小さな村の小さなダンサー | ヤンジージャンプ・フェスティバル

ヤンジージャンプ・フェスティバル

基本はシュミ日記です。
…遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん…
  

去年公開された、大好きな映画が再上映されるというんで、ヨコハマは黄金町にある「シネマ・ジャック&ベティ」という劇場へ。

前から名前は知っていたものの、行くのは初めてのこの劇場。
外観はこんな雰囲気・・・・。

ヤンジージャンプ・フェスティバル-ジャックとベティ


いかにも昭和・・・という風情。

この劇場のある黄金町という街は、ヨコハマの中でもかなり危険な歴史を有する街。
警察による大掛かりな取締りなどもあり、近年ではそんなことも無くなってきているようですが、それでも街全体に漂う、どこかピリっとした空気。

そんな街に佇むレトロな雰囲気の劇場。
「映画を観に来た」というより「活動写真を観に来た」とでも言いたくなってしまうような気分。
日常世界の些事をしばし忘れて、映画という非日常の世界に浸かるにはうってつけな空間。
作品への期待が、どんどん高まっていきます。


・・・・とはいいつつ、今回の上映は2本立て。
本命の映画ではないこちらの作品はノーチェック。

正直に白状しますと、タイトルすら知りませんでした。
・・・・っていうか、これから観るぞ・・・・っていうのに、いまだにタイトル覚えてません。
すみません・・・・。



では、まずは作品のあらすじを・・・


【あらすじ】
中国出身の名ダンサー、リー・ツンシンの激動の半生を綴った同名自伝(旧題『毛沢東のバレエダンサー』)を映画化した伝記ドラマ。毛沢東の文化政策により、幼くして家族と引き離され、バレエの英才教育を受け、その後アメリカに亡命し一流ダンサーとして花開くまでの揺れ動く心の軌跡を華麗なバレエ・シーンとともに綴る。
主演は、自身も中国出身で現在は英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして活躍するツァオ・チー。監督は「ドライビング Miss デイジー」のブルース・ベレスフォード。
1961年、中国山東省の貧しい村で7人兄弟の6番目として生まれた少年、リー・ツンシン。
ある時、毛沢東夫人・江青が始めた文化政策を進めるべく、バレエの才能発掘が全国で展開され、リーの村にも北京から視察団がやってくる。
そして、小学校の先生の推薦で、バレエを一度も見たことのないリーが選ばれる。家族と離れ、北京の舞踏学校に入学したリー。最初は落ちこぼれていたリーだったが、やがてバレエの素晴らしさに目覚め、踊りにのめり込むようになる。時代が移ろい、改革開放が進む中、青年となったリーにアメリカでのバレエ研修のチャンスが訪れる。自由の国、アメリカでの体験はリーの心にも大きな変化をもたらしていくが…。

(allcinema onlineより)



とても良い作品でした。

あらすじにもある通り、この作品は実在するバレエ・ダンサーの伝記を原作とした作品。
しかしながら、主人公は文化大革命の真っ只中の中国に生まれた人・・・ということで、この作品は単なる伝記作品ではなく、社会派な側面も持った作品。

じゃあ、色々とややこしい作品なのか・・・というとさにあらず。
政治的なあれやこれやも、若いバレエ・ダンサー個人の視点で語られるので、非常に判りやすい感じ。

国家から、やりたくもないバレエを強要され、幼いころから家族とは引き離され。
成長してからも、愛する者との恋愛も結婚も認められず、踊る内容まで制限されてしまう。

そんな国家に対して、若者が問いかける「なぜ?」は、その純粋さゆえにストレートに胸に迫ってくるものがありました。


作品全体に「アメリカから見た中国」という視点が感じられたり、長い人生を2時間にまとめただけあって、全体的にあっさりと事が進みすぎるかな・・・という不満もありましたが、美しいバレエシーン(主人公を演じた役者さんも本物のダンサー)も含めて、非常に見ごたえのある作品でありました。