昨夜は誕生日。
仕事を終えて、誰と誕生日を迎えるわけでもなく、恋人や家族の存在がない僕は、昨夜の自分が現在の自分を象徴していると、苦笑いをしながらの帰路だった。
でもまあ、60年間生き抜いたことを、チョイと感慨に耽ってみようといつものサナちゃんの店に飛び込んだ。
店はいつもどおり混んでいたが、「ひとりですか?大丈夫よ」とすぐにサナちゃんの担当ゾーンに案内された。
「この前は皆さん揃って楽しそうでしたね」
「そうそう、久しぶりにね。みんな酔っ払ってしまったけど」
刺身のブツ盛と島根の若林酒造のひやおろしの「開春」を7勺注文、飲み始めた。
◆ひやおろし⇒春先にしぼられた新酒に火入れ(加熱処理)を行い、 夏の間に ひんやりした酒蔵の中で貯蔵して程よく熟成させ、 秋になって、蔵の中と外の温度が同じ になる頃から 冬にかけて瓶詰めして出荷したお酒のこと。
「今日はお休みですか?」とサナちゃん。
「いや、仕事が早く終わったからね。少し飲もうと思って」
時刻はまだ6時過ぎだった。
店は相変わらず忙しく、サナちゃんは注文と接客に動き回り、僕はフェイスブックに次々届く「誕生日メッセージ」のレスをiphoneで打ち続け、そして刺身を食べ酒を煽る、彼女と言葉を交わす間合いがない。(x_x;)
ときどき僕の前に来て、今度北海道の友人の結婚式に出る話や、ウインタースポーツ到来なので、身体を鍛えないといけないと言ったり、二言三言話してはあちこちから注文を受けて奥に退く彼女。
僕はサナちゃんに「今夜誕生日なんだ。つまらないことなんだけど」とだけ言いたかった。
それだけ伝えて帰ろうと思っていたが、彼女が忙しくてその合間がない。
酒は開春から佐賀のひやおろしの「七田」を7勺飲み、さらに秋田の「ど辛」を5勺、量的にはたいしたことはないのだが、たちまち僕は酔っ払ってしまった。
◆お酒の数々
なぜか酔っ払ってしまって、地球が途端に動き始めたような気がした。
最近卵を食べていなかったから、出し巻き玉子を注文して、それをササッと食べたら、「サナちゃん、帰るよ」と言って店を出た。
もう一軒、ワインの店を覗こうかと思って向かったが、どうも足元がおぼつかない。
たった二合程度のひや酒で酔っ払ってしまったのは、60歳という年齢になって劇的に身体に変化が起きたのか?
なはずはないな。(笑)
仕方がないので、夜の日比谷公園をぶち抜いて、東京メトロ千代田線に乗って町屋のシェアハウスに戻った。
そしてシャワーも浴びず歯も磨かず、ベッドにぶっ倒れ、このまま死んでしまっても、今の僕には失うものは何もないし、死んで後悔するなんていうのは死んでしまえば「こころ」も喪失するのだから、そんな戯言は人間の思い上がりなんだ・・・などと思いながら眠りに落ちた。
そして朝六時半まで爆睡、9時間も寝てしまったよ。(;´▽`A``
なんて僕らしく冴えない誕生日の夜だったのだろうと、翌朝もう一度苦笑い。
小説をこの三日間、ひとつの文章さえ書いていないので気持ちが焦るが、ひとつの区切りとして先々思い起こすこともあるだろうからと、ブログだけじゃなくメインWebにも書き留めておくことにした・・・続きはこちら
◆蘇生