【〇○婦問題】2021.01 (h) ② | ぺる Ⅱのブログ

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続・チラシの裏書き

 

 

 

目次 

 

2021

01(01/13)「慰安婦判決、韓日関係より『個人の市民権回復』に意味」

02(01/14)自民党、「慰安婦判決」に駐日韓国大使の帰還要求まで取り上げ反発

03(01/14)[キル・ユンヒョンの新冷戦韓日戦13]ハノイの失敗、韓国を「四面楚歌の危機」に

04(01/15)文大統領「時に問題が生じても韓日関係全体が足を引っ張られてはならない」

05(01/16)韓日関係に地殻変動が起きている

06(01/16)韓日、「慰安婦判決」関連協議…これといった結論は出せず

07(01/17)菅首相、帰国するナム・グァンピョ韓国大使との離任面談も拒否

08(01/18)新駐日韓国大使、強制徴用賠償で「韓日関係最悪…歴史問題は政治的解決策探るべき」

09(01/19)文大統領「慰安婦判決、正直少し困惑しているのが事実」

10(01/19)文大統領の年頭記者会見、対立懸案避けず「まとめ」に注力

11(01/19)菅首相、韓日関係改善は韓国側が解決策を示してからという立場再び表明

 

 

 

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01 

「慰安婦判決、韓日関係より『個人の市民権回復』に意味」

登録:2021-01-13 01:45 修正:2021-01-13 14:04

 

民弁「慰安婦TF」イ・サンヒ弁護士インタビュー


「民主社会のための弁護士会」(民弁)日本軍「慰安婦」問題対応TFのイ・サンヒ弁護士=イ・サンヒ弁護士提供//ハンギョレ新聞社

 

 「被害女性たちが日本に事実認定と公式謝罪を要求するのは、二度と戦争はするなということです」
 

 「民主社会のための弁護士会」(民弁)の日本軍「慰安婦」問題対応タスクフォース(TF)のイ・サンヒ弁護士は、12日のハンギョレのインタビューで「(日本政府の賠償責任を認めた)判決が持つ意味に集中してほしい」とし、このように述べた。8日の韓国の裁判所の判決によって「韓日関係が再び危機を迎えた」という認識にも警戒を示した。判決前日から日本の記者たちは、イ弁護士に対し、強制執行の可能性について主に問い合わせてきたという。日本政府が判決を履行しないことを前提とした質問だった。イ弁護士はこれを「強制動員被害者賠償判決のトラウマ」と解釈し、日本の記者たちに問い返した。「日本政府に、判決後(賠償を)どのように履行するのか問うてください」
 

 イ弁護士は「国際秩序が個人の権利を保護する方向へと変わりつつある中で、日本政府は韓国地裁の判決をどのように受け入れるのか、日本国民をどのように説得するのかなどの観点から見なければならない」と強調した。日本政府はしかし、韓国地裁の判決自体を認めず、国際司法裁判所(ICJ)への提訴を検討している。イ弁護士は「韓日両国間の請求権協定で合意したというのが日本政府の一貫した立場であり、慰安婦問題が国際的な問題として浮上するのを懸念して提訴そのものを行わないかもしれない」と述べつつも、「『フェリーニ事件』の先例はあるものの、二つの事件は単純比較が難しいため、悲観的ではない」との見込みを示した。1944年にドイツの軍需工場で強制労働させられたイタリア人フェリーニ氏は、1998年にイタリアの裁判所で損害賠償請求訴訟を起こした。一、二審では国家免除理論の壁を越えられなかったものの、最高裁は原告勝訴の判決を下した。ドイツの提訴により審判を行った国際司法裁判所は、国家免除理論を認めてドイツを支持したが、イタリア憲法裁判所はこれを再び覆した。イ弁護士は「フェリーニ氏側の弁護士に、イタリア最高裁の判決が出てからイタリア内部でも対立があったのかと尋ねたが、別に問題はなかったと言っていた。韓国も韓日関係危機論に過度に振り回される必要はない」と述べた。イ弁護士は韓国政府に「韓日のみの関係として狭く見ずに、イニシアチブ(主導権)を取ってアジア諸国と慰安婦問題を議論する知恵を持ってほしい」と助言した。



第1473回「日本軍性奴隷制問題の解決のための定期水曜デモ」が行われている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 

 これまで慰安婦被害者たちは、日本の裁判所に民事訴訟を4回起こしているものの、すべて棄却または却下された。米国などのその他の国の裁判所に起こした訴訟も同じだった。イ弁護士は「裁判を受ける権利を認めた今回の判決によって、慰安婦被害者たちは完全な市民権を取得した」と評価した。イ弁護士は「国際法体系において、国家や武装集団によって人権侵害を受けた被害者をどのように救済するか、論争が活発に行われていた中で、韓国裁判所の判決によって慣行が変わる可能性もあった」とし「地裁は、反人道的犯罪行為に対しては国家免除を適用できないとし、慰安婦問題に限らず、公権力による重大な人権侵害の被害者たちの救済に道を開く判決を下した」と付け加えた。イ弁護士は、2015年の韓日政府間合意が慰安婦被害者を「抽象的に『可哀相な存在』、『せめて金銭的にでも賠償を受けるべき存在』から、謝罪を受けたようでもあり、賠償を受けたようでもあり、そうでないようでもあるという、曖昧な存在」にしてしまったと述べた。「なぜ人権問題になり、なぜ謝罪されていないのか、我々も学習せねばならない」とも述べた。また、「起きてもいないうちから、判決後に駐日本韓国大使を呼びつけるなどの日本政府のジェスチャーを恐れるのはやめよう」とも述べた。「これ以上世論化するなと言えば、公権力による重大な人権侵害の被害者は、誰もものが言えなくなる」ということだ。
 

 ソウル中央地裁民事34部(キム・ジョンゴン裁判長)による原告勝訴判決が出た後、民事15部(ミン・ソンチョル裁判長)は、イ・ヨンスさんをはじめとする別の慰安婦被害者たちが日本政府を相手取って起こした損害賠償請求事件で、13日に予定されていた判決を延期した。この事件を担当しているイ弁護士は「裁判で十分に立証するとともに、裁判所側の提起した疑問点も整理して最大限提出した。にもかかわらず判決の2日前に突然弁論再開を通知してきたのは納得しがたい」と批判した。また「直前の判決が持つ意味は非常に重大なため、無視することは難しいはず」とし、肯定的な結果を期待した。原告のイ・ヨンスさんは「国がないために慰安所に連れて行かれた。なぜ今は国があるのに慰安婦問題をきちんと解決しないのか」と、もどかしい胸の内をよく吐露したという。日本政府の賠償責任を認めた韓国地裁の判断は、登場は遅れたものの意味は大きい。イ弁護士は「まだ解決しなければならない問題は多いが、(今回の判決は)司法府が柵を作って『ここにお入りなさい』『我々が保護します』と宣言した」と語った。
 

チョ・ユニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/978495.html
韓国語原文入力:2021-01-12 20:19
訳D.K

 

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02 

自民党、「慰安婦判決」に駐日韓国大使の帰還要求まで取り上げ反発
登録:2021-01-14 06:37 修正:2021-01-14 07:10

韓国の「慰安婦判決」は「日本の主権を侵害」 
外交部会の議員ら「日本政府に強い対抗措置」要求



駐韓日本大使館前に設置された「平和の少女像」=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 

 自民党内部でナム・グァンピョ駐日韓国大使の帰還要求まで取り上げるなど、韓国裁判所の日本軍「慰安婦」被害者賠償判決に強く反発しているという。
 

 自民党の佐藤正久外交部会長は12日に開かれた党外交部会で、韓国裁判所の判決は「日本の主権を侵害する由々しき事態」だとし、ナム・グァンピョ駐日韓国大使の帰還を求めることも選択肢との見解を示したと、日本経済新聞が13日付で報じた。ナム大使はカン・チャンイル次期駐日大使の赴任に合わせ、近く帰国する予定だ。
 

 同日の会議では、韓国裁判所の「慰安婦」賠償判決が1965年の韓日請求権協定や2015年の韓日慰安婦合意、主権免除を認める国際法を無視するなど、問題が深刻だということで意見を共有したという。一部議員からはカン・チャンイル次期駐日大使のアグレマン(外交使節に対する事前同意)の取り消しを検討すべきという声も上がったと、産経新聞が報道した。また、国際社会に韓国側の不当性を説明し、国際司法裁判所への提訴が必要だという意見も出たという。近く韓国に入国する相星孝一次期駐韓日本大使の赴任を遅らせるべきとの案も出たと、同紙は報じた。
 

 自民党外交部会の議員からは「日本外務省の対応が弱い」という声も上がっており、同部会は韓国への強い対抗措置を政府に要請する方針を決めた。
 

 同日の会議に出席した日本政府側の関係者は「会合での意見を踏まえて対応したい」と述べたと、産経新聞が報じた。日本政府は今月8日に韓国の裁判所で判決が下された後、「受け入れられない」とし、国際司法裁判所への提訴を検討するとともに、韓国政府が解決策を講じるよう要求していた。毎日新聞は同日、「(「慰安婦」判決による)衝撃度は元徴用工判決より上」という外務省幹部の発言を報じた。今回の判決が主権免除を認めず、日本政府の賠償責任を初めて認めたためと見られる。
 

キム・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/978615.html
韓国語原文入力:2021-01-1402:32
訳H.J

 

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03 

[キル・ユンヒョンの新冷戦韓日戦13]ハノイの失敗、韓国を「四面楚歌の危機」に
登録:2021-01-14 10:58 修正:2021-01-28 08:48

振り返ってみると、この時が韓国が日本との極限の衝突を避けられる最後のチャンスだった。最も至急下さなければならない判断は、日本政府が1月9日に韓日請求権協定3条1項に基づいて要請した「外交協議」を受け入れるかどうかだった。しかし韓国政府の反応はなかった。文在寅大統領の視線は相変わらずハノイの失敗を挽回する3回目の朝米首脳会談に注がれていたからだ。


麻生太郎財務相の2019年3月12日の「報復措置」発言に驚いた外交部は、2日後の14日にソウルで韓日局長級協議を行った。硬い表情でソウル都染洞の外交部庁舎に到着した金杉憲治外務省アジア大洋州局長/聯合ニュース

 

 ベトナムのハノイで開かれた2回目の朝米首脳会談の決裂の後、2019年2月28日午後6時50分(韓国時間)、ドナルド・トランプ米大統領は米国に帰るエアフォースワンに搭乗した後、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に電話をかけた。文大統領は25分間続いたこの電話会談で「朝鮮半島の冷戦的葛藤と対立の時代を終え、平和の新時代を切り開く歴史的課題の達成に向けた大統領の持続的な意志と決断を期待する」と述べた。日本の安倍晋三首相との電話会談は、夜7時30分から10分間行われた。安倍首相はその直後の夜7時47分、首相官邸前で記者団に対し「安易な譲歩をせず建設的な議論を続け、北朝鮮の具体的な行動を追求するというトランプ大統領の決断を全面的に支持する」と感想を述べた。文大統領が会談決裂に対する深い遺憾を隠しつつ次の会談に対する期待を示したことに比べ、安倍首相はトランプ氏が「安易な譲歩」をしなかったことに胸をなでおろして喜んだのだった。
 

 韓日両国首脳の対照的な反応からも分かるように、2・28ハノイ会談は「朝鮮半島非核化」の具体的な実現方策を論議するために朝米間で繰り広げられた「世紀の談判」でもあったが、一方では「成長した韓国」が東アジアの望ましい未来像をめぐって日本を相手に繰り広げた熾烈な「間接外交戦」でもあった。
 

 2017年の激しい対立の後、2018年1月に劇的に対話の局面が始まり、韓国は南北関係を改善して朝米対話を促進し、70年以上朝鮮半島を抑え込んできた冷戦秩序を解体する「現状変更」を試みた。文在寅政権は自らの力で「過去の対立と葛藤を終わらせた新しい平和協力共同体」である「新朝鮮半島体制」を構築したいと望んでいた。文大統領はハノイ会談を2日後に控えた26日、異例にも白凡記念館で国務会議(閣議に相当)を開き「朝鮮半島をめぐる国際秩序も変わりつつある。何よりも重要なことは、我々が自らその変化を主導できるようになったという事実だ」と述べ、その後の3・1節(独立運動記念日)100周年記念演説では「新朝鮮半島体制に大胆に転換し、統一を準備していきたい。(中略)南北関係の発展が朝米関係の正常化と日朝関係の正常化へとつながり、北東アジア地域の新たな平和と安保秩序へと拡大するだろう」と宣言した。
 

 日本はこのような韓国内の変化を憂慮の目で見つめていた。これに対抗して日本は北朝鮮の核開発と中国の浮上がもたらす東アジアの「新冷戦」に備え、日米同盟を強化し、韓国をその枠組みの下に置く「現状維持」戦略を推進した。北岡伸一・東京大学名誉教授など安倍政権の外交安保ブレーンが集まって作った「富士山会合」が、2017年4月に発行した政策提言集「より強固な同盟を目指して」によると、「日米は韓国が今後も日米韓協力の枠組みにとどまるよう協力していかなければならない。今後は(中国と北朝鮮の脅威に対応して)『日米韓防衛協力ガイドライン』(3カ国共同作戦計画)を策定しなければならない」と述べている。冷戦解体と統一を目標に独自外交を推進する韓国の動きを封鎖し、現在のように日米同盟の下位パートナーにしておかなければならないという主張だった。この後、韓日間で展開される激しい攻防は、東アジアの望ましい未来像に対して両国が抱いていた和解できない戦略観の対立が「ハノイ・ノーディール」を通じて爆発した結果だといえるかもしれない。
 

 この頃、韓日関係が事実上「どん詰まり」に至ったことを示すエピソードがある。朝鮮日報と東亜日報の2月11日付の報道によると、9日、慶応大学の現代韓国研究センターで「北東アジアの新しい秩序構想」と題した韓日共同シンポジウムが開かれた。ムン・ジョンイン大統領統一外交安保特別補佐官の基調演説が終わると、日本国内の代表的な韓国専門家である木宮正史東京大学教授が「日本に対して何の言及もないことに衝撃を受けた。これは現在の韓国の見解を反映するものではないか」と不快感をあらわにした。これに対してムン特別補佐官は「日本は否定的な外交ばかり積極的にするのではなく、(今進められている朝鮮半島の和解という)土台になる方向へ積極性を持たなければならない」とし、それまでに募っていた不満を表した。2・28ハノイ破局以降、「日本の役割」に対する韓国の不快感は疑いを超えて敵対感情として具体化し始める。一例として、チョン・ドンヨン元統一部長官は3月2日、フェイスブックに「ハノイ談判決裂の陰に日本の影が見え隠れする。ハノイ外交の惨事が安倍政権の快哉につながる北東アジアの現実こそ、厳しい国際政治の中身だ」と評した。日本は対抗して戦わねばならない「敵」だという世論が起こりはじめたのだった。
 

 しかし、残念ながらハノイの破局で四面楚歌の危機に直面したのは、日本ではなく韓国だった。ハノイの大失敗で文在寅政権は「韓国仲裁者論」に根本的な懐疑を抱くようになった「北朝鮮の反発」、強制動員被害者賠償判決に関して対応を要求する「日本の圧迫」、韓国の北朝鮮に対する影響力を疑うようになった「米国の不信」という三つの外交的難題に対処しなければならなくなったためだ。
 

 最初に始まったのは、予想通り日本の圧迫だった。ハノイ破局から10日余りたった3月12日午後4時14分、丸山穂高議員が衆議院財務委員会の発言台に上り「政府が(韓国に対する報復措置として)関税引き上げを検討するという記事が出た」とし、韓国に「報復措置」を検討しているのかを繰り返し質問した。丸山議員の質問は、強制動員被害者に対する賠償判決問題で悪化するだけ悪化した韓日関係の脈絡を考えると、非常に敏感な内容だった。結局、麻生太郎副首相兼財務相が答弁台に立ち「いろいろな対抗措置がある。関税だけでなく送金停止、ビザ発給停止など、いくつかの報復措置があると思う」と述べた。この頃から、韓国メディアにも、日本が麻生氏の言及したいくつかの措置の他にも「(7月に実際に稼働される)半導体製造の必須材料であるフッ化水素の輸出中止などのカードを検討している」といった報道が出始める。
 

 この衝撃的な問答に驚いた韓国外交部は翌13日、慌てて報道資料を出し「キム・ヨンギル北東アジア局長が14日午後、外交部で金杉憲治外務省アジア大洋州局長と韓日局長級協議を開催する予定」と伝えた。振り返ってみると、この時が韓国が日本との極限の衝突を避けられる最後のチャンスだった。ハノイの破局で発生した危機を乗り超えるには、日本を刺激しない「繊細な外交」を繰り広げるべきだった。最も至急下さなければならない判断は、日本政府が1月9日に韓日請求権協定3条1項に基づいて要請した「外交協議」を受け入れるかどうかだった。この要請を受け入れなければ、爆発寸前の日本の不満をなだめながら(つまり時間を稼ぎながら)、韓日の外交当局が問題を解決するための真剣な交渉を始めることはできないと思われた。しかし、この状況でも「司法府の判決に政府は関与できない」という文大統領の1月10日の年頭記者会見の答弁のためか、政府の決定は下されなかった。大統領府の方針がない状況で局長級当局者が会っても、効果的な解決策が出るはずがなかった。会談後、金杉局長は日本のメディアに対し、「『対抗措置を含め、さまざまな選択肢を検討している』という意思を韓国に伝えた」としながらも、「対応措置を取らないほうが(日本の立場からも)はるかに良い。まずは(韓国の)対応を見守る」と述べ、余地を残した。
 

 しかし金杉が「見守る」と述べた韓国政府の対応は、その後もなかなか出てこなかった。イ・スフン大使が4月8日に離任のあいさつをするために安倍首相を訪問した時も、河野太郎外相が12日にイ大使を再度呼び出した時も、23日に両国局長がソウルで再び会った時も、韓国政府はだんまりを決め込んだ。理由は簡単だった。韓日が巨大な衝突に向かって突き進んでいた4月中旬にも、文大統領の視線はハノイの失敗を挽回する第3回朝米首脳会談に注がれていたからだ。
 

 文大統領は11日、「朝米間の対話の動力を早いうちに復活させる」(文大統領首席・補佐官会議)ために、ホワイトハウスでトランプ氏と首脳会談に臨んだ。文大統領は冒頭発言で「重要なのは、対話のモメンタムを維持し続け、また近いうちに第3回朝米会談が開催されるという見通しを世界に植えつけること」だと述べた。しかし、北朝鮮に対するトランプの情熱は以前より冷めていた。ジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安保問題担当)は回顧録で、第3回首脳会談を「板門店や米海軍の艦艇で開こう」という文大統領の提案にトランプ氏が「提案に感謝するが、私が望むのは次回の会談で実質的な協定を結ぶこと」と答えたという。興味深いのは、同盟国の対立に無関心なトランプ氏でさえ「韓日関係はどうか」と懸念を伝えてきたという点だ。文大統領は「過去の歴史が未来の両国関係に障害になってはいけないが、ときに日本がイシューを作るのが問題だ」という従来の立場を繰り返した。
 

 そうこうするうちに、別の複雑な情報が伝わってきた。まず、韓国原告人団が日本の年号が「令和」に変わった5月1日に差し押さえ状態にあった日本企業の資産を現金化する手続きに入った。次のニュースは、それよりさらに衝撃的だった。沈黙していた北朝鮮が5月4日午前、元山(ウォンサン)の虎島(ホド)半島で火力攻撃訓練を実施したのだ。(続)


  //ハンギョレ新聞社​​​​​​​
 

キル・ユンヒョン|統一外交チーム長。大学で政治外交学を専攻。駆け出し記者時代から強制動員の被害問題と韓日関係に関心を持ち、多くの記事を書いてきた。2013年秋から2017年春までハンギョレ東京特派員を務め、安倍政権が推進してきた様々な政策を間近で探った。韓国語著書に『私は朝鮮人カミカゼだ』、『安倍とは何者か』、『26日間の光復』など、訳書に『真実: 私は「捏造記者」ではない」(植村隆著)、『安倍三代』(青木理著)がある。
 

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/976385.html
韓国語原文入力:2020-12-3002:37
訳C.M

 

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04 

文大統領「時に問題が生じても韓日関係全体が足を引っ張られてはならない」
登録:2021-01-15 01:18 修正:2021-01-15 08:06

カン・チャンイル駐日大使に信任状授与 
韓国を去る冨田日本大使と面会



文在寅大統領が14日、カン・チャンイル駐日大使に信任状を授与した=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、カン・チャンイル新任駐日大使と、韓国を離れる冨田浩司駐韓日本大使と相次いで面会し、韓日両国間の対話努力を要請した。日帝強占期の強制徴用被害者や日本軍「慰安婦」被害者への賠償問題の解決策をめぐって韓日対立が先鋭化している中、両国関係改善の意志を表現したものと見られる。
 

 文大統領は14日午後、カン・チャンイル大使に信任状を渡し、「時に問題が生じたとしても、その問題によって未来志向的に発展すべき両国関係全体が足を引っ張られてはならない」とし「それはそれとして解決策を見出すとして、未来志向的発展関係に向けた対話努力は別途続けなければならない」と述べた。
 

 文大統領はこの日、両国の未来志向的な発展を強調した。文大統領は「現在は困難があるものの、韓日両国は長い歴史を共有する最も近い隣人であり、北東アジアと世界の平和と安定のための協力のパートナーでもあるだけに、両国関係は未来志向的に発展しなければならない」と述べた。
 

 文大統領はまた「政治的能力のある日本の専門家が新任の駐日大使として赴任することになり嬉しい」とし、「カン・チャンイル大使の赴任をきっかけとして、両国関係が大きな発展を遂げることを願う。カン大使の役割を期待する」と述べた。続いて「韓日両国は伝統的分野だけでなくコロナ、人口減少、地方の均衡発展などの共同の課題に直面しているだけに、これらの分野での協力のための交流とコミュニケーションが活発に行われるように努めてほしい」と述べた。
 

 文大統領は、カン大使に信任状を渡すのに先立ち、午前には駐米大使の辞令を受けて韓国を離れる冨田日本大使とも30分にわたり面会した。文大統領は冨田大使に「韓日両国は最も近い隣人であり、北東アジアと世界の平和・繁栄のために共に歩むべき最も重要なパートナーだ。両国間のコミュニケーションと対話、交流協力は必ず発展させ続けていかねばならない」と述べた。また、現在両国が抱えている問題について話し合う中で、「韓日両国は建設的で未来志向的な関係を早期に修復していく必要がある」と強調したと大統領府は伝えた。さらに文大統領は、冨田大使が駐米大使に赴任した後も、韓日関係の発展と韓米日協力に向けて努力を続けてくれるよう頼んだ。
 

イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/978837.html
韓国語原文入力:2021-01-14 18:23
訳D.K

 

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05 

韓日関係に地殻変動が起きている
登録:2021-01-16 02:03 修正:2021-01-16 09:24

誇大妄想の日本を暴き出し、韓国の被害妄想を克服する鋭い分析 
日本の知性の証言をまとめて韓日関係の未来と過去の克服の端緒を提示 
 
『日本人が証言する韓日逆転』 
イ・ミョンチャン著



日本の安倍晋三前首相がいわゆる「アベノマスク」をしている。コロナパンデミックへの対応の遅れの中で始まった「アベノマスク」政策は、国民の嘲笑と非難を受けた/UPI・聯合ニュース


 「近くて遠い国」。日本を指すこの常套的表現が、これほどまでにあてはまった時期があったろうか。ここ数年、両国の間で起こっていることを考えるとそう思わざるを得ない。朴槿恵(パク・クネ)政権で突如実現した韓日の日本軍「慰安婦」合意と軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結、大統領弾劾と文在寅(ムン・ジェイン)政権成立後の強制徴用をめぐる対立、日本による貿易報復、韓国のGSOMIA終了宣言と保留決定、コロナパンデミックの中での韓日両国政府の異なる対応…。

  
イ・ミョンチャン著『日本人が証言する韓日逆転』//ハンギョレ新聞社

 

 日本が韓国を眺める視線はよく「嫌韓」が突出し、これに対抗する韓国の日本に対する感情は「反日」だ。歴史的被害者の加害者に対する「反日」は納得できる一面があるものの、加害者が被害者に対する「嫌韓」の視線を止めないことは不思議でならない。その妙に歪んだ感情の淵源は『日本人が証言する韓日逆転』で確認できるが、これは優越意識の別名としてよく指摘される劣等感の発露だ。本書によると、敗戦を終戦と認識する日本の主流の「精神的勝利」は今後さらに膨らんでいく公算が大きい。かといって、韓国人がまったく同じになる必要はない。そのためにも、本書を埋め尽くす客観的根拠はもとより、中心的な論拠を成す日本の知識人の自省的証言は大きな意味を持つだけでなく、韓国人にとって重要な指針とならなければならない。
 

 本書はタイトルが語るように、韓国と日本の力の逆転の過程に注目する。新型コロナウイルス感染症の防疫において、日本と比較せずとも韓国が成功していることは、特に語る必要もない。経済面での韓日関係の変化は、改めて新鮮に提示される。何よりも根源は政治だ。韓国と日本の民主主義の格差は、両国がなぜ力の逆転状況に至ったのかを如実に示している。敗戦を克服できず過去にとらわれて停滞している日本と、植民地と開発独裁を乗り越えて産業化と民主化に邁進し、成果を収めてきた韓国の違いが両国のはっきりと異なる今日を作った。
 

 日本の政治的後退は、コロナへの対応の失敗で退陣した安倍晋三前首相で頂点に達した。実に7年8カ月も続いた安倍政権は、日本の歴史上最大の汚点として残ったというのが本書の指摘だ。コロナ拡散の初期、日本ではPCR検査がまともに行われず、防疫行政が事実上崩壊した。安倍首相が首相として主催した「桜を見る会」の招待者名簿は廃棄され、私立学校法人特恵疑惑が相次ぎ、巨大広告企業「電通」と政権の癒着構造もあらわになった。日本国民は、法に基づく支配を破壊した政権であるにもかかわらず支持をやめなかった。このような政権と国民そのものが、日本が敗戦状況にとどまっていることを示している。このため著者は、日本の気鋭の若手学者である白井聡京都精華大学教授の『永続敗戦論』を紹介する。戦争で負けたのではなく、戦争が終わっただけなのだという日本軍国主義者のごまかしを日本人が受け入れてきたこと、こうした「涙ぐましい努力」が安倍政権を経てコロナ禍で如実に崩れ落ちたことを、この書は緻密にあらわにする。
 

 日本政府のコロナ対応は、日本の行政システムの非効率さを浮き彫りにした。前近代的な官僚システムが維持してきた縦割りの組織文化や上司に従順な気質などで、このシステムは説明される。PCR検査をあれほど安倍政権が拒んできたのは、何よりも政治的理由のためだったことはすでに知られている。中国の習近平国家主席の訪日と東京五輪開催という当面の目標のため、コロナを軽く考えた結果だったのだ。しかし、本書で確認される驚くべきことの一つは、このようなあきれた所業が可能だった背景だ。著者は、日本の軍国主義時代に人体実験に明け暮れた「731部隊」に根源を見出す。日本でコロナ禍の初期にコロナ対応のための専門家組織として設置されたいわゆる「専門家会議」が、まさに731部隊のDNAを受け継いでいることを指摘する。日本人ジャーナリストの小池新氏は昨年4月、『文春オンライン』に発表した文章で、戦後にも幅広く形成された「元731部隊員」のネットワークが専門家会議を構成する感染医学関連の主要研究所へとつながり、コロナ対応における「影の要素」として作用したという衝撃的な主張を行った。コロナ対応で日本政府が示した情報隠蔽と官僚主義は、帝国軍隊の特性そのものだったのだ。
 

 今日の日本経済は「失われた30年」を経験した結果だということが提起される。戦後、米国に依存して爆発的な経済成長を成し遂げた日本が、1989~2019年の「平成」期には落ち込み続けたことを、主要大企業の企業価値と国内総生産(GDP)、国家債務比率、為替レートなどを挙げて説明する。日本の国際的な地位の変化は、もはや日本が先進国ではないことを示しているという主張だ。こうした状況において、安倍政権が1965年体制を維持するために敢行した「対韓国輸出規制」は、事実上のオウンゴールとならざるを得なかった。韓国が日本から輸入してきた素材・部品・装備の国産化と輸入多角化のきっかけとなっただけでなく、反日感情を刺激して、かえって日本経済が打撃を受けることになったのだ。このような中でコロナにまで襲われ、世界産業のデジタル転換には拍車がかかったが、デジタル化においては韓国が断然リードしている。韓日の逆転状況は今後さらに加速することが示される。2017年には購買力平価(PPP)ベースの1人当たり国内総生産(GDP)で、韓国は日本を初めて上回っている。
 

 韓日逆転の時代を迎える韓国人の姿勢はどうあるべきか。東北アジア歴史財団で研究活動に邁進し、昨年退職した著者は、これを通じて韓日の歴史問題を究極的に解決しなければならないと強調する。そのためには「多くの韓国人と日本の『極右民族主義者と歴史修正主義者たち』が金科玉条のごとく考える『日本は常に正しく優越しているという思い込み』を壊すこと」が重要だ。
 

キム・ジンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/978894.html
韓国語原文入力:2021-01-15 04:59
訳D.K

 

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06 

韓日、「慰安婦判決」関連協議…これといった結論は出せず

登録:2021-01-16 06:00 修正:2021-01-16 07:26

 

韓国政府「東京平和五輪」などのため 
韓日関係改善に向けた努力続ける見込み



文在寅大統領が今月14日、離任あいさつのため大統領府を訪問した冨田浩司駐韓日本大使と面会している。文大統領は「両国間のコミュニケーションや対話、交流協力は必ず発展させていかなければならない」と述べた=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 

 韓日外交当局が8日、局長級テレビ電話会議を通じて、日本軍「慰安婦」判決など様々な両国の懸案について意見を交換した。状況の悪化を防ぐため、実務レベルで意見交換を行う会議だったが、問題解決に突破口を開くこれといった結論は出せなかったものと見られる。
 

 外交部は15日、報道資料を出し、「キム・ジョンハン・アジア太平洋局長が同日、船越健裕・日本外務省アジア大洋州局長と、韓日局長級テレビ電話協議を行い、相互の関心事について意見を交わした」と発表した。同協議で、日本は「日本軍慰安婦被害者提起訴訟判決に関する日本政府の立場を説明」し、韓国も「慰安婦被害者と今回の判決に関する韓国政府の立場を説明した」と明らかにした。
 

 これに先立ち、外交部のカン・ギョンファ長官が9日、日本の茂木敏充外相と約20分ほど電話会談で判決について意見交換を行った。同会談で茂木外相は、ソウル中央地裁が今回の判決で国際慣習法における「主権免除」の原則を適用しなかったのは「極めて遺憾であり、日本政府はこの判決を決して受け入れられない」と抗議しており、カン長官は日本に「過度な反応を自制するよう」求めた。
 

 文在寅(ムン・ジェイン)政権は昨年9月の菅義偉首相就任以来、今年7月に予定された東京五輪を「朝鮮半島平和プロセス」の進展に向けた「平和五輪」として活用するために、韓日関係回復を試みてきた。そのためか、韓国政府は判決当日「この判決が外交関係に及ぼす影響を綿密に検討し、韓日両国間の建設的で未来志向的な協力を継続できるよう、あらゆる努力を傾ける」という立場を表明しており、文在寅大統領も14日、カン・チャンイル次期駐日韓国大使に「問題が生じても、その問題によって未来志向的に発展すべき両国関係全体が足を引っ張られることがあってはならない」と述べた。
 

 両国の局長はそのほか、韓日間の主要懸案である▽強制動員被害者に対する賠償判決▽日本の輸出規制措置▽海洋放出決定が間近に迫った福島原発汚染水問題などについても意見を交換した。外交部は「双方は韓日間の懸案解決のためには疎通と対話を持続していくことが重要であるという点で認識を共にし、今後も緊密に協議していくことにした」と述べた。日本政府は同日の協議に対し、報道資料などを発表しなかった。
 

キル・ユンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/978976.html
韓国語原文入力:2021-01-1515:46
訳H.J

 

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07 

菅首相、帰国するナム・グァンピョ韓国大使との離任面談も拒否
登録:2021-01-17 19:56 修正:2021-01-18 06:26

TBS放送「慰安婦賠償判決など考慮した」


ナム・グァンピョ駐日韓国大使=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 

 菅義偉首相が韓国に帰国するナム・グァンピョ駐日韓国大使との離任面談も拒否したと伝えられた。最近の韓国の裁判所での日本軍「慰安婦」賠償判決が影響を与えたとみられ、「外交欠礼」との指摘が出ている。
 

 日本の民営放送であるTBSは、「ナム・グァンピョ駐日韓国大使の離任を控えて、菅首相との面談が保留された」と16日夜報道した。結局、ナム大使は菅首相との対面挨拶をせずに16日午後に韓国に戻った。駐日韓国大使が離任に先立ち日本の首相と面談するのが慣例だったことを考慮すれば、きわめて異例のことだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が離任する冨田浩司駐韓日本大使と14日に大統領府で会ったこととも対比される姿だ。
 

 同放送は「複数の政府関係者によると、元慰安婦の賠償判決などを考慮し、菅総理とナム大使の面会は見送られたということ」と報じた。「慰安婦」判決をめぐり自民党など日本国内で強く反発する気流が形成されているだけに、菅首相が韓国政府側に強い立場を示すために、ナム大使との面談を拒否したものと見られる。菅首相は「慰安婦」判決が下された後に記者団に会い「韓日関係の冷却にどのように対処するか」という問いに「まずこの訴訟が却下されなければならない。そこからが始まり」と話している。
 

 後任としてまもなく赴任予定のカン・チャンイル新任駐日韓国大使は17日、ソウルで開かれたオンライン記者懇談会で、菅首相がナム大使に面会しなかったのは外交的欠礼という指摘に触れ、「私もややそんな気がする」として「なぜ挨拶できなかったのか、会えなかったのか理解できない」と反応した。
 

キム・ソヨン、キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/979121.html
韓国語原文入力:2021-01-17 17:38
訳J.S

 

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08 

新駐日韓国大使、強制徴用賠償で「韓日関係最悪…歴史問題は政治的解決策探るべき」

登録:2021-01-18 02:07 修正:2021-01-18 07:34

 

カン・チャンイル新駐日韓国大使記者懇談会 
「慰安婦判決対応、過去の過ち繰り返してはならない」



カン・チャンイル次期駐日大使=資料写真//ハンギョレ新聞社

 

 新任のカン・チャンイル駐日韓国大使は、「国交樹立以来最悪」の韓日関係を解くために、日帝強占期の強制徴用などの歴史問題の「政治的解決策を模索すべき」と強調した。このかん政界は「政治的解決」の必要性を公然と提起してきたものの、これまでに政府が強制徴用賠償問題を「政治的」に解決するという立場を公式に表明したことはない。カン大使は、8日に損害賠償請求訴訟で「慰安婦」被害者が日本政府に勝訴した後の政府の対応過程に言及しつつ「過去の過ちを繰り返してはならない」と述べた。
 

 カン大使は22日の赴任に先立って行われた17日の記者団とのオンラインによる懇談会で「この厳しい時期に両国関係の正常化と未来志向的な関係の構築という重大な課題を任され、重圧感を感じるほど肩が重い」と切り出した。カン大使は「今は1965年の(韓日)国交樹立以来最悪の状況」だとし「今は(過去と違って)歴史問題での対立から経済・安保分野にまで戦線が拡大」しているためと述べた。
 

 カン大使は、強制徴用最高裁判決後の対立を通じて「我々は、歴史問題が経済問題ともつれれば、韓日双方にとってためにならないという教訓を得た」と述べた。そして先日の「慰安婦」被害者への賠償を命じた判決への「対応過程で過去の過ちを繰り返してはならないだろう」と付け加えた。
 

 カン大使は、日本側の今回の判決への対応として、「韓国を国際司法裁判所(ICJ)に提訴すべきだ」との主張があることについては、「ICJ提訴以外にも、韓日協定文に問題があれば第三国に仲裁を任せるという方法もある」と述べた。韓日請求権協定で規定されている紛争解決手続きの一つの仲裁委員会の設置に触れたものだが、政府は先に、強制徴用賠償判決について日本政府による仲裁委への持ち込み要求を拒否している。
 

 カン大使はこの日、数回にわたって「歴史問題は政治的解決策を模索していかねばならない」と強調した。カン大使は、強制徴用被害者問題の解決策については「(両国が)互いに大義名分と原則を守りつつ解決する方法はたくさんある」とし「専門家たちが提示した12の案がある」と述べた。12の案については具体的に紹介しなかったものの、すでに挙がっている代表的な解決策の中には、韓日両国の企業と国民の自発的な寄付金によって財団を設立し、被害者に慰謝料を支給しようという、いわゆる「ムン・ヒサン案」などがある。日本側は、2018年10月の最高裁判決で認められた日本企業の賠償責任を問わないという韓国政府の確約が必要だという立場であり、このような案には否定的な反応を示している。カン大使は「法は法であり、政治的に解決していかねばならない」とし「実際に(日本企業の韓国内資産の)差し押さえまでには時間がかかるだろう。最悪の状況に陥らないために両国が知恵を集めなければならない」と述べた。カン大使は、「韓国政府は2015年12月28日の韓日政府間『慰安婦』合意を履行していない」との日本側の指摘については「韓国政府は(合意内容について)、一度も問題を提起していない」とし「(和解・癒し財団の解消は)理事団などの財団関係者が辞表を出したために財団がなくなったものであって、韓国政府が合意を破棄したものではない」と主張した。
 

 カン大使は、14日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領が信任状授与式で行った要請も紹介した。「文在寅大統領は、韓日関係の正常化と両国の協力体制の強化に努めてほしいと述べた」。また文大統領は「日本の東京五輪開催成功のために、必要ならばどんな役割もいとわない。菅義偉首相とも会って率直に話し合いたい」と述べたという。
 

 一方カン大使は、20日に発足するジョー・バイデン米政権の「韓米日三カ国協力」の強化要求が韓国政府への圧力として作用する可能性はあるかという質問に答える中で、「GSOMIA(韓日軍事情報包括保護協定)は米国の強い意図によって拙速に実現したものだが、我々は受け入れた」と述べ、注目を集めた。カン大使はバイデン新大統領について「慰安婦問題をよく知っている方」とし、「米国は三カ国協力を重視するため、韓日の間で和解に多大な努力を傾けるだろう」との展望を示した。
 

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/979118.html
韓国語原文入力:2021-01-17 17:13
訳D.K

 

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09 

文大統領「慰安婦判決、正直少し困惑しているのが事実」
登録:2021-01-19 04:43 修正:2021-01-19 07:26

年頭記者会見で韓日関係改善への意向を明らかに 
「被害者が同意する解決策を日本と協議する」



文在寅大統領が18日、大統領府春秋館でオン・オフの混合方式で行った年頭記者会見で、懸案に対する立場を明らかにしている間、ユ・ヨンミン秘書室長、ソ・フン国家安保室長、キム・サンジョ政策室長が文大統領を眺めている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、日本軍「慰安婦」被害者への賠償問題について国際慣習法上の国家免除(主権免除)の原則を適用しなかった8日の裁判所判決に対し「正直、少し困惑しているのが事実」だと述べた。また、韓日対立の主な契機となった2018年10月の強制動員被害者への賠償判決については「強制執行の方式で現金化されたり判決が実現する形は望ましくない」という見解を明らかにした。昨年9月の菅義偉政権発足後に示した韓日関係改善への意向をもっと明確にしたと評価される。
 

 文大統領は18日に大統領府の春秋館で行われた年頭記者会見で、韓日間で解決しなければならない懸案として、日本の輸出規制問題と強制徴用被害者の判決問題に言及し、「(問題解決のための外交的)努力をしているなかで、慰安婦判決問題が加わり、正直少し困惑しているのが事実」だと述べた。最高裁の強制動員被害者への賠償判決をめぐり、2019年下半期に韓国と日本が激しい対立を経た後、外交的解決策を模索している最中に予期しない要因が加わったという意味だ。当初政府は、韓国の裁判所が「他国の主権行為は裁判できない」という国際慣習法上の国家免除の原則を尊重し、この判決を棄却するだろうと予想していたという。特に「慰安婦」問題の場合、2015年末の12・28合意を経て日本政府が国家予算10億円(約108億ウォン)を投入し「和解・癒やし財団」を作り、相当数の被害者に「慰労金」を渡した状況だ。「慰安婦」賠償に関連し、現在進行中の二つの裁判の原告32人中の相当数が、財団が支給した1億ウォン(約940万円)の慰労金を受けたことが報じられている。
 

 しかし文大統領は、外交的解決策を導き出すにしても「原告の同意」が必要だというこれまでの立場を再確認した。文大統領は「原告が同意できる方法を両国政府が協議し、韓国政府がその案を持って原告への最大限の説得を成し遂げ、そのような形で問題をきちんと解決していくことができると信じる」と述べた。日本側は強制徴用問題の解決なしには韓日関係の改善は難しいという態度を固守している。
 

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/979316.html
韓国語原文入力:2021-01-19 02:44
訳M.S

 

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10 

文大統領の年頭記者会見、対立懸案避けず「まとめ」に注力
登録:2021-01-19 06:39 修正:2021-01-19 08:21

年頭記者会見、2時間にわたって実施 

朴槿恵・李明博の赦免論には否定的 
月城原発監査・検察捜査には 
「政治的な目的があるとは思わない」



文在寅大統領が今月18日、大統領府で開かれた年頭記者会見で記者団の質問に答えている/聯合ニュース

 

 昨年の年頭記者会見以来、1年ぶりに記者団の質疑に応じた文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、争点を避けず大方は明確な意見を明らかにした。以前とは変わった態度だ。このため、同日の会見は予定された100分をはるかに越えて2時間以上にわたって行われた。任期5年目に入り、これまで激しい軋轢で波紋を広げた問題についても、正面突破などで対立を増幅させるよりは、できるだけ溝を埋めようとするなど、調整者としての役割に努めようとする態度が明らかだった。しかし、文大統領は李明博(イ・ミョンバク)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)前大統領の赦免問題については「国家的に非常に不幸な事態」だとしながらも、「それでも今は(赦免を)取り上げる時期ではない」と述べ、当面の赦免については否定的な立場を示した。
 

 文大統領は18日午前、大統領府春秋館で記者会見を開き、元・前大統領の赦免をはじめ、検察改革や新型コロナウイルスの防疫、不動産、南北関係など多様な懸案に対する考えを明らかにした。文大統領は最初の質問で受けた元・前大統領赦免から「国民が赦免に共感しなければ、統合の案にはなり得ない」とし、国民的共感が先だと答えた。文大統領は「かなり悩んだが、率直に私の考えを申し上げる」とし、「二人の前任大統領が収監されている事実は、国家的に非常に不幸な事態だ。それでも今は赦免を取り上げる時期ではない」と述べた。
 

 ただし、文大統領は「前任大統領を支持した国民が今の状況に心を痛めている状況まで含め、赦免を通じて国民統合を成し遂げようという意見には十分耳を傾ける価値がある」としたうえで、「いつか適切な時期になれば多分もっと深く考慮しなければならない時が来ると思う」と付け加え、赦免の可能性を完全に排除しなかった。文大統領はその時期は退任前かという質問には「今後どうなるかは今はあらかじめ言うことはできない。国民の共感に基づかない一方的な赦免権の行使は難しい」と答え、国民世論を優先するという点を示唆した。


 文大統領は赦免問題を除くほとんどの問題については、対立を和らげようとする姿勢を維持した。
 

 これまで与党と対立してきたチェ・ジェヒョン監査院長とユン・ソクヨル検察総長に対しては、監査院の独立性と検察の中立性を強調し、なだめる線でまとめた。文大統領は月城(ウォルソン)原発早期閉鎖と関連した監査院の監査と、それに続く検察捜査について「政治的目的だとは思わない」と述べた。これと同じ脈絡で、与党に反旗を翻し「大統領選候補」に挙げられたユン総長について「私の評価を一言で申し上げると、彼は『文在寅政権の検察総長』だ」とし、「ユン総長が政治を念頭に置き、政治家になることを見据えていま検察総長の役目を果たしているとは思わない」と述べた。この1年半の間、大統領府と最も激しく対立したように見えるユン総長まで包容する形を取ったのだ。これによって、検察と監査院に対して非難の矛先を向けていた与党勢力の雰囲気が多少和らぐかも注目される。
 

 文大統領はまた、防疫と不動産など国民生活問題に多くの時間を割いた。ワクチンについて無料接種の立場を改めて明らかにする一方、「副作用が発生した場合は十分に政府が補償することになる」とし、政府を信じて防疫と接種に協力するよう求めた。不動産問題については「投機防止に力点を置いたが、結局、不動産市場の安定化には成功しなかった」とし、新年の辞に続き、謙虚な態度を取った。「不動産問題には自信がある」と自信を示してきたこれまでの態度とはかなり異なる。さらに文大統領は「市場が予想する規模をはるかに上回る規模で住宅物量を増やす」と明らかにした。投機抑制基調は維持しながらも、供給を積極的に拡大するという方針を強調したのだ。
 

 一方、文大統領は最近、慰安婦賠償判決でさらに悪化した韓日関係について「歴史問題は事案別に分離して解決策を講じなければならない」とし、「(判決の結果による)強制執行は、韓日両国間の関係において望ましくない」と述べ、破局を避けようとする姿勢を見せた。南北関係については北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記に「(非対面を含め)いつでもどこでも会う」と述べ、南北首脳会談に対する強い意欲を示した。
 

イ・ワン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/979329.html
韓国語原文入力:2021-01-190:46
訳H.J

 

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11 

菅首相、韓日関係改善は韓国側が解決策を示してからという立場再び表明
登録:2021-01-19 06:42 修正:2021-01-19 06:48

施政方針演説で「韓国側に適切な対応を強く求める」


菅義偉首相が今月18日、通常国会の開会を機に施政方針演説をする途中、水を飲んでいる=東京/ロイター・聯合ニュース

 

 菅義偉首相が18日、通常国会の開会を機に行った施政方針演説で、韓日関係の改善について、韓国側が先に解決策を示すべきという立場を再び表明した。
 

 菅首相は同日、東京の国会議事堂での演説で「現在、両国関係は非常に厳しい状況にある」としたうえで、「健全な関係に戻すためにも、わが国の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を強く求めていく」と述べた。施政演説は年明けの通常国会開会に合わせて、首相が1年間の国政方針を説明する場だ。
 

 菅首相が言及した「日本の一貫した立場」とは、強制動員と「慰安婦」被害問題の場合、1965年の韓日請求権協定と2015年の韓日「慰安婦」合意により、すべて解決済みという立場をいう。「韓国が国際法を違反した」と直接的な非難は行わなかったものの、韓日関係を回復するためには二つの問題に対して韓国が解決策を示すべきという意思は明確にした。
 

 菅首相は演説で韓国について「重要な隣国」と述べた。昨年10月の所信表明演説では「韓国は極めて重要な隣国」と表現したが、最近の韓国裁判所の「慰安婦」被害賠償判決に対する日本の反発を意識し、「極めて」を除いたものと見られる。
 

 一方、茂木利三外相は同日、国会で行われた外交演説で、独島(日本名・竹島)が日本領土だと主張した。日本の外相が外交政策の基本方向を説明する外交演説で独島が自国の領土だと主張するのは、2014年以降8年連続だ。
 

キム・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/979254.html
韓国語原文入力:2021-01-190:31
訳H.J

 

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