エンディングノート | ヤンジージャンプ・フェスティバル

ヤンジージャンプ・フェスティバル

基本はシュミ日記です。
…遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん…
  

ひゃっほーい! 今日から休みだぁー!

・・・ってんで、年賀状の準備も大掃除もせずに映画館へ。
今日出かけた劇場は『天国と地獄』とか『私立探偵 濱マイク』シリーズなどの舞台にもなった、黄金町にある「シネマ・ジャック&ベティ」という劇場。


ヤンジージャンプ・フェスティバル



いかにも昭和らしいの雰囲気の味わい深い外観と、ついつい長居したくなる愛すべき古臭さが素敵な劇場。
毎週木曜日はメンズデーで料金が1000円均一になるのも嬉しいところ。

そんな、大好きな劇場に、都合により見逃してしまっていた作品を観に行くワクワク感を抱えつつ。
まずはあらすじのご紹介です。


【あらすじ】
これがデビューとなった砂田麻美監督が、ガンで余命を宣告された自らの父と家族の残された最期の日々をカメラに収めた笑いと涙の感動セルフ・ドキュメンタリー。熱血営業マンとして“段取り命!”のサラリーマン人生を送ってきた砂田知昭。67歳で会社を引退し、第二の人生を歩み始めた矢先の2009年、ガンが発見されるもすでに手術は不可能な状態まで進行してしまっていた。すると彼は、遺された家族が困らないようにと、自らの死の段取りを人生最後の一大プロジェクトとして捉え、まずは死ぬまでにしておきたいことをリストにしたマニュアル“エンディングノート”作りに取りかかる…。死を迎えるにあたっても段取りにこだわる父親の哀しくもユーモラスな最期が、軽妙さを失わない客観的な眼差しで切り取られていく。

(allcinema onlineより)


うー。参りました。

こんな、言ってしまえば「知らないオジサンとその家族のホームビデオ」みたいな作品にこんなに泣かされるとは・・・。
「今年一番泣けた映画」という点では、間違いなく一番の作品でした。

あらすじにもある通り、この作品はある一人のサラリーマンの最期を、娘である監督自身が撮影し、ナレーションをつけたドキュメンタリー作品。
そんな、どうしたって主観的になってしまいそうな内容を、ここまで客観的に「作品」として完成させた・・・というのは本当に奇跡的なことなのではないでしょうか。

もう一つ奇跡的なことといえば、まずは主役であるお父さんと、そのご家族。そしてお父さんの主治医や、お父さんの葬儀を執り行った教会の神父さん・・・といった全ての出演者のキャラクター。
もう全ての人々がこの作品の為にキャスティングされたんではないか・・・と疑ってしまうほどの素晴らしさ。
そんな数々の奇跡がいくつも重なった結果、この作品が生まれたと言っても過言ではないほどの作品でした。


「死は人生の終末ではない。生涯の完成である。」などという言葉もありますが、その観点で言うのであれば、この方の人生は本当に素晴らしいものだったのではないでしょうか。
果たして自分はこの方のような最期を迎えることができるのか・・・と思わず自分のこれまでの、そしてこれからの人生を考えずにはいられないような・・・そんな作品でした。