源氏物語「乙女(少女)おとめ」③ 夕霧の若君と雲居の雁の姫君の幼く切ない恋。 | 気ままな日常を綴っています。

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いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

それから2日程して内大臣は大宮邸に出かけて行ったわ。

内大臣は機嫌が悪くて「母上を信頼して姫君をお預けして、父親の私は弘徽殿の女御のお世話にかまけておりました。なのに、夕霧の若君との間に心外な事が起こりましたようで実に口惜しくてなりません。確かに、あの若君は物知りではありますが、近親の従姉弟どうしでこんな事になっては世間体もありません」と大宮に言うわ。

そして、大宮が若い者同士の思いのままに放って置いたから。。と詰め寄るのよ。

 

でも、大宮は夢にもご存知なかった事なので驚き呆れるわ。「そんな詰まらない世間の人たちの噂を信用して容赦なく言われるのも情けない事で、根も葉もない噂の為に姫君の名に傷が付くのではないでしょうか」と申し上げるわ。

内大臣は「何が根も葉もない事ですか。お仕えする女房達も影では皆あざ笑っていますよ」と言い捨てて立ち去って行ったわ。

 

乳母達も「あの二人はいつも一緒に育っていたし未だ幼い年頃なので、大宮のお躾を差し置いて自分たちが出しゃばってお二人の仲を遠ざける事も出来なかった」と嘆くのよ。

内大臣は、乳母や女房達に、今回の件は外に漏らさなぬよう。。厳重注意して、姫君を自分の所に引き取る事にするわ。。

 

このような内大臣の仕打ちを、大宮は「何故二人の仲が良いのがそんなにいけない事なのか。もともとそんなに可愛がっていた姫君では無かったのに。。東宮に差し上げる望みを外れて臣下と結ばれる宿縁であれば、この若君に勝る人も居ないものを。。」と内大臣の思いやりの無い対応を恨むのよ。

こんなに騒がれているとも知らずに、若宮は夕暮れ時に大宮邸を訪れるわ。

大宮はいつもなら微笑んでお迎えするのに、今回ばかりは真面目な顔つきで「内大臣の恨み言の事情」を若君にお伝えするわ。

若君は、すぐに何の事か気づいて顔を赤らめるも「静かな学問所に籠っておりますので、内大臣がお恨みになるような事は無いはずです」とお答えするわ。

大宮は、そんな若君をいじらしく思いつつ「これからはご注意なさいね」とだけ言って他に話を反らしてしまったわ。

 

若君は、これからはお手紙を交わす事も難しいだろう。。と食事も喉を通らず、夜間眠ることが出来ないでいるわ。。

人が寝静まった頃に、姫君のお部屋との中仕切りの襖を引いて見たけれど錠がかけられているわ。

若君は心細くなって障子に寄りかかって居ると、姫君も目を覚ましたのよ。

そして、サラサラと竹を渡る風が音を立てると同時に雁が鳴きながら飛んでいく声が、子供心にも恋しい思いを起こされたのか、姫君は「雲居の雁も私のようなのかしら。。」と独り言を呟くのよ。

 

もう、若君はたまらなくなって「この襖を開けてください」と言うけれど、返事は無いわ。。

姫君は独り言を聞かれたのが恥ずかしくて夜具の中に顔を入れて隠れてしまったわ。。

姫君は幼く見えても、もう恋の切なさを解って居るのね。

乳母達が近くで寝て居るので、二人は起きて居る事に気付かれないよう。。互いに音も立てないわ。

 

翌朝、若君は姫君にお手紙を書くけれど、お渡しする事は出来ないわ。

姫君は姫君で、若君との恋がこれほどの騒ぎになるとは思っては居なかったものの、乳母達が叱言を言うので、こちらからもお手紙を出す事が出来ないのよ。

若宮は、こんな事になったのがただもう口惜しくて残念に思うのよ。

 

今日はここまでです。

いつも有難うございます。

次回も「乙女(少女)おとめ」④です。

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(追記)

ここで、夕霧と雲居の雁は、ただ、お互いに恋心を抱いている。。という噂を立てられている状態ですね。

現在の皇室の縁談もそうでしょうが、「このような些細な噂」は入内ではタブーとされていたようですね。