ラストシーン ~奈良見仏旅行 2010春~ | ヤンジージャンプ・フェスティバル

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基本はシュミ日記です。
…遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん…
  

さぁ、いよいよ今回の見仏旅行の最大の目的地。

東大寺の法華堂(三月堂)へと向かいます。



ヤンジージャンプ・フェスティバル-三月堂_100417.jpg




この法華堂。


東大寺の中で、一番古くからあると言われているお堂。



お堂の内部は本尊の不空羂索観音を中心に、天平時代の仏像14体を含む、全16体の仏像がところせましと並んでいる…という、見仏人にとっては正に極楽とでもいうべき、奇跡の空間。





…ところが最近の調査で、お堂の老朽化が激しく、かなり危険な状態であることが判明。


今年5月から、急遽お堂の改修をすることが決定。





更に…

それを期に、仏像の配置も見直されることとなり、創建当初からいたと伝えられる8体の仏像以外は他所に移されることになってしまった…とのこと…。



つまり今年の5月を持って、この仏像ドリームチームは解散。

この奇跡の空間は永久に失われてしまい、二度と見られなくなってしまう…ということなのです…。





あぁ…。

最後だとわかっているなら
…。


何とかしてこの胸にとどめておきたい、その姿…。





そう思いたったのが先月のこと。

そんな経緯で急遽、今回の見仏旅行が企画されたのでありました。






さて、気付けば数年ぶり。久々に訪れた法華堂。




外の空気とは違う、ひんやりとした空気が、相変わらず素敵。




その中で窮屈そうに…。


でも何だか居心地良さげに、それぞれの存在を主張する仏像たちの姿は、この世のものとは思えない、荘厳な美しさ。


ああ、この奇跡の空間が、もう二度と味わえなくなるなんて…。






文化財保護の為には、解散&解体修理はきっとベストな選択。


それはわかってる。




…でも…。






でもさぁ…


…何とかならないんですかねぇ…と思ってしまうことも確か…。






仏像ドリームチームを前にワクワクする僕のココロ。

しかしながら、同時に心の中に隙間風がびゅうびゅう吹いている…そんな複雑な気分…。












そうこうするうちに、あっという間に時は過ぎ、拝観終了の時間…。

やりきれない想いを抱えつつ、東大寺の境内をとぼとぼ歩きます。




帰り道 夕陽をバックに鳴く鹿の 声聴くときぞ 春はかなしき







ヤンジージャンプ・フェスティバル-夕陽と鹿と_100417.jpg












……でも、いつまでもクヨクヨしてたって仕方ない。


所詮、世の中なんてものは、ままならないことばかりの繰り返し。




いくら悔やんだところで、現在のこの法華堂の姿が戻らないというならば、それはそれ…ときっぱり諦めようじゃあないか…。




そして、今までこの奇跡の空間を味わわせてくれた事実…。


そのことに感謝して生きていこうじゃあないか…。




真っ赤に煮えたぎって、ぶるぶると落ちていく夕陽を眺めながら…。


一人静かにそんな決意をする僕だったのでした。




不空さんチームよ…。


今までどうもありがとう。


これからもどうかお元気で………………………。