金色堂 ブッダパラダイス オーケストラ | ヤンジージャンプ・フェスティバル

ヤンジージャンプ・フェスティバル

基本はシュミ日記です。
…遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん…
  

【前回までのあらすじ】


初の東北見仏旅を楽しんでいる、僕。


東北見仏の定番である、中尊寺にやって来たものの、見仏できる仏像の少なさと、仏像たちの若さに不満が隠せない。


しかしながら、このお寺に伝わる文化財のほとんどが収蔵されている「讃衡蔵」の充実っぷりには大満足。


館内の暖房と、体内を真っ赤に流れる僕の血潮とに温められて、身体もすっかりポカポカに。


「この勢いが無くならないうちに…」と一気に金色堂へと足を運ぶが、頼朝の命を受けて派兵された、義経追討の軍勢の勢力は衰えることをしらず、義経一行は次第に追い詰められていく。


激しい争いが続き、次々に命を落としていく義経の家臣たち。


義経は生き残ったわずかな側近を連れ、北上川を臨む持仏堂へ身を潜めたのだったが…。


(allcinema online様
っぽく書いてみました)






……えー…。


途中から違う人の話になっているような気がしますが…。




    …きっと気のせいです。






まあ、山の中だからね。


電波が上手く入らずに、混線しちゃったんでしょう……。


もうっ!ぃやんなっちゃうわむかっ






…というわけで、ようやく金色堂へと到着。


折しも、お堂の向こう側。雲の隙間から太陽の光が……。









ヤンジージャンプ・フェスティバル-金色堂_100124.jpg





その光に導かれるように受付をすませて、いよいよ金色堂へ…。


期待に震える指で音声ガイドの再生ボタンをプッシュ!




すると


「お堂の正面にお集まりください。金色堂の解説を致します…」


との声。






基本的に「言われたことには素直に従う(ふりをする)」タイプの僕。


足早にお堂の前に集まります…。







…とはいえ、今日は気ままな一人旅。


「お集り下さい」…ったって、気付けばひとり。




……まあ、フィジカル的には独りだけれど、メンタル的には大勢…


…ってことにして、みんなで集まって解説に耳を傾けます。






まずは音声ガイドさん。お堂全体の解説。


このお堂はいつごろ建てられたよーとか、キラキラの装飾が素敵でしょーとか、まあ乱暴に要約するとそんな感じ。




そして!ついに仏像の説明を始める、音声ガイド氏!




「…それでは、中央の須弥壇をご覧ください…。


 中心には本尊の阿弥陀如来…」





の声に、真ん中を見る僕達だったのですが……。






阿弥陀さま。


いないーーーーー!






……と、それもそのはず。




今、僕(メンタル的には僕たち)が見ているお堂は「覆堂」というお堂。


風雪にさらされて金色堂が傷まないように…と、お堂全体を覆って守る、一回り大きなコンクリートのお堂なのです。






そして、さっきから音声ガイド氏が説明してくれているのは、この覆堂の中にある金色堂。


どおりで解説の内容と、目の前の風景が全っ然違うわけだ…




…だって、あんまり綺麗じゃないんだもの…。コンクリだもの…。




そんな早とちりの自分(たち)を責めつつ、覆堂の中へ…。


入った途端、目の前に広がったその光景は……。









金塊 金塊 ロボ 金塊 金塊 金塊 金塊 金塊 金塊 金塊  




Wow!


黄金の国、ジパング!




金塊 金塊 金塊 ロードランナー 金塊 金塊 金塊 ロボ 金塊 金塊 








僕の目の前に現れた、金色堂の姿。




金箔に覆われた、四方の壁。


須弥壇に所狭しといまそかりける仏像たちも、全身金箔塗り…。


そして、さっき讃衡蔵で見たのと同じ…いや、それ以上にラグジュアリーに装飾された柱&お堂。




かつて、松尾芭蕉が「光堂」と詠んだのも、なるほど納得。


まるで、お堂全体がキラキラと光を放っているかのようです。






その光景にしばし呆然。


しばらくそのままで、目が金ピカに慣れるのを待って…。


…ようやく落ち着いて見仏スタートです。








さて、ここのお堂の仏像たちは、全部で3チーム。


1チームのメンバー構成は「阿弥陀三尊」「六地蔵」そして四天王から二人、持国天と増長天という組み合わせ。




燃えてしまった…とか、博物館に出張中…とかいう理由ではないのに、四天王がなぜか二人だけ…というのは珍しい編成。そして、須弥壇に六地蔵…ってのも、かなりオリジナル。








オーケストラで例えるならば




ヴィオラとチェロが1人ずつなのに、ファゴットが6人もいる…。




という感じでしょうか…。




しかも、そんな変わった編成のオーケストラが、全身金ピカで、3グループも一つの舞台にいるのです…。




こりゃあもう、


「一人一人の演奏技術が…」とか「この編成は何だ?」


…とか、そんなちまちましたことを考える間もなく、この楽団の奏でる音楽が全身に降り注いでくる…という雰囲気。


…ちょっと判りづらい例えだけれど、僕にとっては、そんなお堂だったのです、ここは…。








そんなこんなで、至極のハーモニーを楽しむこと、しばし。


すっかりフラフラしながら金色堂を後にする僕。








すると目の前には、再び覆堂が出現!








ヤンジージャンプ・フェスティバル-旧覆堂_100124.jpg




こちらは室町時代に建設され、金色堂を守っていた「旧:覆堂」。


今の覆堂が建設されるにあたって、その役目を終えて、少し離れたこの場所へと移設されたのだそう…。


こうして金色堂は、何百年もの間、守られてきたのですね…。






みちのくの地に「平安な極楽浄土の世界を…」という願いを込めて、中尊寺をつくった奥州藤原氏。


それから約1000年。


いろいろなことがあったけど、今はこうしてニコニコと見仏などしていられる世の中。


それって、実は貴重なことなのかもしれませんね…。




今から500年後、1000年後も、そんな世であることを祈りつつ…。