ズートピア (2D・日本語字幕版) | ヤンジージャンプ・フェスティバル

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基本はシュミ日記です。
…遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん…
  

公開前はけっこう楽しみにしていたのに、気付けばもうそろそろ上映終了になる時期ではないか!
というわけで、ようやく焦って観に行ってきたよ、この作品。

なんと!!
最近のピクサー作品とは違って、日本語字幕版も公開されている!

観た人の感想とかを見ると、セリフの間の取り方が秀逸!という声もあったし、CMとかで聴いた感じだと、吹替え版テーマソングの日本語歌詞の乗せ方が強引っぽいな・・・・と思ったりもしたので、日本語字幕版で公開されている劇場へ足を運んだのでした。

【あらすじ】
 「アナと雪の女王」「ベイマックス」のディズニーが贈る感動のアドベンチャー・ファンタジー・アニメ。動物たちが人間のように暮らす楽園“ズートピア”を舞台に、史上初のウサギの警察官となった主人公が、周囲の偏見を乗り越え、ズートピアを揺るがす難事件の解決に奔走する姿を描く。監督は「塔の上のラプンツェル」のバイロン・ハワードと「シュガー・ラッシュ」のリッチ・ムーア。
 動物たちの楽園ズートピアで、史上初のウサギの警察官となったジュディ。立派な警察官を目指して意欲満々の彼女だったが、周囲は小さなウサギに務まるはずないと半人前扱い。それでも決してへこたれないジュディ。折しも、巷では14件もの連続行方不明事件が発生、警察も捜査に追われてんてこまい。ついにジュディにも捜査に参加するチャンスが巡ってくる。しかし与えられた時間はたったの2日間。しかも失敗すればクビという厳しい条件が課されていた。そこでジュディは、この街をよく知る詐欺師のキツネ、ニックに協力を要請、2人で少しずつ事件の核心へと迫っていくのだったが…。
(allcinema onlineより)

先日感想を書かせてもらった『アーロと少年』には無かったものが全てここにある・・・とまで言うと多少大げさではありますが、ついついそう言いたくもなるような素晴らしい作品でした!!

まずは映像の素晴らしさ!
キャラクターたちの魅力的な姿はもちろん言うまでもないのですが、今作で最も素晴らしいのは、舞台である都市「ズートピア」の映像だと思います。

様々な種の動物たちが理想的に暮らせるように・・・と、それぞれの種にあった気候が再現されていたり、それぞれの種にあったサイズで街が造られていたり・・・という都市「ズートピア」。

その風景を見ているだけでもワクワクさせられますし、映像だけでこの都市がどういうコンセプトの元で成り立っているかが理解できるようになっている・・・というのは本当に天才的偉業。

この作品のテーマの一つとして「誰もが憧れる夢のような理想には、実は大きな問題点が潜んでいる場合もある」・・・というものもあると思うので、こうやってズートピアという都市の成り立ち、ズートピアという都市の素晴らしさを、映像で観客に理解させる・・・というのは本当に大事なことだったのだと思います。

で、映像よりも何よりも最も素晴らしかったこと。
それは、人類にとってはほとんど永遠に解決しないのではないか・・・と言っても過言ではない「差別問題」について、全く理屈っぽくなく問題提起しているところ。

下手をすれば偽善っぽくなってしまうこのテーマを、時にはちょっとした(笑える範囲での)悪意を込めて描き、さらには「主人公だって100%の善人ではない」というエピソードも加えたり・・・と、恐ろしく中立で公平な立場を取っているあたり、もう全く文句なし。

あとは主人公から脇役、善人から悪人に至るまで、全ての登場動物たちのキャラ立ちの凄まじさ!
僕が彼らと知り合ったのは、ついさっきだというのに、作品内で描かれている姿を観ているだけで、彼らのこれまでの生い立ちまで知ってる・・・と感じてしまうほど!
(まぁ、何人かは自分の生い立ちを自ら語っているのもあるんだけど)

そんな彼らが日々の生活を送っていく中で、喜んだり、傷ついたり。他人との関係を深めたり、時には遠ざかったり・・・・という姿は何とも愛おしく、この先もずっと付き合っていきたいなぁ・・・と思ってしまうほど。

初期~中期のピクサー作品って、全作品こんな感じだったよなぁ・・・。
「アーロ・・・」はちょっとアレだったけれども、何だかんだでディズニーの底力を感じさせる、そんな逸品でした。

というわけで、サスペンスフルなアクション映画としても最高に楽しく、ハートフルな青春映画としても、都市の暗部を描いた社会派映画としても楽しめる・・・という多面性を持ったこちらの作品。

何だかんだでまだ公開されている映画館もあるみたいですから、何となく見逃してしまっている方、アニメだからと敬遠してしまっている方はぜひ劇場へ!!!

僕も時間を作って、吹替え版でも観直してみたいものです!!!!!
(2016年6月4日 109シネマズ川崎にて鑑賞)