【〇○婦問題】2021.01 (h) ① | ぺる Ⅱのブログ

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続・チラシの裏書き

 

 

 

目次 

 

2021

01(01/04)[特派員コラム]植村さんは捏造記者ではない

02(01/07)[フォト] 新年初の水曜集会…「今年は公式謝罪と賠償が行われますように」

03(01/08)日本軍慰安婦訴訟、被害者ら勝訴「反人道的行為…『慰安婦』被害者に賠償」認める

04(01/09)正義連「『慰安婦』被害者への賠償判決を歓迎…日本、遅滞なく賠償すべき」

05(01/09)外交部「判決の影響を綿密に検討…韓日協力維持のために努力」

06(01/09)「慰安婦賠償判決」に日本「国際法違反、韓国は是正措置講じよ」

07(01/09)[ニュース分析]慰安婦証言から30年…韓国裁判所、日本政府に初の賠償命令

08(01/09)カン・チャンイル新駐日韓国大使「韓日関係はすでに最悪…最悪がさらに追加された」

09(01/09)日本政府、新しい駐韓国大使に“韓国通”の相星氏を閣議決定

10(01/09)慰安婦裁判で国家免除を否定した裁判部「日本帝国主義の反人道犯罪、韓国に裁判権」

11(01/09)菅首相「慰安婦賠償判決、断じて受け入れられない」

12(01/11)日本に「国家賠償」命じた「慰安婦判決」、その後のシナリオは

13(01/11)日本、「慰安婦賠償判決」国際司法裁判所への提訴を検討

14(01/12)日本政府相手取った「慰安婦」裁判の二度目の判決、2日前に突然延期

 

 

 

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01 

[特派員コラム]植村さんは捏造記者ではない
登録:2021-01-04 03:29 修正:2021-01-04 07:35


元朝日新聞記者の植村隆さん(右)が2019年12月「第7回リ・ヨンヒ賞」の授賞式で、リ・ヨンヒ財団のペク・ヨンソ理事長から賞を受け取っている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 

 安倍晋三前首相は11月21日、自身のSNSに「植村記者と朝日新聞の捏造が事実として確定したという事ですね」とコメントした。そこには2日前に出た裁判の記事が添付してあった。元朝日新聞記者の植村隆さん(62)は、自身の記事を捏造だと誹謗してきた右翼関係者を相手取った名誉毀損訴訟で、5年以上の争いの末、敗訴となった。この裁判は名誉棄損としては認められなかっただけであって、植村の記事が捏造と判断されたわけではない。にもかかわらず安倍前首相は「植村=捏造記者」として公然と批判した。「日本の最長在任首相」でフォロワー数が60万人を超える安倍前首相のコメントは、社会的影響力が大きくならざるを得ない。
 

 植村さんは黙っていなかった。嘘の情報が事実のように悪用される恐れがあるからだ。植村さんは、コメントを削除しなければ法的措置を取るとの内容証明を送った。10日後、安倍前首相のコメントは静かに削除された。植村さんは、自分の記事が捏造ではないことが再確認されたとして謝罪を求めた。
 

 植村さんが強く出たのにはわけがある。彼は1991年8月11日、朝日新聞に日本軍慰安婦被害者の金学順(キム・ハクスン)さん(1997年死去)の証言を初めて報道した記者だ。記事は、韓国挺身隊問題対策協議会(正義記憶連帯の前身)が金さんに会って録音した内容を根拠として書かれ、匿名で報道された。金さんは光復節を翌日に控えた8月14日、記者会見で自ら被害事実を初めて世に語った。
 

 被害当事者の記者会見により、当時あまり注目されなかった植村さんによる第一報は、23年を経て議論となる奇異な状況が発生した。2014年1月に発行された週刊誌『週刊文春』が「“慰安婦捏造”朝日新聞記者がお嬢様女子大教授に」という記事を載せたことで、想像も困難な苦しみが植村さんを襲いはじめた。いわゆる「個人攻撃」による脅迫が起きたのだ。『必ず殺す』、『娘をいじめよう』 。家族はもちろん、新たに転職する大学、現在勤めている職場に、右翼の無差別な攻撃が加えられた。結局、第二の人生を始める予定だった大学との契約も取り消された。
 

 右翼が同記事を捏造だと主張した理由は大きく2つある。慰安婦の説明で挺身隊と表現したことと、彼女たちが強制連行されたと書いたこと。この記事のせいで日本が国際社会で恥をかいたと追及したのだ。しかし、1990年代序盤、挺身隊と慰安婦という用語は混用されていたし、同記事には「騙されて」との言及があるだけで、強制連行という言葉はない。そもそもの事実がどうだったのかよりも、慰安婦問題を「被害者の視点」で取り上げたらどうなるかの見せしめが必要だったものとみられる。当時は2012年12月に再び政権の座についた安倍前首相が、慰安婦動員の強制性を認めた「河野談話」(1993年)に対して否定しはじめており、極右勢力を中心とする歴史歪曲の動きが強かった時期だ。
 

 先月28日で、韓日両政府による慰安婦合意は5年目を迎えた。日本はいつものように、この問題はすべて終わったと強調した。慰労金も与え、安倍前首相の謝罪も表明したのだから、もうやめろと迫る。慰安婦被害者の声を伝えた植村さんを捏造記者に仕立てようという執拗な攻撃を見ていると、果してこの問題が解決されたのか、これが謝罪した国の姿なのか、疑わざるを得ない。韓国において、外交的波紋を懸念しつつも慰安婦被害者たちが日本政府を相手に損害賠償訴訟に立ち上がったことを支持する声が多いのは、真正性と一貫性が欠如した日本の態度のせいでもある。訴訟の一審判決は1月8日と13日に予定されている。


  //ハンギョレ新聞社
 

キム・ソヨン|東京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/976790.html
韓国語原文入力:2020-12-31 18:51
訳D.K

 

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02 

[フォト] 新年初の水曜集会…「今年は公式謝罪と賠償が行われますように」

登録:2021-01-07 06:26 修正:2021-01-07 07:18

 

1992年に始まった水曜集会、今年で29周年


2021年初の水曜集会が1月6日午後、ソウル鍾路区の旧日本大使館前で、日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯の主催で行われている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 

 2021年初の水曜集会(第1473回)が6日午後、ソウル鍾路区(チョンノグ)旧日本大使館前で、日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯の主催で開かれた。故金学順(キム・ハクスン)さんが1991年8月14日、国内居住者としては初めて日本軍「慰安婦」被害者であることを証言し、数十年間提起されていなかった「慰安婦」問題が公論化され、翌年の1992年1月8日、宮沢元首相の訪韓を機に、水曜集会が始まった。今年で29周年を迎える。


 イ・ナヨン正義記憶連帯理事長は29周年記念の挨拶と経過報告で、「29年という長い年月の間、日本軍性奴隷制問題の解決を求めてきた水曜集会は、日本軍性奴隷制問題の正しい解決を通じた被害者たちの人権と名誉の回復を越え、人権や正義、平和など大切な価値に向けて語り合って共感する連帯の場となってきた。私たちは29年間そうだったように、これからもしっかりとこの場で多くの人と手を取り合い、日本政府にさらに大きな声で叫ぶ」と述べた。



第1473回日本軍性奴隷制問題の解決のための定期水曜集会が開かれている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

「正義記憶連帯」のイ・ナヨン理事長が、水曜集会29周年の記念のあいさつと経過報告を行っている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 

キム・ボンギュ先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/977570.html
韓国語原文入力:2021-01-0616:47
訳H.J

 

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03 

日本軍慰安婦訴訟、被害者ら勝訴「反人道的行為…『慰安婦』被害者に賠償」認める

登録:2021-01-08 10:48 修正:2021-01-08 11:52

 

「慰安婦」被害者ら、5年目にして勝訴


2019年8月14日、ソウル鍾路区の駐韓日本大使館前平和路で正義記憶連帯の主催で第1400回日本軍性奴隷制問題の解決のための定期水曜集会および第7次世界日本軍慰安婦メモリアル世界連帯集会が開かれた=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 

 日本軍慰安婦被害者と遺族が日本政府を相手に韓国の裁判所で起こした損害賠償請求訴訟で、日本政府の被害者らに対する賠償責任が認められた。
 

 8日、ソウル中央地裁民事34部(キム・チョンゴン裁判長)は、故ペ・チュンヒさんなど12人が日本政府を相手に起こした損害賠償請求訴訟で、日本政府が1億ウォン(約950万円)ずつ賠償するよう原告勝訴の判決を下した。2016年1月に事件が正式に裁判に付託されてから5年目に出た判決。裁判部は「(日本政府の)反人道的行為は国家免除理論を認められない」、「日本の不法行為が認められ、被害者たちは想像を絶する肉体的、精神的苦痛を受けたものと見られるが、日本は反省していない」と述べた。
 

 ペ・チュンヒさんらは、慰安所で強姦や暴行、飢えなどに苦しめられ、奴隷的状態に置かれており、慰安所の設置と運営も不法に行なわれたという理由などで、2013年8月に初めて慰謝料1億ウォンずつを請求する調停申立てを裁判所に提出した。しかし、日本は自国の事件について他国の法廷で裁判を受けられないという主権免除の原則を掲げ、関連書類の送達を拒否した。結局、裁判所は職権で公示送達で日本政府に訴状を送り、2016年に正式裁判に付託された後、昨年4月になって初の裁判が開かれた。
 

 ペさんらが訴訟を起こした事件の他にも、民主社会のための弁護士会(民弁)が代理する故クァク・イェナムさんらのもう一つの慰安婦訴訟も13日に一審の判決を控えている。
 

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/977900.html
韓国語原文入力:2021-01-08 10:21
訳C.M

 

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04 

正義連「『慰安婦』被害者への賠償判決を歓迎…日本、遅滞なく賠償すべき」

登録:2021-01-09 03:12 修正:2021-01-09 08:31

 

被害生存者わずか5人…即時の賠償求める


正義記憶連帯のイ・ナヨン理事長が8日、ソウル中央地裁で、日本政府に対し日本軍「慰安婦」被害者への賠償を命じた判決について立場を表明している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 

 裁判所が日本政府に対し、日本軍「慰安婦」被害者への賠償を命じた8日の判決について、正義記憶連帯(正義連)は「記念碑的で先駆的な判決」だと述べ、歓迎の意を明らかにした。
 

 正義連、ナヌムの家、平和ナビネットワークなどの市民団体は8日、判決後に文書で立場を表明し、その中で「日本軍『慰安婦』被害者たちが日本国を相手取って起こした損害賠償請求訴訟において、裁判所は原告に対する被告日本国の損害賠償責任を認める記念碑的判決を言い渡した」と述べ、歓迎の意を明らかにした。これらの団体は「大韓民国の憲法秩序に符合するだけでなく、国際人権法の人権尊重の原則を先頭に立って確認した先駆的な判決」とし「韓国の裁判所はもちろん、世界各国の裁判所が模範としうる人権保護の新たな地平が開かれた」と評価した。


 正義連などは日本に対し、即時の賠償を求めた。「裁判中に原告の相当数が亡くなり、現在生存者は5人にすぎない。時間がない」とし「日本政府は遅滞なく判決に従って賠償すべき」と主張した。そして日本に対し、日本軍「慰安婦」問題に対する責任を認めること▽心からの謝罪と追悼▽持続的な真相究明▽正しい歴史教育、などを履行することを求めた。


 これらの団体は「今日の歴史的な判決が、日本軍『慰安婦』問題の正義にもとづく解決のための羅針盤となり、もう一度具現化すると信じている」として文書を結んだ。13日には、日本軍「慰安婦」被害者が起こしたもう一つの損害賠償請求訴訟が一審判決を迎える。


 一方、「慰安婦」被害者の訴訟代理人キム・ガンウォン弁護士は同日、ソウル中央地裁で記者団に対し「本当に感無量だ。『慰安婦』被害者がこれまでに受けてきた仕打ちに対する最初の判決ということに意味がある」と話した。裁判所が命じた賠償金を日本政府が支払わなかった場合に強制執行の可能性はあるのかとの問いには「執行可能な財産があるかどうか、別途検討しなければならない。今日即答するのは難しい」と述べた。


 ソウル中央地裁民事34部(キム・ジョンゴン裁判長)はこの日午前、故ペ・チュンヒさんら12人が日本政府を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、原告勝訴の判決を言い渡した。同地裁は判決で、「日本政府の反人道的行為により、原告たちは想像しがたい激しい苦痛に苦しんだ」とし、「被告の日本政府に対し、原告への1人当たり1億ウォン(約950万円)の支払いを命ずる」と述べた。
 

イ・ジュビン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/977936.html
韓国語原文入力:2021-01-08 13:57
訳D.K

 

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05 

外交部「判決の影響を綿密に検討…韓日協力維持のために努力」
登録:2021-01-09 03:13 修正:2021-01-09 08:41

8日の慰安婦判決について報道官が声明


8日、裁判所の判決を受けた原告のうちの一人の故ペ・チュンヒさんの胸像/聯合ニュース

 

 外交部は、8日の日本軍「慰安婦」被害者への賠償を命じた判決について「外交関係に及ぼす影響を綿密に検討し、両国間の建設的で未来志向的な協力が続くよう、様々な努力を傾ける」と述べた。
 

 外交部はこの日、韓国の裁判所が日本政府に対し、慰安婦被害者への1人当たり1億ウォン(約950万円)の賠償を命じた判決について、報道官論評を発表し「政府は司法の判断を尊重し、慰安婦被害者の名誉と尊厳を回復するために、韓国政府がなし得るあらゆる努力を行っていく。本判決が外交関係に及ぼす影響を綿密に検討し、韓日両国の建設的かつ未来志向的な協力が続くよう、様々な努力を傾ける」と述べた。
 

 政府のこのような立場は、昨年9月の菅義偉首相就任後、韓日関係の改善に向けて努力してきた対日外交の延長線上にあり、同判決が両国関係に及ぼす影響を最小限に抑えるとの意志を表わしたものと解釈される。政府は、先の2018年10月の最高裁(大法院)判決の際には、「司法府の判決に政府は介入できない」との強硬な立場を示し、その翌年の韓日関係を史上最悪の対立関係へと追い込んだ。
 

 外交部はまた、この日の論評で「2015年12月の韓日政府間の慰安婦合意(12・28合意)が両国政府の公式な合意であるということを想起する」と付け加えた。12・28合意について「日本軍慰安婦被害者問題の真の問題解決にはなり得ない」と述べたカン・ギョンファ外交部長官の2018年1月の発言以降、事実上ほぼ初めてこの合意に言及したことになる。日本政府が慰安婦問題に対する「責任」を認めて10億円の国家予算を支給した当時の「合意の精神」に基づいて、問題の円満な解決を望むとの意志を表明したものと解釈される。
 

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/977974.html
韓国語原文入力:2021-01-08 17:27
訳D.K

 

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06 

「慰安婦賠償判決」に日本「国際法違反、韓国は是正措置講じよ」
登録:2021-01-09 03:14 修正:2021-01-09 11:02

加藤官房長官「控訴する考えはない」 
外務省も公式資料発表し「極めて遺憾」



加藤勝信官房長官=首相官邸ホームページより//ハンギョレ新聞社

 

 日本政府は、日本軍「慰安婦」被害者への賠償を命じた韓国の裁判所の判決について「国際法違反」とし、「受け入れられない」と強く反発した。
 

 日本の加藤勝信官房長官は8日午前、定例記者会見で「(韓国の裁判所の判決は)極めて遺憾であって、断じて受け入れることはできない」とし、韓国政府に強く抗議したと明らかにした。
 

 加藤官房長官は、「国際法上の主権免除の原則から、日本政府が韓国の裁判権に服することは認められず、本件訴訟は却下されなければならないとの立場を累次にわたり表明してきた」と強調した。そして「韓国が国際法違反を是正するために適切な措置を講ずることを強く求めていく」と述べた。主権免除の原則により、この訴訟自体が認められないだけに、加藤官房長官は「控訴する考えはない」と明らかにした。
 

 加藤官房長官はまた、慰安婦問題が韓日政府の合意により、すべて解決済みということを再度強調した。同氏は、「慰安婦問題を含め、日韓間の財産、請求権の問題は、1965年の韓日請求権協定で完全かつ最終的に解決済み」、「慰安婦問題については、2015年の日韓合意において、最終的かつ不可逆的な解決が日韓両国政府の間でも確認されている」と述べた。
 

 加藤官房長官はさらに、「13日に判決が予定されている類似の訴訟においても、訴訟は却下されなければならず、韓国政府が日韓合意に従って適切な対応をとることを強く求める」と付け加えた。
 

 日本外務省も公式資料で、「ナム・グァンピョ駐日韓国大使を直ちに召致し、本判決は断じて受け入れられない旨強く抗議を行いました」と述べた。外務省は「国際法上の主権免除の原則を否定し、原告(慰安婦被害者)の訴えを認める判決を出したことは、極めて遺憾」と強調した。
 

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/977934.html
韓国語原文入力:2021-01-08 13:39
訳D.K

 

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07 

[ニュース分析]慰安婦証言から30年…韓国裁判所、日本政府に初の賠償命令
登録:2021-01-09 06:07 修正:2021-01-14 10:09

被害者12人に1億ウォンずつ賠償 
裁判所「反人道的な慰安婦犯罪 
日本政府に主権免除適用できない」 
菅首相「却下すべき」反発 
 
正義記憶連帯「記念碑的判決」 
韓日の環境上、執行は困難極める見通し



日本軍「慰安婦」被害者たちが日本政府を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で初めて勝訴した今月8日午後、京畿道広州市の「ナヌムの家」に故ペ・チュンヒさんをはじめ、亡くなったハルモ二(おばあさん)たちの胸像が建てられている/聯合ニュース

 

 韓国の裁判所が「国内裁判所は外国政府に対する訴訟で裁判権を行使しない」という国際慣習法上の主権免除(国家免除)の原則を破り、日本政府が日本軍「慰安婦」被害者たちに各1億ウォン(約950万円)を賠償しなければならないとの判決を下した。慰安婦問題に対する普遍的正義と人権の原則を再確認する初めての判決である点で意義深い。しかし、日本政府の反対を押し切って賠償金を受け取る実効的手段を見つけるまではかなりの困難が予想されており、“象徴的結論”として残る可能性が高い。
 

 ソウル中央地裁民事34部(キム・ジョンゴン裁判長)は8日、故ペ・チュンヒさんら12人が日本政府を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、「日本政府は(原告らに)1億ウォンずつ賠償せよ」として、原告勝訴判決を言い渡した。2016年1月に事件が正式裁判にかけられてから5年目に出た判決だ。
 

 今回の判決の主な争点は、普遍的人権の基準からみて、明確な「反人道的な不法行為」である慰安婦問題に主権免除の原則を適用するかどうかだった。裁判所はこれについて、慰安婦制度は「日本帝国によって計画的かつ組織的に広範囲に行われた反人道的犯罪行為であり、国際強行規範を違反したもので、この事件の行為が国家の主権的行為だとしても、国家免除を適用することはできない。被告(日本政府)が国家共同体の普遍的価値を破壊し、反人権的行為によって被害者に深刻な被害を加えた場合まで、(原告らが自らの被害を救済するための)最終的手段として選んだ民事訴訟で、裁判権が免除されると解釈するのは不合理で不当な結果をもたらす」と判断した。
 

 1991年8月、慰安婦だったことを証言した金学順(キム・ハクスン)さんの初の告発以降、日本政府による政治的妥協(1995年のアジア女性基金)、日本の裁判所での訴訟(3件いずれも敗訴)、韓日政府間の外交的妥協(2015年12月の韓日合意)など、30年にわたる長い紆余曲折の末に、韓国の裁判所が被害者たちが望んできた「法的賠償」要求に終止符を打ったのだ。
 

 本判決は、2018年10月の最高裁判所(大法院)判決の論理的延長線上で考えると、“当然の結論”と言える。当時、最高裁は、植民地支配期に行われた強制動員被害が1965年韓日協定に含まれていない「反人道的不法行為」だと判断し、強制動員を行なった日本の企業に被害者一人当たり各1億ウォンの賠償を命じた。同判決が言い渡された状況で、それよりも重大な「反人道的不法行為」の被害者である慰安婦被害者の賠償要求を「主権免除」を理由に排斥するのは、大韓民国憲法の基本精神と人類の普遍的正義観念に反すると言わざるを得ない。このような考えから、裁判所は「絶対規範に違反し、他国の個人に大きな損害を与えた国家が国家免除理論に隠れて賠償と補償を回避する機会」を与えてはならないと判示した。



日本軍慰安婦被害者だったことを公の場で初めて証言した故金学順さん/ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 

 しかし、韓国の前に横たわっている外交の現実を考えると、この判決が円満に執行されるのは不可能かもしれない。強制労働をめぐる最高裁の判決でも、原告団が判決の履行のために日本企業の資産の差し押さえ・売却手続きを進めたことに対し、日本政府は大きく反発し、2019年7月に半導体生産に欠かせない3品目の輸出規制を強化するなど、“報復措置”を打ち出した。その後、韓日両国から互いに対する怒りと憎悪の声が沸き上がるなど、韓日関係は史上最悪の危機に陥った。
 

 同日の判決の被告である日本政府は、判決自体を「国際法違反」だと主張し、受け入れられないという立場を示した。共同通信の報道によると、菅義偉首相は同日午後、首相官邸で記者団に「国際法上、主権国家は他国の裁判権には服さない」とし、「この訴訟は却下されるべきだ」と述べたという。さらに慰安婦問題についても「1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決済みだ」という立場を明らかにした。日本外務省の秋葉剛男事務次官は8日、ナム・グァンピョ駐日韓国大使を呼び「国際法上主権免除の原則を否定し、原告の請求を認める判決を下したことは非常に遺憾であり、日本政府としてはこの判決を決して受け入れることはできない」と抗議した。
 

 もし今後、強制徴用や「慰安婦」被害者など原告団が日本政府の韓国内の資産に対する強制執行の手続きに乗り出すことになれば、両国関係は“破綻”に至るしかない。7月の東京五輪を「平和五輪」として活用し、朝鮮半島平和プロセスを再稼働するという政府の計画も台無しになる。外交部は午後、報道官論評を発表し、「政府は裁判所の判断を尊重し、慰安婦被害者の名誉と尊厳を回復するために韓国政府ができる努力をしていきたい。本判決が外交関係に及ぼす影響を綿密に検討し、韓日両国間の建設的かつ未来志向的な協力が続けられるよう諸般の努力を傾ける」と述べた。昨年9月の菅義偉首相就任から続いてきた韓日関係改善の努力に悪影響がないようにするという考えを示したものと見られる。
 

キル・ユンヒョン、キム・ソヨン、チャン・イェジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/977996.html
韓国語原文入力:2021-01-09 02:04
訳H.J

 

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08 

カン・チャンイル新駐日韓国大使「韓日関係はすでに最悪…最悪がさらに追加された」

登録:2021-01-09 06:15 修正:2021-01-09 07:57

 

大使内定から2カ月で公式任命


カン・チャンイル前議員が今月8日、駐日本大使に任命された=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 

 カン・チャンイル前国会議員(69)が新しい駐日韓国大使に公式に任命されたと、外交部が8日発表した。昨年11月の内定発表から約2カ月、彼が任命状を授与されたのは、ちょうど日本軍「慰安婦」被害者に対して韓国の裁判所が日本政府の賠償責任を認めた日だ。日帝強制占領期(日本の植民地時代)の強制徴用被害者への賠償判決に続き、「慰安婦」被害者賠償問題まで重なり、新しく赴任する駐日韓国大使にとっては、さらに細く、険しい道を歩まざるを得なくなった。
 

 カン大使は同日、慰安婦関連判決について「歴史問題をめぐり韓日間に累積された軋轢の要因がもう一つ追加され、肩の荷がさらに重くなった」とし、「韓日関係はこれ以上悪くなるのが考えられないほど、すでに最悪の状況にあり、これからは良くなるだけだと信じて、韓日関係の発展に最善を尽くしていきたい」と述べた。カン大使は14日、大統領府で任命状を受け、22日ごろ日本に向けて出国する予定だ。
 

 済州(チェジュ)出身のカン大使は17~20代まで国会議員を4期務めており、韓日議員連盟会長を歴任した。昨年4月の第21代総選挙には出馬しなかった。駐日大使内定の発表後、過去の強硬発言が注目され、日本政府のアグレマンを得るのに問題が生じるのではなないかという懸念の声も上がったが、最近アグレマンを得たという。アグレマンは外交使節に対する駐在国の同意を指す。
 

 日本メディアは、カン大使が2011年5月に日本が領有権を主張するロシアの南クリル諸島(千島列島)を訪問し、「北方四島はロシアの領土」だと発言しており、2019年10月には天皇に対する韓国政府の公式呼称をめぐり、「韓国では(天皇ではなく)日王と呼ぼう」と述べるなど、対日強硬発言を行った前歴に注目した。
 

 これについて、カン大使は昨年12月、日本の記者団に千島列島について「ロシアに奪われ、占有されたという趣旨で話したが、上手く伝わらなかった」と釈明すると共に、天皇の呼称についても「大使に赴任すれば天皇と呼ばなければならない」と述べた。
 

 外交部はまた、ホン・ソギン駐米国公使を駐ホノルル総領事に任命した。
 

パク・ビョンス (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/977919.html
韓国語原文入力:2021-01-0816:40
訳H.J

 

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09 

日本政府、新しい駐韓国大使に“韓国通”の相星氏を閣議決定
登録:2021-01-09 06:36 修正:2021-01-09 09:35

8日に決定し、今月中に赴任する見込み


相星孝一・新駐韓日本大使=聯合ニュース資料写真/聯合ニュース

 

 日本の相星孝一駐イスラエル大使(61)が、新しい駐韓大使として赴任する。強制動員問題に続き、日本軍「慰安婦」被害者損害賠償の判決で、さらに悪化すると見られる韓日関係を調整しなければならない重大な任務を抱えることになった。
 

 日本政府は8日、菅義偉首相主宰の閣議で、駐韓大使に相星駐イスラエル大使を同日付で発令する人事を決定した。相星新大使は、韓国で二度も勤務した経験があり、韓国語が流暢で韓国文化にも精通していることで知られる。韓日関係においてなかなか接点を見出せない中、菅政権が韓国をよく知る大使を起用することで、問題解決の糸口を探ろうとしているものと見られる。毎日新聞は「在韓大使館での勤務経験のある相星氏の起用により、元徴用工問題などで冷え込んでいる日韓関係の改善のタイミングを見極めたい考えだ」と報じた。
 

 相星大使は鹿児島県出身で、1983年に東京大学教養学部を卒業して外務省に入省し、在韓日本大使館で書記官(1999)と参事官(2000)を経て公使(2006)として勤めた経歴がある。2回にわたる韓国在任期間は合わせて4年2カ月。
 

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/977941.html
韓国語原文入力:2021-01-0814:51
訳H.J

 

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慰安婦裁判で国家免除を否定した裁判部「日本帝国主義の反人道犯罪、韓国に裁判権」
登録:2021-01-09 07:57 修正:2021-01-09 09:50

慰安婦被害者、8年を経ての勝訴判決 
「憲法・国連人権宣言で保証する 
裁判を受ける権利の実効性を認めるべき」



故ペ・チュンヒさんなど日本軍「慰安婦」被害者12人が日本政府を相手に起こした損害賠償請求訴訟でソウル中央地裁が「原告1人当り1億ウォンを賠償せよ」と原告勝訴判決を下した8日午前、正義記憶連帯のイ・ナヨン理事長が立場を明らかにしている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 

 8日、韓国の裁判所が故ペ・チュンヒさんら12人が日本を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で原告勝訴判決を下したのは、反人権的犯罪行為に対しては「他国の主権行為は裁判できない」という国家免除論を適用してはならないという点を初めて認めたという意味がある。日本軍による「慰安婦」被害を、長きにわたる慣習法で固まった国家免除論ではなく憲法的権利と人権問題とみなし、司法的責任を問うたのだ。
 

 この事件が2013年に初めて司法的判断の対象になったのち、一審判決までおよそ8年を要したのも、日本の「国家免除論」の主張に関連する。慰安婦被害者であるペさんらは、2013年8月に日本政府を相手取り原告1人当りそれぞれ1億ウォン(約950万円)の慰謝料を請求する調停申立てを初めてソウル中央地裁に出した。これは、2011年の憲法裁判所の決定によるものだった。憲法裁判所は、慰安婦問題に関して政府が問題解決のための具体的な努力をしないのは、被害者の基本権を侵害するもので違憲だと判断した。これに対し被害者は、双方の当事者の交渉により紛争を解決する調停を申し立てたが、日本政府は国家免除論を理由に数年間調停に応じなかった。その間、ペさんやキム・ウェハンさんなどが亡くなった。結局、被害者の要請により事件は2016年1月、正式裁判に回付された。昨年1月、裁判所は日本政府への公示送達により訴状を出して訴訟が開始されたとみなし、被告(日本政府)席が空いたまま、4回の弁論の末に一審を宣告した。これに先立ち、1998年の慰安婦および勤労挺身隊被害者が、日本の山口地方裁判所下関支部で起こした損害賠償請求訴訟(「関釜裁判」と呼ばれる)の一審で一部勝訴した事例はあるが、今回の場合のように、韓国の裁判所で他国の主権的行為に対する賠償責任が全面的に認められたのは初めてだ。
 

 裁判部は韓国憲法を根拠に、この事件で最大の争点となった被害者の「裁判を受ける権利」を認めた。日本が反人権的犯行を犯した事件であるにも関わらず、国家免除論を理由に訴訟の提起を認めないのは憲法に反するという趣旨だ。裁判部は「憲法27条(裁判請求権)と国連世界人権宣言も裁判を受ける権利を明らかにしている。権利救済の実効性が保障されなければ、これは憲法上の裁判請求権を空虚なものにしてしまう」として、重大な人権侵害を被った被害者の実質的な権利救済を強調した。
 

 裁判部はまた、慰安婦被害者に対する性的搾取や暴力などの不法行為は、国際法上の強行規範(絶対規範)に違反したため、このような犯行まで国家免除を理由に責任を減じることはできないとも判断した。「国家免除理論は、主権国家を尊重し、むやみに他国の裁判権に従わないようにする意味を持つものだ。国際強行規範に違反し他国の個人に大きな損害を負わせた国家に、国家免除理論の後ろに隠れ賠償と補償を回避できるような機会を与えるためのものではない」ということだ。
 

 裁判部は、韓国での今回の裁判が被害者としては“最後の手段”である点も強調した。「慰安婦」被害者らは、日本と米国などの裁判所で何度も民事訴訟を起こしたが、すべて棄却されたり却下されたりした。日本は、1965年の請求権協定により賠償責任を負う理由がないという立場であり、日本の最高裁判所も被害者の主張を認めなかった。2015年の韓日慰安婦合意も被害者が排除された両国間の協議であり、憲法裁判所もこの合意が被害者の被害回復のための法的措置ではないという趣旨を明らかにしている。これに対し裁判部は「請求権協定と2015年合意も、被害者個人に対する賠償を包括できなかった。交渉力や政治的権力を持てない個人にすぎない被害者としては、この訴訟以外には損害賠償を受ける方法は手が届かないところにある」とした。
 

 故クァク・イェナムさんらの損害賠償請求訴訟を代理するイ・サンヒ弁護士は、「これに先立ち、ドイツのナチスの犯行についてイタリアでも似た判決が出た」とし、「これは被害者個人の人権をさらに重視しなければならないという国際法的な流れを強固にしたもので、これを出発点にして、この件を人権の観点から未来志向的に解決する案を論議しなければならない」とした。
 

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/977992.html
韓国語原文入力:2021-01-09 02:05
訳M.S

 

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菅首相「慰安婦賠償判決、断じて受け入れられない」

登録:2021-01-09 08:29 修正:2021-01-09 08:44

 


日本の菅義偉首相=東京/AFP・聯合ニュース

 

 日本の菅義偉首相は8日、韓国の裁判所の日本軍「慰安婦」被害者への賠償判決について「断じて受け入れることはできない」と明らかにしたと共同通信が報道した。
 

 菅首相はこの日の午後、首相官邸で記者団に会い、「国際法上の主権国家は他国の裁判権に服さない」とし、「訴訟は却下されなければならない」と述べたと共同通信は伝えた。菅首相は裁判直後に出た日本政府の公式の立場を再び強調したのだ。
 

 菅首相は慰安婦問題に対しても「1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決済みだ」と明らかにした。
 

 これに先立ち韓国のソウル中央地裁はこの日午前、日本政府が日本軍「慰安婦」被害者である原告に、1人当りそれぞれ1億ウォン(約950万円)を賠償せよと判決を下した。日本政府の報道官である加藤勝信官房長官は定例記者会見で、裁判所の判決について「受け入れることはできない」とし、「韓国が国際法違反を是正するために適切な処置を講ずることを強く求める」と明らかにしている。
 

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/977988.html
韓国語原文入力:2021-01-08 19:01
訳M.S

 

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日本に「国家賠償」命じた「慰安婦判決」、その後のシナリオは
登録:2021-01-11 03:42 修正:2021-01-11 07:00

日本メディア「国際司法裁判所での解決を検討」 
韓国政府が拒否すれば、国家賠償認めた「象徴的判決」として残る可能性も



日本政府に対し、日本軍「慰安婦」被害者への賠償を命じた韓国司法の判決が出た8日に、ソウル鍾路区の「平和の少女像」前に置かれていた被害者たちの写真/聯合ニュース

 

 韓国司法が8日に下した日本軍「慰安婦」被害者への賠償を命じる判決について、日本のメディアは国際司法裁判所(ICJ)への提訴の可能性に言及している。人類に対する「反人道的不法行為」である慰安婦問題をめぐる、30年にわたって繰り返される外交攻防を終えて、判決を履行させるには、韓国においてもこれに応じることを積極的に検討しなければならないと見られる。
 

 日本国内の右翼の情緒を反映する産経新聞は9日、政府当局者の言葉を引用し、ソウル中央地裁の慰安婦判決について「日本政府が、国際司法裁判所への提訴を検討していることが分かった。韓国の裁判権に服することを避けるため控訴はしない一方、国際司法の場で韓国の不当性を明らかにする考え」と報じた。朝日新聞も10日、同様の趣旨の報道において、「訴訟手続きの推移や韓国側の対応を見極めて判断する」との日本政府の方針を伝えた。
 

 国際司法裁判所は、国家間紛争が発生した時に、国際法によって解決する機関だ。日本政府はこれまで、独島をめぐる領土問題、2018年10月の韓国最高裁の判決で確定した強制動員被害者への賠償問題などについて、国際司法裁判所で問題を解決しようとの旨を公式・非公式に提案してきている。国際司法裁判所の判断を受けるには両国の同意が必要だが、韓国が応じていないため実現したことはない。これを念頭に置いたかのように、日本政府高官は朝日新聞に「国際司法裁判所への提訴も有力な選択肢だ。応じなければ、韓国側の立場が悪くなるのではないかと思う」と述べた。
 

 韓国がこれまで国際司法裁判所で解決しようとの日本の要請を拒否してきたのは、独島のケースでは、実効支配中の領土問題を解決するために国際司法裁判所に持ち込むのは何の実益もなく、最高裁判決のケースでは、日帝による朝鮮人強制動員が1965年の韓日請求権協定で解決されていない「反人道的不法行為」と認められるか100%の確信が持てなかったからだ。韓国の最高司法機関である最高裁の判決が覆されれば、政府も大きな打撃を受けざるを得ない。
 

 しかし慰安婦問題は、1996年の国連人権委員会のクマラスワミ報告書、1998年の国連人権小委員会のマクドゥーガル報告書などを通じて、日本政府が法的責任を負うべき「人道に対する犯罪」とであることが繰り返し確認されている。国際司法裁判所も「日本政府が計画的、組織的に広範に引き起こした(戦時下の女性に対する)反人道的犯罪行為」である慰安婦問題については「国内裁判所は外国政府に対する訴訟において裁判権を行使しない」という国際慣習法上の主権免除(国家免除)の原則を適用しなかった韓国司法の判断を支持する可能性が高い。そのためか、産経新聞も「相手の土俵に乗ることにつながりかねない」との政府内の慎重論も紹介している。茂木敏充外相は9日の記者会見で「国際法上も2国間関係上も、到底考えられない異常事態」が発生したとし「あらゆる選択肢を視野にいれて毅然と対応していく」と述べるにとどまった。
 

 実際に慰安婦問題について国際司法裁判所の判断を仰ぐことになれば、主権免除の原則を適用しなかった韓国裁判所の判断は正しいのか▽1965年の請求権協定で解決済みなのか(日本は「解決済み」、韓国は「解決されていない」との立場)▽2015年12・28合意のような政府間合意の有効性をどう考えるか、などをめぐって熾烈な論争が繰り広げられるとみられる。また判決の結果によっては、両国いずれも国内への影響が避けられない。



韓国司法の判決が下された8日、ナム・グァンピョ駐日韓国大使が日本外務省に呼ばれ、抗議を受けた後、記者団の質問に答えている=東京/共同・聯合ニュース

 

 韓国政府が日本の提案を拒否すれば、残る代案は3つだ。日本は、同判決に対する控訴などを行わないことを明らかにしているため、一審判決が確定される。この場合、判決をどのように履行させるかが今後の課題として残る。
 

 まずは、12・28合意に沿って作られた和解・癒し財団に日本が拠出した金額(約108億ウォン)のうち、残る金額(約50億ウォン)でこの判決が履行できるかどうか、外交部が日本政府と協議する可能性だ。政府は今回の判決が下された8日、外交部報道官による論評に「政府は2015年12月の韓日両国政府間の慰安婦合意が、両国政府の公式合意であるということを想起する」という一文を入れている。韓国政府が12・28合意について言及したのは、カン・ギョンファ外交部長官が2018年1月に「被害当事者女性たちの意思をきちんと反映していない2015年の合意は、日本軍慰安婦被害者問題の真の問題解決にはなり得ない」と述べて以来、事実上初となる。しかし、和解・癒し財団が解散した後に残った金額を判決履行に使ってもよいと述べることは、判決を認めることを意味するため、日本が同意する可能性は事実上ない。韓国政府が日本の反対を押し切ってこの金で判決を履行しようとすれば、深刻な外交摩擦は避けられない。
 

 二つ目の代案は判決の強制執行だ。日本政府は「この判決に決して応じることはできない」という立場であり、判決を履行するには日本政府の韓国内にある資産を探し出し、差し押さえて売却せねばならない。先の2018年10月の強制動員についての最高裁判決でも、原告団が日本の民間企業の国内資産に対する強制履行手続きを進めたことから、2019年に大きな摩擦となっている。今回は相手が政府であるだけに、「断交」に次ぐ深刻な外交摩擦が予想される。その上、駐韓日本大使館などの外交資産は、外交関係に関するウィーン条約第22条に則り「強制執行」はできず、他の財産を探し出さねばならない。理性的に考えれば考慮しうる選択肢ではない。
 

 三つ目の代案は長期対峙だ。判決は確定したものの、執行できないまま長期の課題として残しておくのだ。この場合、8日の判決は、慰安婦問題に対する日本の法的責任を認めた韓国司法の初の判断という「象徴的な判決」として残ることになる。
 

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/978066.html
韓国語原文入力:2021-01-10 14:53
訳D.K

 

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日本、「慰安婦賠償判決」国際司法裁判所への提訴を検討
登録:2021-01-11 06:14 修正:2021-01-11 07:20

「訴訟却下」を韓日関係改善の前提条件とすることも


日本の菅義偉首相=東京/AFP・聯合ニュース

 

 日本政府が韓国の裁判所の日本軍「慰安婦」被害者への賠償判決の結果について、国連の最高法廷である国際司法裁判所(ICJ)に提訴する案を検討していることが報じられた。また、日本が強制動員問題において現金化をまず解決するよう要求したように、「慰安婦」訴訟の却下を韓日関係改善の前提条件にすることがありうるという懸念も出ている。
 

 朝日新聞は10日、「日本政府が国際司法裁判所への提訴を検討している」と報道した。中南米とアフリカを歴訪中の日本の茂木敏充外相も9日午後、オンライン形式の記者会見を通じ、国際司法裁判所への提訴について「あらゆる選択肢を視野に入れて毅然と対応したい」と明らかにした。日本は、韓国の裁判所が他国の主権行使は裁判対象にはできないという慣習法である「国家免除」(主権免除)を認めないなど、国際法に違反したとみている。
 

 ただし、国際司法裁判所への提訴については、日本国内からも慎重論が出ていることがわかった。読売新聞は外務省高官の言葉を引用し、「主権免除が認められるとしても、慰安婦問題が再浮上することがありうる」とし、懸念する声もあると伝えた。また同紙は、「韓国政府が提訴に応じない可能性もある」と予想した。韓国政府は1991年の国際司法裁判所加入時に「強制管轄権」を受け入れず、日本政府が提訴しても韓国が応じなければ訴訟自体が成立しない。
 

 このような理由から、日本政府は提訴を検討しながらも、韓国政府側に解決策の用意を要求する方針だ。国家免除という障壁が崩れただけに、さらなる訴訟が後に続くことが起こり得るため、裁判所の判決に対しては控訴を含め一切対応せず強硬対応を維持する予定だ。茂木外相は9日午後、カン・ギョンファ外交部長官と約20分間電話で会談し、「(裁判所の判決は)極めて遺憾」だとしながら、「国際法違反を是正するための措置を早急に講じてほしい」と促した。
 

 これに対しカン長官は、韓国政府がすでに明らかにした立場を説明した後、日本政府側に過剰な反応は自制するよう求めたと外交部が明らかにした。これに先立ち、外交部は8日の論評で、「この判決が外交関係に及ぼす影響を綿密に検討し、韓日両国間の建設的で未来志向的な協力が続くよう、様々な努力を傾ける」と明らかにしている。裁判所の判断については韓国政府も直ちに問題を解決できる方法がないため、韓日関係の冷え込んだ期間が長引くだろうという見方が優勢だ。
 

 問題は、日本政府が強制動員に続き「慰安婦」賠償判決を韓日関係改善の前提条件にして、様々な分野で非協力的になる可能性があるという点だ。日本は昨年末、韓国で開催される予定だった韓中日首脳会議に関し、強制動員判決による資産現金化問題をまず解決するよう求め、事実上不参加とする意向を様々な経路で伝えてきた。韓中日会議は結局中止となった。菅義偉首相は「慰安婦」判決が下された8日夜、記者団に会い、「日韓関係の冷え込みにどう対処するのか」という質問に、「まず、この訴訟が却下されるべきで、そこから始まる」と答えた。 朝日新聞のウェブマガジン「論座」は、「日韓間には新型コロナや福島周辺海域の汚染水、輸出規制など課題が山積している」とし、「菅首相の発言は(「慰安婦」判決の)却下がないと対話のテーブルにつけないという意味に聞こえる」と批判した。
 

キム・ソヨン、キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/978114.html
韓国語原文入力:2021-01-11 02:32
訳M.S

 

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日本政府相手取った「慰安婦」裁判の二度目の判決、2日前に突然延期
登録:2021-01-12 02:19 修正:2021-01-12 07:41

イ・ヨンスさんらが起こした訴訟 
裁判所「さらなる審理が必要」…3月再開



京畿道広州市のナヌムの家にある、故ペ・チュンヒさんら亡くなった被害女性たちの胸像。日本軍慰安婦被害者が日本政府を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で初めて勝訴した8日午後に撮影/聯合ニュース

 

 日本軍「慰安婦」被害者が日本政府を相手取って起こした損害賠償訴訟で、13日に予定されていた二度目の判決言い渡しが延期された。
 

 ソウル中央地裁民事合議15部(ミン・ソンチョル裁判長)は11日、イ・ヨンスさんや故クァク・イェナムさんら慰安婦被害者と遺族が日本を相手取って起こした損害賠償請求事件の判決言い渡しを延期し、3月24日に審理を再開することを決めた。裁判所の関係者は「裁判所が判決を延期したのは、この事件の判断のためにさらなる審理が必要だと判断したため」とし「裁判所は、釈明権行使を通じてさらなる審理が必要な事項を当事者に伝え、弁論を準備させる予定」と説明した。裁判所の判決延期について弁護団は「6回にわたり十分な審理を行ったにもかかわらず、判決2日前に何の説明もなく弁論再開を一方的に通告してきたことは到底納得しがたい」とし「判決を待つ方たちが亡くなりつつある現実がある中で、憲法と国際人権に基づいた判決が迅速に下されることを求める」と述べた。
 

 クァクさんら慰安婦被害者と死亡した被害者の遺族など20人は、2016年12月に日本政府を相手取って損害賠償を請求する訴訟を韓国の裁判所で起こした。これに先立って2016年1月に日本政府を相手取って故ペ・チュンヒさんら12人が起こした訴訟では、ソウル中央地裁民事34部(キム・ジョンゴン裁判長)が8日、日本政府に被害者1人当たり1億ウォンの賠償を命じる原告勝訴の判決を下している。
 

チョ・ユニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/978234.html
韓国語原文入力:2021-01-11 16:06
訳D.K

 

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