日本では中価格帯だけど

米国では3万程度で入手できる様ですが、日本国内では関税や輸入コストなのでしょうか、倍以上になります。

 

 

このギターは、私の求めていたデザインコンセプトにほぼ合致し、一定の評価がある IYV(イニェーン・ヴィーナ)というベトナムのメーカー製です。 この製品の倍以上の価格の Japan SCHECTER製を差し置いて、購入に至りました。

 

未だ Japan Amazonではレビューが無い状態ですが、このギターに興味を持っておられる方に、「IYV ITF-300」の情報を伝えられたらと思います。

 

 

 

製品の品位 や問題点

楽器は特にですが、ユーザーによって評価基準が違い、正しく伝わらないかも知れませんが、私の感じたままで書きましょう。

 

製品をAmazonで購入してから予定の2週より早く、海外から9日で届きました。

 

最初に段ボール入りの運送品を受け取った時は、軽くて嬉しくなりました。 購入の主目的は自宅ですぐ弾ける事で、軽い事は大きな要件でしたから。 重さは約2.6kgで、ぞうさんギターより大きいメディアムスケールなので、余計に軽く感じます。

 

 

ネック 

ネックの塗装や仕上げは想像より完全でした。 長く経たないと、経年で反りが生じるかどうかは判らないですが。 20年前に購入したぞうさんギータもほぼ満足できましたが、このクラスのギターのネックの製品レベルは、中級者が納得できると思います。

 

購入時の1弦の12フレット弦高は約2mmでしたが、1.4mm程度まで落としました。 これでも全フレットでビビリは出ず、ネックの仕上がりは上出来と思います。

 

指板は、どちらかというとRが少なめで、チョーキングはし易いと思います。 ナット部のネック幅 41.6mm 12フレットでのネック幅 52mm です。

 

しかし、良い事ばかりではありません。 この社の製品は、ナット溝を殆ど調整不要なレベルに仕上げて発送している様です。 私の場合は(私の理想から言うと)4弦が掘り過ぎてスレスレでした。 昔は「判っているユーザーは自分でやって」式の製品が多かったのですが、昨今は「最初から弾き易いでしょう」と、店頭でアピールする事を狙う様になったのかもしれません。

 

 

これはまぁ無問題ですが、私の場合は 1弦の溝 ❶ で、前ページに書いた「シタール効果」が生じていました。 私は、どっちみ弄るユーザーなんで善処しましたが、最初からナット溝が深いので、削る処理はヒヤヒヤでした。 この様なナット溝の仕上げの失敗は、何%かは含まれている様な気がします。 ごめんね、私はウルサイ方なんで。

 

 

 ペグ

妥当なレベルと思います。 品質が悪ければ GOTOHと交換するのですが、その必要は無さそうです。

 

 

ボディ 

表の杢目は届くまで少し心配でした。 これは「spalted wood」と呼ばれる腐朽木材の杢目を模様として利用しています。 他の材木でも杢目を選べる事は少ないですが、このタイプは強く杢目を主張して当たり外れがあるわけです。 まあ、私の当たったのは大人しい杢目で、ほっとしました。

 

「spalted wood」は脆いので、おそらく別の木材に貼り付けた積層板をトップ材として使っていると思います。

 

 

このギターはフラットトップで、ソリッドボディではないので、表面は完全な平面ではありません。 トップをバックと貼り合わせる構造から、微妙な波うちがあります。 ギター背面は、文句のつけ様のない仕上がりなので、これは仕様でしょう。

 

片側セミホロウ構造はシンラインタイプの特徴です。 アンプ無しの音量もそれなりにあります。 ただ、この共鳴胴は低い音に乏しく、セミホロウの音そのものです。

 

「 f 型のホール」はバインデング ❷ をしていますが、高さが幅に足りていません。 これは、海外のレビュー動画を見てもこの高さでした。 バインディングの厚みを感じさせない加工で、「安かろう」のメーカーではない事が判ります。

 

 

胴の中は塗装の処理が無く、ルーターで掘ったままの様です。

 

 

その気になれば、マスキングをしてラッカーを吹き込めますが、胴内部の処理はアコースティックギターについて調べると、余り拘らなくても良い様です。

 

 

ギターピックアップ 

音は問題ないと思います。 私は、セイモアダンカンが付いていても、ああハムバッカーの音だなと思う程度の耳です。 ピックアップを弄るならアルデンテ加工しかないと思っています。

 

 

少し気になったのは、6弦側がブリッジ寄りにズレていて、これはネック側でもそうですが、ブリッジ側のズレは大きくて直せません。

 

 

ピックアップの配線の取り回しで、このズレが生じていると推測しているのですが、これはいずれ開けてチェックします。 実害は無く、気分のレベルの問題です。

 

 

ボリュームとスイッチ 

ピックアップのシングル化などをするなら弄る事になりますが、未だキャビティを開けていないので、細かな事は言えません。 外から見て、最初に気になったのは、摘みの ❹が深すぎて、ボディ表面を擦りそうだという事です。

 

 

写真は、摘みを引いて間を広くした状態ですが、軸に何か詰め物をしないと、いずれはボディに傷が付きそうです。 この問題もあり、メタルの摘みは好みではないので、ツマミを交換すると思います。

 

ピックアップ選択のトグルスイッチは、しっかりしていて感触は悪くありません。 ネットの動画から、ボックス構造のトグルスイッチなのでどうかと思っていましたが、この感触なら交換の必要は無いと思います。

 

 

弦 

最初から付いて来るのはどこのメーカーでしょう。 音は悪くないと思うのですが、左手の指先が黒くなります。 ネットを調べると、少し安い系の弦で、そういうのあるそうです。 完全なオクターブチューニングをするなら、当然愛用の弦メーカーに変えてからになるので、それまでの繋ぎですね。

 

 

 

まとめ 

気が付く問題点を並べましたが、私が最も気になっていたネックの反りは、完全に基準をクリアしていて、この社の製品レベルは「良」と言えると思います。 自分で高品位にグレードアップが出来るユーザーには、お勧めです。 初めてギターを購入する方には、2~3万円の製品より間違いはないでしょう。