【〇○婦問題】2020.05 (h) ② | ぺる Ⅱのブログ

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続・チラシの裏書き

 

 

 

目次 

 

2020

01(05/14)沈黙破ったイ・ヨンスさん「30年間の成果の無視・消耗的な論争はやめよう」

02(05/14)[ルポ]揺ぎなく続いた水曜集会…市民「応援します」

03(05/15)日本の市民団体「正義連の議論の責任は日本の政府と社会にある」

04(05/15)[寄稿]軍慰安婦論争の倫理を考える

05(05/15)正義連の後援金をめぐる問題提起にも、匿名の寄付金と新しい後援者相次ぐ

06(05/16)「不明朗会計」非難に正義連「中立的な機関に外部監査を受ける」

07(05/16)正義記憶連帯、国庫補助金の公示漏れ…“外部監査”で疑惑解消なるか

08(05/16)[寄稿]日本の極右の歴史否定の中で誕生した「反日種族主義」という幽霊

09(05/18)22年経て明るみに出た神学大学総長の学生への性的暴行

10(05/18)[インタビュー]ユン・ミヒャン「条件に合うと判断…建築費が多くかかったと聞いて」

11(05/18)[社説]正義連の「ヒーリングセンター疑惑」は遺憾、透明に解明せよ

 

 

 

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01 

沈黙破ったイ・ヨンスさん「30年間の成果の無視・消耗的な論争はやめよう」
登録:2020-05-14 06:45 修正:2020-05-14 07:49

今月7日、大邱での会見以来初めて立場表明 

日本に犯罪の認定と謝罪求める 
「メディアの憶測・対立助長」を指摘 

正義連にも事業方式の改善を要求 
「誤りや過ちを克服するための過程が必要」 
「韓日拙速合意の過程を公開すべき」 

「両国の学生の教育・共同行動が必要」 
水曜集会への不参加宣言とは“趣旨”異なる



今月7日、大邱のある喫茶店で記者会見を開き、発言しているイ・ヨンスさん=大邱/聯合ニュース

 

 寄付金の使途など正義記憶連帯(正義連)の活動に問題を提起した日本軍「慰安婦」被害者のイ・ヨンスさん(92)が「(正義連が)出した成果を貶したり、消耗的な論争を繰り広げるのは避けるべきだ」という立場を明らかにした。今月7日に大邱で記者会見を開き、正義連の会計問題などを指摘すると共に、水曜集会への不参加を宣言して以来、初めて表明した立場である。
 

 イさんは13日、自分のフェイスブックに「女性人権活動家イ・ヨンス」としての立場文を掲載し、現在起きている様々な議論と今後の願いについて意見を述べた。イさんは文の冒頭で加害国である日本に対し、犯罪の認定と謝罪、真相究明と法的賠償金、再発防止のための制度的装置づくりなどを求めると共に、「これを通じて被害者の名誉と人権回復が実現しなければならない」と強調した。これまで自分をはじめ挺身隊問題対策協議会(挺対協)、正義連などが堅持してきた立場を再確認したわけだ。イさんはまた、最近メディアを中心に、共に市民党のユン・ミヒャン比例代表当選者と正義連の活動方式をめぐり様々な疑惑が持ちあがっていることについて、「既成メディアの根拠のない憶測と非難、対立助長」だと指摘した。


 記者会見後に触発された論議には批判的だったが、正義連に対しては「これまで30年間、真実を明らかにするための闘争過程で現れた事業方式の誤りや過ちを克服するための過程が必要だ」と指摘した。具体的には、今の時代にふさわしい事業方式や責任ある執行過程、透明な公開を求めた。また、「朴槿恵(パク・クネ)政府当時、韓日間の拙速の合意と関連し、政府の市民に対する意見集約の過程と内容、挺対協関係者たちが政府関係者との面談の際に対話した内容など、関連内容が早めに公開され、韓国社会が信頼を取り戻さなければならない」と強調した。イさんはさらに「両国の学生に対する教育が重要だ。韓日両国の未来関係を構築していく学生同士の交流や共同行動など活動がもう少し拡大していけばと思う」と記した。「水曜集会」には直接触れなかったものの、「学生らに苦労させ、無駄にお金を使っているだけで、教育もまともに行われていない」と言い水曜集会への不参加を宣言したのとは、やや趣旨の異なる内容だ。イさんは「韓国社会共通の価値である人権と平和、和解と容赦、連帯と和合が実現することを願う」と付け加えた。
 

 数日前には正義連を厳しく批判したイさんが今回立場を表明したことで、慰安婦問題の解決に向けて共に戦ってきた人たちの分裂への懸念は収まるものと見られる。正義連に対し、闘争過程の“過ち”を克服することを求めながらも、人権と連帯の価値を強調することで、戦争犯罪で犠牲になった女性の人権普遍的問題に取り組んできた正義連の活動を後押ししたからだ。
 

 このため、イさんが水曜集会への不参加を宣言するなど、激しい口調で正義連を批判した背景には、正義連を根本的に否定するよりは、2015年の拙速合意やその後続いた膠着状況による心の傷や苛立ちがあったものと見られる。文在寅(ムン・ジェイン)政府は発足後、作業部会を立ち上げ、2015年合意の問題点を包括的に調査したものの、両国政府間の公式合意だったためこれを破棄して再交渉を進めるのは困難な状況が続いた。イさんと交流のあるチェ・ボンテ弁護士(大韓弁護士協会、日帝被害者人権特別委員長)は13日に行ったハンギョレとの電話インタビューで、「2015年合意以降、政府が慰安婦問題を事実上放置しているのも、イさんの怒りの原因」だとし、「30年近く争ってきたにもかかわらず、出口がまったく見えない状況に苦しんでいた」と伝えた。
 

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/944855.html
韓国語原文入力:2020-05-14 02:42
訳H.J

 

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02 

[ルポ]揺ぎなく続いた水曜集会…市民「応援します」
登録:2020-05-14 09:01 修正:2020-05-14 14:42

中止せず開催された集会現場 
支持市民・取材陣が集まって熱気帯びる 
周辺では右派団体の対抗集会も 
YouTubeで生中継、約1500人がコメントで応援 
 
「5年間、ここで平和・人権を学んだ」 
参加市民、口をそろえて「初心に戻ろう」 
正義連理事長「会計検証受ける」



平和の少女像=チョン・グァンジュン記者//ハンギョレ新聞社

 

 「第1439回、主催:正義記憶連帯」。強風に煽られ、平和の少女像の上に置かれていた黄色いプラカードが落ちた。日本軍「慰安婦」問題解決に向けた水曜集会が開かれた13日昼12時、正義記憶連帯(正義連)が会計報告などで物議を醸しており、集会の雰囲気は一段と重かった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受け、水曜集会はオンライン中継で行われてきたが、この日のソウル鍾路区中学洞(チュンハクドン)の旧駐韓日本大使館前は、正義連を支持するために集まった市民や取材陣、抗議する右派団体のメンバーら約100人が集まり、ごった返した。
 

 この日発言台に立った市民は、口をそろえて正義連への支持を表明すると共に、「初心に戻ろう」と呼びかけた。全国平和ナビネットワーク代表の大学生イ・テヒさんは「私は5年間この場所でキム・ボクトンさんやキル・ウォノクさん、イ・ヨンスさんの声を通じて平和と人権とは何かを学んだ。この場にいる多くの市民と主催する様々な団体を通じて、連帯とは何かを学んできた」と言い、「(最近の)悪意的な攻撃とヘイトにもかかわらず、慰安婦被害問題の解決を強く望んで正義連の運動とハルモニ(おばあさん)たちの声を支持し、応援する人が多いことを知らしめたい」と語った。ボランティア活動を行っているイ・パンスさんも「水曜集会は被害者と正義連だけの行事ではない。世界のすべての平和市民が連帯する場だ」としたうえで、「水曜集会を主催する被害者と正義連の小さな不和が、28年間共に作り上げてきた韓国の平和共同体を大きく傷つけた。だが、誰も責めることなく、どうか初心に戻ってほしい」と述べ、拍手を浴びた。
 


正義記憶連帯の主催で今月13日午後、ソウル鍾路区の旧日本大使館前で開かれた第1439回定期水曜集会が開かれている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 

 正義連側は、一部マスコミを中心に持ち上がっている後援金の用途を巡る疑惑を強く否定した。イ・ナヨン正義連理事長は経過報告で、「個人的な資金横領や不法流用は絶対にない。毎年、弁護士と公認会計士から会計監査を受けており、問題ないと言われてきた。国税庁のシステム公示入力過程で若干のミスがあったものの、国税庁の再公示命令に従って修正する」とし、「悪意に基づいた歪曲報道に立ち向かうため、複数の会計士から検証も受ける。日本軍『慰安婦』問題の幕引きを試みる悪意に満ちた動きをやめてほしい」と訴えた。女性人権運動団体からも、「正義連に対する誹謗中傷をやめよ」という声が上がった。キム・ヨンスン韓国女性団体連合常任代表は「被害者への支援は本来政府がやるべきことだ。正義記憶連帯は、被害者を支援する活動とともに、政府の支援から疎外された被害者たちを支援するために募金活動を行い、被害者支援活動を続けてきた。政府の役割を民間が代わりに行ってきたのだ」とし、「国内初のMeToo運動である日本軍性奴隷制告発活動を分裂させ、その価値を損なう動きに対して、強い懸念を表する」と述べた。チョン・チュンスク共に民主党議員も同日「韓国社会に歴史歪曲を正そうとする努力をけなそうとする勢力がある」として、連帯を呼び掛けた。
 

 YouTubeの生中継も注目を集めた。約1500人あまりがリアルタイムで視聴し、コメントで正義連に指示を送った。「ハルモニたちと共に過ごした30年の歳月は、数行の記事では評価されません。愛を送ります」(ナビ)、「真実は必ず勝つ」(アルバム)、「これまでCOVID-19事態で関心から遠ざかっていたが、この機会に再び関心を持って後援します」(Love Love)、「応援します。今回をきっかけに正義連について知りました!後援が遅くなって申し訳ないです」(kh kim)「岩のごとく守り抜こう、水曜集会」(Kwangil Yoo)、「マスコミの行動を見て呆れて後援を始めます」(dong keun song)
 

 同日、水曜集会の現場周辺では右派団体も対抗集会を開いた。右派団体「ターンライト」は「罪を犯したら罰を受けろ。ユン・ミヒャン当選者は辞退せよ」などのスローガンを叫んだ。母親部隊のチュ・オクスン代表は「会計が不透明な公益団体を解体せよ」というプラカードを持って沈黙デモを繰り広げた。彼らは昼1時頃、水曜集会が終わるまで抗議を続けた。集会が終わり、人影が消えた旧日本大使館前は、平和の少女像と慰安婦被害者35人の名前が刻まれた銅版だけが残り、その場を守っていた。
 

チョン・グァンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/944770.htm
l
韓国語原文入力:2020-05-13 21:32
訳H.J

 

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03 

日本の市民団体「正義連の議論の責任は日本の政府と社会にある」
登録:2020-05-15 05:05 修正:2020-05-15 08:11

「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」声明


日本の市民団体である「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」(全国行動)が正義記憶連帯の議論に関して発表した声明書=全国行動ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 

 日本軍「慰安婦」被害問題の解決のために努力してきた日本の市民団体が、「正義記憶連帯」(正義連)の議論に関して「日本政府、日本社会こそが責任を問われている」とのタイトルの声明を発表した。
 

 「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」(全国行動)は13日声明を出し、「被害者を追い詰めたのは誰か」として、イ・ヨンスさんの記者会見に言及した。続いて「30年間、被害事実の認定と心からの謝罪、それに基づく賠償、たゆまぬ真相究明と教育等の再発防止策が求められてきたにもかかわらず、未だその声に応えることが出来ていない日本政府にこそ、被害者をこのような状況にまで追い詰めた責任がある」と指摘した。
 

 当時の挺身隊問題対策協議会(挺対協)のユン・ミヒャン代表が2015年12月28日、韓日慰安婦合意の内容を事前に知っていながらもハルモニ(おばあさん)たちに知らせていなかったとの疑惑を提起した側に対する批判も加えた。全国行動は「一部の内容だけをユン・ミヒャン前代表に告げたのが、外交省の言う「事前協議」の全てであることは、当時の状況をつぶさに共有していた私たちも明確に記憶する事実だ」ということだ。在日コリアンの梁澄子(ヤン・チンジャ)氏が代表を務めるこの団体は、挺対協時代から正義連と連帯して日本で慰安婦被害問題解決のための活動を行ってきた。
 

 全国行動は「性暴力の根絶と平和を求める道を共に歩み続ける正義連の運動は、正義連だけのものではない」として、正義連の運動が続くことを期待するとの意向を表明した。結びで「日本政府の責任履行という被害者たちの切実な願いを未だ実現させることができていない日本の市民として、イ・ヨンスハルモニをはじめとする各国の被害者、亡くなった被害者たちに心からのお詫びを申し上げる。今後も、私たちはイ・ヨンスハルモニの同志として、共にあることを伝えたい」と明らかにした。
 

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/944936.html
韓国語原文入力:2020-05-14 16:21
訳M.S

 

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04 

[寄稿]軍慰安婦論争の倫理を考える
登録:2020-05-15 07:27 修正:2020-05-18 06:44
 

 7日、日本軍「慰安婦」被害者のイ・ヨンスさんが大邱(テグ)で単独記者会見を行った。女性人権活動家として感じる自負心、水曜集会の限界と教育の場の設立にかける希望、挺身隊と慰安婦の区別の重要性、後援金の使い道および情報共有の問題、ユン・ミヒャン国会議員当選者に対する愛憎など、答えるのが容易ではない内容が言及された。
 

 これに対して正義記憶連帯(正義連)のユン当選者や共に市民党などは、被害者の記憶の問題と(選挙での)公認に関連した背後説に言及し、実名が記された領収証まで公開した。保守メディアと野党は、被害者の論争的な問題提起を不正問題に縮小した。
 

 重要なのは、被害者の話に対する私たちの社会の選択的な聞き取り方式だ。「利用された」という訴えや被害者と活動家の関係に対する対立を、保守メディアは与党を揺さぶるのに利用する。運動団体は“高齢者”の誤解と背後説で非難し、進歩メディアは運動の名分の弱化を心配する。皆がファクトを主張する。しかし、他人の話、特に歴史的証言の聞き取りは、社会が受容できる話を選択する党派的行為だ。話に対する解釈は、聞き手の利害関係により再構成される。
 

 今回の会見の「意味」は、被害者がそのように言うしかないこれまでの軍慰安婦運動の状況に対する理解を促すところにある。私たちの社会は「私が女の体で死に物狂いで生きてきたが、なぜこのような悲しさを感じなければならないのですか」という被害者の叫びを聞こうとせず、被害者らしい被害者のみを要求する「2次加害」を真実攻防で覆い隠すかのようだ。
 

 故キム・ボクトンさんも生前にそのような点について似たような問題意識を吐露したことがある。「いつもした話、話してまた話して…テレビや新聞で口が痛くなるほど死ぬほど話をしても、その話はすべてどこかに行ってしまい、一言二言出てただ『キム・ボクトン慰安婦』『慰安婦のキム・ボクトンおばあさん』… これは(私が)慰安婦だと宣伝することにしかにならないじゃないか。違いますか?」(「私は生涯、情というものを与えたことがない」、ハンギョレ2014年2月22日付)。私は記者会見の形式を通じて触発されたイ・ヨンスさんの話が、故キム・ボクトンさんの主張と大きく違わないと思う。
 

 被害者の話なので無条件で正しいという意味ではない。会見の内容は、軍慰安婦運動に対する背景と固定観念、すなわち社会運動を巡る論争の困難さと、反日あるいは親日という二分法を壊さなければ理解は難しい。韓国社会は日本右翼を言い訳にして、この二つに対する介入を先送りしてきた。
 

 このような状況の中で、与野党、男性と女性、女性主義と国家主義などの立場により被害者の話は選別された。「騙され続けた」という主張は、この脈絡の中にある。
 

 今回の事態が重要である理由は、社会的弱者の声を聞く方法に対する全面的な省察を要求するからだ。問題を特定の団体と個人に押し付けたり、被害者と活動家の利害は衝突するという形の相対主義に寄りかかって逃げるのはやめよう。政府に登録申請をしていない被害者の存在、彼女たちの人生の意味を推し量ることができる議論の場を用意しなければならない。
 

 運動の“大義”が毀損されるのではないかと懸念する指摘が多い。非常に重要な話だ。ただし、社会運動は指向する価値に最善を尽くそうとする態度と努力であり、それ自体が時間と空間を超越した正しさではない。日本を意識した運動の大義を前面に出し、私たちの社会内部の多様性と成長を縫合してしまおうとするのは古い方式の政治だ。
 

 言葉の跡は消えて「親日勢力総攻勢」「正義連疑惑究明」という二つのフレームだけが乱舞する時、被害者は何を見たのだろうか。彼女たちは話すことができるだろうか。尊重されることができるだろうか。


  //ハンギョレ新聞社

チョン・ユジン元同志社大学准教授(韓日関係専攻)(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/944943.html
韓国語原文入力:2020-05-15 02:38
訳M.S

 

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05 

正義連の後援金をめぐる問題提起にも、匿名の寄付金と新しい後援者相次ぐ
登録:2020-05-15 08:42 修正:2020-05-15 13:26

「頑張ってください」手紙やパン、餅なども届く 
正義連関係者「後援と応援が増えている」



木浦在住のキム・スヘさんが正義記憶連帯に送った瓊玉膏//ハンギョレ新聞社

 

 「数多くの憶測と誤解でどれほど大変か、心中お察しします。正義記憶連帯(正義連)のために頑張っておられる職員の皆さんでお飲みください。頑張ってくださいね」。木浦(モッポ)在住のキム・スヘさんは、こうした内容の手紙とともに漢方薬の「瓊玉膏」を最近、正義記憶連帯の事務室に送った。キムさんは手紙に「私は少額を後援する会員に過ぎないが、心配になり、少しでも力になればという思いで応援メッセージを送った」と記した。
 

 正義連の後援金の使用先の問題をめぐり、保守陣営の攻勢が続く中、日本軍「慰安婦」問題解決を望む人たちが正義連に応援の贈り物や寄付金で連帯の手を差し伸べている。地方在住の人たちはパンや餅などを宅配で送っている。光州(クァンジュ)に住むある市民は「五月おにぎりパン」を送った。これに先立ち、13日朝には、名前を名乗らないある男性が、ソウル麻浦区(マポグ)の正義連事務室の門を叩いた。彼は無言で活動家に封筒を渡した。後援金だった。寄付金領収書を発行しようとする実務者に、彼は「信じているから寄付金領収書は要らない。今度は食事もご馳走する」と言い、領収証を受け取らなかった。約1週間にわたり緊張の連続だった実務者たちは、彼が去った後、涙を流したという。
 

 新規後援も相次いでいる。最近、正義連の後援口座には「頑張ってください」や「堂々としてくださいね」、「応援します」などの送金メッセージと共に寄付金が届いている。正義連関係者は14日、「後援をやめる人も、新しく加入する人もいるが、議論になってから後援金は増えている」と話した。13日に開かれた水曜集会でも「インターネット後援方法が分からないから、直接後援する」として、現金を渡そうとした高齢の市民もいた。同日、正義連が主催する水曜集会のYouTubeの生中継にも、寄付の意向を示す書き込みが多数あった。様々なコミュニティにも、正義連への後援を始めたという投稿が相次いでいる。



光州在住の市民が正義記憶連帯に送った「五月おにぎりパン」//ハンギョレ新聞社

 

 日本軍「慰安婦」問題解決に向けて努力してきた日本の市民団体も連帯の声明を発表し、正義連を後押しした。「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」(全国行動)は、慰安婦被害生存者のイ・ヨンスさんの記者会見内容に触れ、「30年間、被害事実の認定と心からの謝罪、それに基づく賠償、たゆまぬ真相究明と教育等の再発防止策が求められてきたにもかかわらず、未だその声に応えることが出来ていない日本政府にこそ、被害者をこのような状況にまで追い詰めた責任がある」と指摘した。
 

ペ・ジヒョン、東京/チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/944961.html
韓国語原文入力:2020-05-14 22:10
訳H.J

 

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06 

「不明朗会計」非難に正義連「中立的な機関に外部監査を受ける」
登録:2020-05-16 02:35 修正:2020-05-16 07:02

後援金、補助金疑惑究明へ 
「韓国公認会計士会」に推薦要請



正義記憶連帯のイ・ナヨン理事長が11日午前、ソウル麻浦区の人権財団サラムで開かれた記者会見で、後援金をめぐる非難に対する立場を表明している=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 

 正義記憶連帯(正義連)は、後援金の使途と国の補助金の会計処理をめぐる疑惑を解消するため、外部から会計監査を受けることにした。
 

 正義連は15日、文書で立場を表明し「これまで当団体は、報道で提起された疑惑について釈明してきたが、引き続き疑惑が提起されているため、公益法人を専門とする会計機関の検証を受けたい」と明らかにした。不明朗会計疑惑が提起されてからこれまで、正義連は外部監査を受けることが義務付けられている公益法人の基準が「資産100億ウォン(約8億7000万円)」であることを理由に、外部監査の必要性を一蹴してきた。しかし、正義連の理事長だった共に市民党のユン・ミヒャン当選者が、かつて日本軍「慰安婦」被害者たちの葬儀の香典などを個人の口座に募金した上、正義連の国の補助金収入の内訳の一部も国税庁の公示資料から漏れているという指摘が出てくると、積極的な対応基調に転じた。正義連は「会計機関は正義連が指定せず、『韓国公認会計士会』から推薦してもらう考え。本日、韓国公認会計士会に公益法人監査会計機関の推薦を要請する公文書を発送した」と明らかにした。中立的な機関を通じて疑惑を払拭するという趣旨とみられる。一部からは、強力な不正摘発監査が必要だという意見も出ている。単に財務諸表の処理のみを確認する一般の会計監査とは異なり、当該法人の不正行為を洗い出す目的で実施する不正摘発監査は、具体的な取引の内訳を要求するなど、厳しく行われる。経済民主主義21のキム・ギョンユル代表(会計士)は「今のように疑惑が出ている状態においては、会計に深刻な不正や誤謬があると仮定して監査に入らなければならないため、不正摘発監査を行わなければならない」と述べた。
 

ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/945155.html
韓国語原文入力:2020-05-15 18:10
訳D.K

 

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07 

正義記憶連帯、国庫補助金の公示漏れ…“外部監査”で疑惑解消なるか
登録:2020-05-16 06:45 修正:2020-05-16 07:42

4年間で挺対協と13億ウォン受け取るも 
国税庁の公示には5億ウォンのみ 
2016~2018年は記録もなく 
未来統合党「特別監査・捜査依頼」攻勢に 
政府・ソウル市「精算報告書提出しており、私的流用の可能性は低い」



今月15日午後、ソウル麻浦区の正義記憶連帯事務所の前に、出入りを統制するポリスラインが設置されている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 

 正義記憶連帯(正義連)と韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)が、国家補助金を支給されたにもかかわらず、関連内容を国税庁にきちんと公示しなかったことが明らかになり、物議を醸している。 15日、ハンギョレの取材内容を総合すると、正義連と挺対協は2016年から昨年までソウル市と女性家族部、教育部から計13億4308万ウォン(約1億2千万円)の国庫補助金を受け取った。女性家族部は2017年から昨年まで「慰安婦被害者保護施設運営費」と「慰安婦被害者の健康治療」などの事業の名目で10億6900万ウォン(約9300万円)を支援した。教育部の出資機関である東北アジア歴史財団は「慰安婦問題の解決に向けたアジア連帯会議」などに3600万ウォン(約310万円)を支援しており、ソウル市は「教育コンテンツ開発事業」や「韓日青年交流事業」などの目的で2億3808万ウォン(約2千万円)を支援した。
 

 しかし、正義連などの国税庁公示やインターネットのホームページの会計決算資料には、2019年に正義連が5億3796万ウォン(約4700万円)の補助金支援を受けたことだけが記録された。正義連が2019年に実際に支援された金額(7億4708万ウォン)より2億912万ウォン(約1800万円)低い金額だ。また、正義連と挺対協が2016~2018年に支援された補助金に関する内容は抜け落ちている。計8億512万ウォン(約7千万円)の補助金が記載漏れになったわけだ。野党は、正義連などが国家補助金を受けて正しく使わなかった可能性があると指摘した。未来統合党のクァク・サンド議員は「正義連に補助金を支給した中央部処と自治体は特別監査を実施し、問題があれば直ちに捜査を依頼すべきだ」と主張した。
 

 これに関してソウル市などは、正義連などに支給された補助金が他の用途で使われた可能性は低いと見ている。ソウル市関係者は「補助金支援事業の場合は、事業終了と共に実績報告書を提出してもらい、事業執行内容をすべて確認している」とし、「ソウル市は都市銀行を通じた補助金管理システムにあり、補助金をチェックカード(デビットカード)の形で支給するため、私的に流用する可能性は高くない」と説明した。女性家族部も「領収書をすべて照合したり、実査をしたわけではないが、(補助金)事業を完了した後、精算報告書を受け取った」とし、「(正義連が)3億ウォン以上の補助金事業は外部の会計監査を受けて提出した」と説明した。教育部の関係者は「補助金支援方式は、総事業費の80%を支援した際、中間報告書を提出してもらい、残りの20%を支援する。事業期間が終われば結果報告書を受け取るが、ここには精算報告書も含まれる。使い切れなかった補助金があった場合は還収する」と述べた。正義連は同日に発表した資料で、「国庫補助金は決算資料に最終事業費用を収益と費用として作成し処理している」と説明した。
 

 これに先立ち、国税庁は正義連に再公示を要請することにした。総資産が5億ウォンを超える正義連と挺対協が国税庁の再公示要求に応じない場合は、総資産の20%が納付税額に加えられる。正義連は同日、「公認された外部機関の会計監査を受ける」という意向を示した。
 

イ・ジェホ、ペ・ジヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/945184.html
韓国語原文入力:2020-05-16 04:59
訳H.J

 

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08 

[寄稿]日本の極右の歴史否定の中で誕生した「反日種族主義」という幽霊
登録:2020-05-16 08:14 修正:2020-05-17 15:45

イ・ヨンフンの主張は歴史学を装った横暴…李承晩・朴正煕を持ち上げる一環 
統計資料の恣意的解析により日帝の組織的な慰安婦動員の事実を否定 



2016年6月、ソウル市民庁ギャラリーで開かれた「重重写真展 消せない痕跡」写真展の開幕に先立ち、写真家のアン・セホン氏がアジア日本軍「慰安婦」被害の女性の写真を点検している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 

寄稿・「反日種族主義との闘争」批判
 

 「反日種族主義」との言葉が韓国と日本で幽霊のように徘徊している。イ・ヨンフン(元ソウル大学教授・李承晩学堂校長)が作った新造語だ。嘘文化、裸になった物質主義とシャーマニズムが結びついた種族の敵対感情が、隣の日本に向かったことを批判するために作った単語だという。簡単に言えば、歴史と領土問題について韓国の「反日」感情だけを問題にして、韓国の民族主義を「種族主義」に貶めたのだ。イ・ヨンフンなどの韓国の歴史否定論者は、植民と戦争の被害者の位置を捨てて日本帝国主義の加害者の視線に自らを同化した後、自己否定と自己嫌悪をしているわけだ。なぜそうなのか?
 

 イ・ヨンフンは日本のNHKとのインタビューで「親日派」との攻撃について「それでは、あなたは反日種族主義者」との反撃が可能になったと自負したことがある。中国や北朝鮮より米国や日本と親しいほうがより良いと自ら親日派を自任して、それを愛国の証と考える。その底には「反文(在寅)連帯」の情動が敷かれている。去年9月にリュ・ソクチュン延世大学教授が自身の講義で学生にかなり真剣に言ったことも、単に「妄言」として流すのではなく、そのような脈絡でアプローチしなければならない。リュ・ソクチュンにとって日本軍「慰安婦」は自発的な「売春婦」であり、「従北団体」の挺対協により調整されて被害者である振りをするハルモニ(おばあさん)だ。彼は事実に即した歴史を見ようという、別の見方をすれば常識的な主張をして、突然、『反日種族主義』を読めばそれが全て分かるようになると学生に言った。具体的にリュ・ソクチュンが語る事実というのはどのようなものなのか?イ・ヨンフンの主張どおり、日本軍「慰安婦」は強制連行されなかったし、公娼制の合法的な枠の中で個人営業と自由廃業が可能な稼ぎがいい売春婦であり、性奴隷ではなかったということだ。


  『反日種族主義との闘争』//ハンギョレ新聞社

 

 今年始め、私は『脱真実の時代、歴史否定を問う:「反日種族主義」現象批判』を出版して、イ・ヨンフンの主張がなぜ「基本事実」でないのかを批判的に論証・例証した。そのために、日本の極右(特に教科書右派)の歴史否定論が、イ・ヨンフンの反日種族主義のフレームでどのように脚色されてゆがんだのか、そのようなやつれた主張と歪曲された論理が、どのような背景と脈絡から出現したのかよく調べた。『反日種族主義』は、植民地近代化、李承晩(イ・スンマン)の建国と朴正煕(パク・チョンヒ)の産業化のみを高く評価したニューライト教科書・国定教科書の試みの延長にあった。これは今回新たに出版された『反日種族主義との闘争』の発行日からも確認される。「2020年5月16日初版1刷」。イ・ヨンフンが朴正煕の「5・16軍事クーデター」をどう見ているのか、この本で何を記念するのかを表す。
 

 このように見れば、イ・ヨンフンが『反日種族主義との闘争』で「歴史家は当代のそのような現実をありのまま忠実に描写するだけ」として歴史家は裁判官ではないとの主張は、本当に欺満的だ。彼が関与した二つの歴史教科書と「反日種族主義」シリーズこそ、彼の話に戻れば、歴史学を装った横暴ではないだろうか。事実が勝利すると語って李承晩精神も同じだとの話は、彼らだけの歴史的評価であることが明らかであるにも関わらず、歴史的事実だと言い張っている。
 

 イ・ヨンフンは『反日種族主義』で「貧困階層の女性に強要された売春の長い歴史の中から日本軍慰安婦制だけ取り出して日本国家の責任を追及してはならない」と書いたことがある。彼は「私たちの中の慰安婦」の歴史を論議して、この慰安婦制が解放後も継続し、より劣悪であったとして、その責任は累代にわたる家父長制の歴史と結合した韓国の独特な「種族主義」にあると主張する。しかし「慰安婦」制は、それが米軍・国連軍・韓国軍慰安婦でも何でも、李承晩政権が違法に「黙認管理」して続いたのだ。休戦後、李承晩政権と軍が設立した慰安所は消えたが、伝染病予防法施行令などの関係法制と国家の行政作用の下に、「慰安婦」の用語は主に米軍相手の基地村女性を示す用語として生き延びた。これについても李承晩の信奉者であるイ・ヨンフンは、女性が国家により保護されることができなかったという形で国家責任の所在を曇らせ、その代わりに韓国社会の家父長制と種族主義に責任を擦りつける。さらに、日本軍「慰安婦」の時は、性病、妊娠被害、事業主との関係、所得水準などでより良かったとの転倒した主張を『反日種族主義との闘争』でも繰り返す。
 

 日本軍「慰安婦」の強制連行と業者の問題に対しても、イ・ヨンフンは同じ手法で歪曲された論理を展開する。さらに、彼は自分を批判する論者の文章を歪曲したり脈絡なしに選別して搾り取り、自分の主張を強化する方法として利用する。例えば、彼はユン・ミョンスクの文章で「日本軍が銃剣で娘たちを連れて行くことはなかった。映画のそのような場面は少し行き過ぎだ」と直接引用したが、元々のユン・ミョンスクの文章は「日本の軍人が銃剣で朝鮮人の娘たちを連れて行く姿が普遍的だったように認識されたのは行き過ぎだった」である。ユン・ミョンスクの議論は「初めからなかったということではなく、そのような事例はあり、ただし普遍的ではなかった」と語っているが、イ・ヨンフンはこれを歪曲した。また、イ・ヨンフンは「官憲による直接的な強制を立証した文書資料はまだ発見されていない」と和田春樹教授の言葉を持ってくるが、元々そんなことはないので(政策も指示もないから)証拠がないという形で恣意的に解析・活用する。しかし、和田春樹の主張は、軍「慰安婦」の動員は国家の組織的統制により成り立っていたもので、民間業者もその統制の一部だったということだが、(日本本土と異なり)植民地朝鮮に対してはこれを明確に立証する公文書がまだ発見されていないという話だ。そのような公文書を作る必要もなしに強制動員が行われたり、そのような公文書があっても組織的に廃棄されたと解釈するのが正しい。



2016年6月ソウル中区の旧総監官邸の場所で開かれたソウル日本軍「慰安婦」記憶の場所起工式の場面=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 

 統計の解析と活用も同じだ。イ・ヨンフンは不完全な統計や一部の事例を選別して全体を歪曲し、恣意的に分析してこれを「基本事実」だと主張する。日本軍「慰安婦」の強制連行・強制動員の問題が当時発生した略取(本人の意思に反して暴行や脅迫を手段に女性を支配下に置いて動員)と誘拐(甘い言葉でだまして女性を動員)犯罪の問題に反論が争点化され、イ・ヨンフンは「略取・誘拐犯罪の検挙、検察送致および不起訴推移」の統計を提示する。
 

 彼の主張の要旨はこうだ。1929~30年に略取・誘拐犯罪がピークに達してその後下落し、慰安所が本格的に設置された1937~38年、戦争が太平洋と東南アジアに拡張された1941~42年以後にも有意な変化なしに下落したということだ。それと共にこの犯罪が「主に下層民の貧困に起因した社会問題」であり、1930年代から植民地近代化と生活水準が改善されて略取・誘拐犯罪が減ったものだと解釈する。イ・ヨンフンが提示したのは、朝鮮総督府統計年譜の「犯罪検挙事件処分」統計でも、刑事犯罪の中の略取・誘拐の項目だけを選び出したのだ。実は統計資料によると、略取・誘拐だけではなく、全体の刑事犯罪統計推移が1930年でピークであり、その後下落した。 それならば、そこから多くの研究質問と仮説が出てくるべきなのに、イ・ヨンフンは直ちに社会経済的要因と変化に結びつける。しかし、植民地刑事司法の専攻者ならば、刑事政策または特定犯罪の検挙および起訴に対する刑事方針の変化など、刑事司法領域の独自性を考慮して分析するはずだ。そして軍「慰安婦」動員に直結している略取・誘拐統計に、1937~1938年にも、1941~42年以後にも有意な変化がないならば、この犯罪に対する植民地刑事当局の捜査・起訴・裁判・行刑の方針と運用実態について関連資料を持って分析を始めなければならない。しかしそれは、イ・ヨンフンが決めておいた答えではないためか、排除された。
 

 イ・ヨンフンが事例に挙げたハ・ユンミョン夫婦の事件でさらに深く論議してみよう(イ・ヨンフンはハ・ユンミョンを女性としたが、それも間違いだ。「基本事実」は男性だ)。「色魔誘拐魔」のハ・ユンミョンの悪事は当時でも名をとどろかせたが、裁判や入監記録などはなく、どの程度の刑に服したのか確認する方法が今のところはない。ただし、彼がその後もシンガポールで軍慰安所を経営したとの記録がある。これに関連してイ・ヨンフンは、ハ・ユンミョンが女性を独立戸主に書類偽造して「自分の意志で慰安婦になる形式要件」を取り揃えたので、言い換えれば合法(または合法を偽装)であるため、「有罪判決を受けた可能性はあまり高くない」と推定する。歴史叙述というより、ほとんど小説を書いている。
 

 実はこのような事例がいくつかある。それでこれを交差分析して総合的に判断する必要がある。漢口で慰安所を経営したイ・ドンジェと上海で海軍慰安所を経営した村上富雄の事例がある。特に村上富雄は1937年3月初め、日本の大審院(最高裁判所)の判決まで出て2年6カ月の懲役刑が確定した。ところが興味深いことに、彼は実際にはその刑期を満たさず、1939年以後も相変わらず軍慰安所を経営した。日本軍は彼が誘拐犯罪で有罪判決を受けても意に介せずに慰安所業者として信頼したという話だ。
 

 既存の研究によれば、1937年末と1938年初めに警察は軍の要請で業者が動いたとのことを公式に確認した。1938年2月と3月に日本の内務省・陸軍省は、略取・誘拐などの方法について厳重に取り締まり、同時に軍の体面を考えて業者の選定を主導適切にして、その実施を憲兵・警察と協調して社会問題にならないようにせよとの指示を下した。関連資料と研究がそうであれば、警察の検挙に比べて検事の起訴が顕著に落ち(不起訴率80~90%)、何より警察の検挙統計値も日本軍「慰安婦」動員が本格化する1937~38年、1941~42年以後も下落するならば、他の仮説を立てるのが当然だ。合法またはその偽装を越えて、日本および植民地の刑事司法当局が軍の要請で業者を庇護したり、お互いに共謀したと見るべきではないだろうか?ハ・ユンミョンのような略取・誘拐・人身売買犯である慰安所業者は日本軍には必須な存在であったから、それが可能だったのだろう。学界にはこれに対する研究(パク・チョンエ、カン・ジョンスクなど)が既にある。ただし「答えだけを言えば」イ・ヨンフンに発見されないだけだ。
 

 その他に「慰安婦」の高収益の主張と日本軍「慰安婦」問題の教育を眺める彼の「暴力的心性」(愕然とするが彼の言葉を返す)に対しては、紙面の制約で次の機会にすることにする。



カン・ソンヒョン聖公会大学教授、東アジア研究所冷戦平和センター長
 

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/945058.html
韓国語原文入力:2020-05-15 10:32
訳M.S

 

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09 

22年経て明るみに出た神学大学総長の学生への性的暴行
登録:2020-05-18 01:16 修正:2020-05-18 10:22

総長在職時「キス、口腔性交などを強要」証言 
カトリック仁川教区、遅ればせながら加害神父を免職処分



SBSの番組「それが知りたい」の放映画像キャプチャー//ハンギョレ新聞社

 

 カトリック仁川(インチョン)教区内部で隠蔽されていた性的暴行事件が、22年を経て明るみに出た。SBS『それが知りたい』は16日、「深い沈黙ー司祭たちの死、そして一人の人物」と題して、22年前に性的暴行を犯した神父の事件を放送した。
 

 この番組では、1996~98年に仁川カトリック大学に総長として在職していたC神父が、当時の神学生たちにキス、尻を触るなどの性的暴行をしていたという元修道女や神父たちの証言が複数出た。当時、仁川カトリック大学に在学中だったある神父は「C総長神父がたびたび自分の部屋に呼んだり、学校外の用事で出かける際に秘書のように連れて行って口腔性交を強要したと聞いた」と述べた。また別の神父はC神父について、「運転士もいる車内でそういう行為をした」と語った。
 

 同番組でC神父は「私は外部での金集めに忙しすぎて学生の指導問題は他の神父に任せていた。息子のようで愛の表現として愛でていた」と釈明した。
 

 神学生たちは7年間カトリック大学の寮に住み込んで教育を受け、ひとたび一つの教区に所属すれば、ほとんどは一生その教区から脱することはできないため、司教や総長などの上級者の要求を拒否することができない「順命の風土」の中で過ごす。実際、C神父の相次ぐ性的暴力にもかかわらず、神学生たちはこれを問題視できなかった。当時、仁川カトリック大学で英語を教えていた外国人宣教師神父が、神学生たちと面談する過程でこの事実を把握し、仁川教区長だった故ナギルモ司教に直ちに報告したが、うやむやになってしまった。


 仁川教区は『それが知りたい』の放送が確定した今月8日になってようやくC神父を免職処分とし、13日に仁川教区庁で記者会見を開いた。仁川教区は同日、「独自の再調査の結果、1996年入学生のうち9人が被害者であることが把握された。しかし、2006年に叙階を受けた2人の司祭は1998年5月、(C)神父が総長を退いた翌年に入学したため、彼らの死は(C)神父とは関係がない」と釈明した。
 

 一方、仁川教区は刷新委員会を設置すると明らかにしたが、沈黙のカルテルを形成してきた教区内の人物だけで刷新委を立ち上げても、その場しのぎに終わる可能性があるという指摘が出ている。仁川教区の青年会長を務めたパク・ヨンデ教区労働司牧委員は「沈黙のカルテルが続く可能性があるため、刷新委には外部の専門家が加わり、再発防止策と被害者保護策を講じるべきだ」と強調した。
 

チョ・ヒョン宗教専門記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/well/news/945310.html
韓国語原文入力:2020-05-17 21:12
訳D.K

 

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[インタビュー]ユン・ミヒャン「条件に合うと判断…建築費が多くかかったと聞いて」
登録:2020-05-18 06:10 修正:2020-05-18 16:28

[単独インタビュー] ヒーリングセンター購入関連疑惑を釈明 

購入過程は? 
「ソウルで適切な所は購入が難しく 
共同募金会と協議して京畿道に… 
売却による相場差益は考えていなかった 

活用されなかったとの指摘? 
「市民団体などが利用…『ペンション』ではない」 
「信じて任せられる人がおらず、父に管理を頼み 
私益目的ではなかったが、弁解の余地はない」



共に民主党当選者のユン・ミヒャン氏が正義連理事長時代の今年1月8日昼にソウル鍾路区で開かれた第1421回水曜デモで経過報告をしている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 

 共に民主党当選者のユン・ミヒャン氏が17日、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)が運営した京畿道安城(アンソン)の「癒やしと平和が出会う家」(ヒーリングセンター)を巡る高価購入疑惑などについて口を開いた。彼女は同日、ハンギョレとの電話インタビューで「ヒーリングセンターの敷地のために様々な所を調べたが、予算の限界で適切な所を長期間探すことができず、該当の住宅を購入した」とし、「不動産差益を考慮したのではなく、未来世代の教育と被害者の癒やしに最もいい場所を求めようとした」と明らかにした。続いて「振り返ってみると、不十分な点が多かった」と謝罪しながら「ただし、過去30年以上活動するなかで個人的な利益を得ようとしたことはなかったという本心だけは耳を傾けていただきたい」と求めた。
 

-京畿道安城のヒーリングセンターの購入過程は?
 

=当初はソウル麻浦区(マポグ)の「戦争と女性の人権博物館」近くにヒーリングセンターを設けようとした。ハルモニ(おばあさん)の住居の役割だけでなく、博物館と連携した教育プログラムなどがヒーリングセンターの目的だったから。実際、念頭に置いていた住宅もあった。当時の様々な協議の末に、現代重工業が10億ウォン(約8700万円)を社会福祉共同募金会(共同募金会)を通じて指定寄付をすることになった。ところが10億ウォンでは、当初念頭に置いていた所はもちろん、ソウルで適切な所を購入するのは難しかった。建物を購入すれば10億ウォンが支給される仕組みで、追加募金で土地を用意することもできなかった。共同募金会側に事情を説明すると、担当者が「共同募金会でもこのような大きな金額が指定寄付されたことはなく、事業が推進されない場合は監査から指摘されることもあり得るので、必ず推進しなければならない」と言われた。また「建物を買えば事業費の支給が可能になる。敷地は必ずしもソウルでなくても郊外周辺で問題ない」と言われた。それで京畿道側を調べ始めた。事業推進の段階ごとに現代重工業・共同募金会と協議して事を進行した。
 

-ヒーリングセンターを相場より高く買い取ったとの主張が出ている。
 

=適切な所を求めるために京畿道のほとんどの場所を訪ねた。京畿道の利川(イチョン)、安養(アンヤン)、水原(スウォン)、江華(カンファ)まで行った。良い所は大部分が10億ウォンを超えた。それで私と当時事情をよく知っていた夫が、周辺にあちこち推薦をお願いしたりもした。安城新聞のイ・ギュミン代表(共に民主党当選者)もそのうちの一人で、イ代表の紹介でKさんに会って住宅を購入することになった。Kさんはその日初めて会った。実際の家を見てみると、周囲が山で、静かで家も良かった。Kさんが自分と親が一緒に暮らすために建てた家だとのことで、レンガや壁紙などは全部良い材料で丈夫に作られ、建築費が多くかかっているという説明を受け、資材などを確認してみた結果、事実だった。当初、先方で提示した金額からさらに割り引くことができるとも言われた。既に私たちが見た所や使用目的を考慮すると、高かったとは思わなかった。もちろん、現在議論になっているように、相場に対する考えは違うことはあり得ると思う。ただし私たちはずっと活用するつもりだったので、売却を通じた相場差益を考えてはいなかった。ヒーリングセンターの目的に適合して予算内で執行が可能かが重要だった。
 

-十分に活用されなかったとの指摘がある。
 

=開所後しばらくの間はハルモニたちとプログラムも進めて、ハルモニと若者たちの出会いの場所としても活用された。そうするうちに2015年の韓日日本軍「慰安婦」問題合意が発表され、それに反対する戦いをずっと続けていかなければならなかった。ヒーリングセンターを安定的に運営する活動家がいなかった。それでも空けておくだけにはできないので、「水曜デモ」などに連帯する市民団体が自らのプログラムを進行する時に使用できるようにしようという議論になった。平和のための連帯強化を目的にヒーリングセンターを維持したかった気持ちがあったからだ。ただし、その回数は多くなかった。ペンションのように使ったのではない。連帯する市民団体の会員が個人的に使いたいと言ってきた場合には許可しなかった。
 

 -父親がヒーリングセンターを管理して、月に120万ウォン(約10万円)ほどを受け取っていたのも議論になっている。
 

=活動家が直接管理することができないので、信じて任せられる人が必要だった。妙案がなかったが、挺対協の運営委員会で父の話が出た。父は当時、京畿道華城(ファソン)のある食品工場で工場長をしていた。お願いしたところ、はじめは「そこで暮らさなければならないのか」と尋ね、躊躇していた。それで「代案がない」と話すと「分かった」と言って仕事を引き受けてくれた。初めは人件費が120万ウォンだったが、売却が具体化した2018年以後は管理費の50万ウォン(約4万3000円)だけが支給された。
 

-家族が引き受けたのは問題との指摘が出ているが。
 

=弁解の余地はない。今考えてみると、人件費を十分に策定して正式な管理者を置かなければならなかったと思う。ただし、財政に余裕がない市民団体の状況上、特別なプログラムがない所に人件費を多く使うことはできないと思った。月120万ウォンだったが、金額を見ても分かるが、私益を得るための目的ではなかったという点だけは認めてもらいたい。水原から日曜日に出勤・金曜日に退勤して一生懸命仕事をしたし、過ごす環境も劣悪だった。他人だったら、ヒーリングセンターの部屋の一つを居住用に使わせようとしたはずだ。しかし、私の父だったので、むしろそうすることができなかった。それで倉庫として使われたコンテナに泊まってもらうようにした。父にはひどいことをしてしまったわけだ。父はヒーリングセンターで働いてからわずか1年で胃がんになり手術を受けた。その前年の健康検診では何も異常がなかったのに…娘としては申し訳ない気持ちが強かったが、他に引き受ける人もおらず、その後も続けて管理をしてきた。
 

-最後に言いたいことは。
 

=振り返ってみると、不十分な点が多かったようだ。犠牲だけで全てが正当化されることはできないということを最近よく考える。より徹底すべきであった。このように大きな議論になったことに対して申し訳ないと言いたい。ただし、30年以上活動するなかで個人的利益を得ようとしたことはなかったという本心だけは、耳を傾けてくださるようお願いしたい。
 

チョン・ファンボン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/945303.html
韓国語原文入力:2020-05-17 21:05
訳M.S

 

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[社説]正義連の「ヒーリングセンター疑惑」は遺憾、透明に解明せよ
登録:2020-05-18 07:00 修正:2020-05-18 09:35


正義連が日本軍「慰安婦」ハルモニたちのためのヒーリングセンターとして運営するために購入して売却した京畿道安城の「平和と癒やしが出会う家」の建物=安城、オ・ヨンソ記者//ハンギョレ新聞社

 

 正義記憶連帯(正義連)が企業の支援金を得て購入した日本軍「慰安婦」被害女性であるハルモニ(おばあさん)たちのためのヒーリングセンター「平和と癒やしが出会う家」の購入過程と運営などを巡る疑惑が相次いで提起されている。遺憾なことだ。
 

 正義連の前身である韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)は、2013年に現代重工業の指定寄付金10億ウォン(約8700万円)を得て、ハルモニたちや活動家たちのアクセスがしやすいソウル市麻浦(マポ)にヒーリングセンターを作るとした後、京畿道安城(アンソン)の建物を買い取り、ヒーリングセンターを設けた。高齢のハルモニが行き来するのが難しい郊外にあるので、結局ヒーリングセンターは十分に運営することができなかった。当時の相場より高い7億5000万ウォン(約6500万円)で建物を買い取り、売却の過程で大きな損失も発生した。購入取引を仲介したのは、正義連の前理事長であるユン・ミヒャン共に市民党比例代表当選者と親交のある、安城新聞のイ・ギュミン代表だ。イ代表は今回の総選挙で共に民主党の候補として当選した。建物を相場より高く売却して少なくない差益を得たのもイ代表の知人だ。また、正義連がユン氏の夫にニュースレターの製作を任せたことが明らかになったのに続き、この建物の管理をユン氏の父親に任せて賃金を支給してきたという。
 

 このような釈然としない点に対して批判的な声が出るのは当然だ。ユン氏はヒーリングセンターの場所に関連して「予算の限界で適切な所を探すことができなかったので、該当の住宅を購入した」と釈明した。管理人問題に対しては「信じて任せられる人が必要で父に任せ、私益を得るための目的ではなかった」と説明した。
 

 正義連は、ユン氏の父親を管理人に指定した点とヒーリングセンター事業を十分に遂行することができずに寄付金の損失が発生した点などについて、過ちを認めて謝罪した。正義連は国家の補助金収入の内訳の一部が国税庁の公示資料から漏れたという指摘に対しても、外部の会計監査を受けることにした。
 

 しかし、これだけでは不十分だ。正義連が信頼を回復しようとするならば、状況の厳しさを直視し、さらに多くの努力をしなければならない。今回の議論のために、過去30年間多くの活動家や市民の努力で日本軍「慰安婦」問題の歴史的真実と被害者の声を世の中に知らしめ、世界的に戦時性暴力に反対する運動を発展させてきた成果が揺らいではならない。正義連とユン氏が提起された疑惑に対して透明かつ謙虚に説明し、制度改善と内部監視機能強化など具体的な後続対策を出すよう願う。
 

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/945301.html
韓国語原文入力:2020-05-18 02:11
訳M.S

 

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