせしても、花散里はウンウンと頷きながら同情して聞き入るのよ。
源氏は、そんな花散里の気質にとても安心しているのね。
その夜、早速源氏は玉鬘の姫君の所へ出かけて行ったわ。
乳母達は、噂に名高い源氏の美しい姿に驚くわ。。
源氏は、「親として」几帳を少し押しやって右近に灯を明るくさせて姫君の姿を見るわ。。
顔を背けている様子が難の付けようも無く美しく、あの夕顔の面影を伝える目元の美しさを見て、源氏はすっかり嬉しくなるわ。
源氏は「長い年月姫君の行方が分からず心配して嘆いて居りましたが、お逢い出来て夢のような気持ちです」と言葉をかけるわ。
すると「田舎をさすらって行きましてから後は、何もかもあるのか無いのか儚い気持ちです。。」と、ほのかにお答えするその声が母君によく似て居て若々しく感じるのよ。
源氏は、心遣いも気の利いたお返事だ、と満足するわ。。
姫君が難点の無いお人柄だったのを、源氏は紫の上にもお話しするわ。
「本当に、こちらが恥ずかしくなる程の良い娘でしたよ。こんな娘が居る事を何とかして世間に知らせよう。。兵部卿の宮などが、この六条の院に気に入って来られる気分をいっそう掻き立てて上げたいものだ。今まで、こうした気分がそそられる若い姫が居なかったからね。今まで色好みの連中が真面目くさった顔つきでこの邸にやって来てたのが、取り澄ましても居られなくなる様子を見比べて見たいものだよ」とね。
紫の上は、源氏の発想にちょっと引くわ。。。(❓❓当然です。)
源氏は「夕顔を想い続けて来た私は、今も変わらないのに、あの幼い姫君は、まるで玉鬘のようにどういう筋を辿って私の元にようやく来たのか。。」と、一人歌を詠むわ。。
それはそうと、乳母の長男の豊後の介は「稀に見る忠義な心根」と、源氏から姫君の家司に任ぜられるのよ。
豊後の介にとって見れば、目にする事も出来ようも無い源氏の邸内に朝に夕に出入りして人を従えて采配を振るうような身の上になったことを名誉に思うわ。
年の暮れには、玉鬘の姫君のお部屋の正月の飾り付けや女房達の晴れ着などまで、源氏は他の高貴な方々と同列にしてあげるわ。
そもそも六条の院は、源氏にとって特に重要視される女君達が選ばれてお移りになって居るお邸なのよ。
そしてこの帖では、二条の東の院に庇護を受けて居る末摘花にも空蝉にも衣裳が送られるのよ。
「関屋」の帖以来舞台から姿を消して居た空蝉が尼になって源氏に引き取られて居た事がここで初めて読者に判るのよ。
「玉鬘」の帖の最後には、末摘花の相変わらずの生真面目さを記して終了しているわ。
今日はここまでです。
どうもありがとうございました♪
次回は「初音」です。
今日も良い一日をお過ごしくださいね❣️
