渋谷O-nestにMudhoney のライブを観に行く。
先週からの風邪で微熱があるのだけれど、チケットを取った当時は、まさかこんなことになるとは思っていなかったもんで仕方ない。
歩いていると、微熱のせいで全身がダルくて、フワッフする感じがあるのだけれど、チケットを取ってるもんで仕方ない。
フワッフ、フワッフしながら、渋谷へ向かう…。
…フワッフ…フワッフ…・。
さて、今回観に行くマッドハニー。
90年代のロックを語るうえで欠かせない、音楽(ロック)のムーブメントのひとつ「グランジ」の代表的なバンドなのだけれども、どうにも日本での人気、知名度は今ひとつのような…?
グランジの代表的なバンド…というと、まずはニルヴァーナ。
その次にはスマパンとかパールジャムとかが出てきて、マッドハニーは大体5~6番目くらいになるのではないか…と思う。
だけれども、グランジブームを語る上で欠かせないレーベル『サブポップ』は、実はマッドハニーの作品を発売するために発足されたレーベルなわけで…。
っていうことは、実はマッドハニーこそが「ゴッドファーザー オブ グランジ」、もしくは「グランジの総本山」「元祖グランジ」「グランジのお師匠さん」「グランジのホームラン王」になるわけで、本来ならば真っ先に名前を上げなければならないバンドなのである。
…などと語っている僕にしたって、やはりグランジといえばニルヴァーナを真っ先に思い出すし、年月が経つにつれて、あれほどハマっていたグランジロックも段々と聴かなくなり…。
それどころか、最近では『グランジ』という言葉そのものに、どこか時代遅れな、若気の至りみたいなものを感じてしまう有り様。
そんなわけだから、正直言うとマッドハニーの存在自体を忘れかけていたのだけど、ネットで『10年ぶりに来日!』なんて情報を見つけた途端にどこか異様な胸騒ぎをおぼえて、急いでチケットを取りに走ったのでした…。
ああ、素晴らしい青春の日々よ、もう一度…ってなもんである。
さて、そんなこんなで始まったライブ。
彼らは4人組のバンドで、Vo&G、G、Bass、Drumという編成だったはずなのだが、ヴォーカルのマークさんは手ぶらで登場。
ええっー!だってこの人たちのライブって、ファズ(註:ギターの音を変えるエフェクターという機材の一つ。ギザギザした感じのやかましい音が出る)とかビッグマフ(註:先述のファズに似たようなエフェクター。ファズよりももっとモコっとした太い音が特徴…なはず。試したことないからよくわかんない)をかました2本のギターの絡みがカッコイイんじゃん……と若干不満に思いつつも、冒頭に演奏された最近のアルバムからの曲を聴いて納得。
マークさんがヴォーカルに専念したために生じた音のスキマを埋めるべく、ギターのスティーブさんのキレッキレのフレーズがウネリまくる…!
マークさんの振り絞るようなシャウトも相変わらず健在で、狭い会場を埋め尽くしたギュウギュウの客席も一気にヒートアップ!
その後も新旧取り混ぜたベスト盤的な選曲(昔の曲ではマークさんもギターを弾く。やっぱりこれはこれでかっこいい)でかなり満足のライブでした。
ライブを観るまでは「昔好きだった懐かしいバンド」を観にいこう…くらいな気でいたんだけど、実際にはちっともそんな気分にはならず、ただの「下手くそで、バカっぽくて、ちょっとカッコ悪くて、でも最高にカッコいい、現役のロックバンド」のライブ…として、しっかり楽しんでしまいました。
今になって当時を振り返ってみると、マスコミの煽りもあってか、グランジバンドのことを、
「(自分のような)若い世代の苦悩を代弁してくれる救世主」
みたいに思いこみすぎていて、純粋に音楽として聴いていなかった…という気がします。
そういう無駄な意識が無くなった2009年に、彼らのライブを観ることができた…ってのは、本当に良かったなぁ…という気がしてなりません。
この気持ちを上手く文章にできないのが、とってももどかしいのだけれど、とにかくそういう気持ちになれたライブだったのでした。