【第14話】 どんぐり林で帽子踏み

どんぐりの帽子は踏むととてもいい音がします。
ボクは目をつむり、うっとり音色を楽しみながら踏んでいました。
すると突然肩にものすごい衝撃が走り、吹っ飛ばされてしまいました。
目を開けるとそこにはクマの子がいて、一言
「急いでいたのですいません」と言い、走り去って行きました。

ボクはすこしムッとしました。
でも目をつむって歩いている自分も悪いのだからと、体に付いた土をはらいながら思っていると
何か指先に引っ付いている事に気づきました。ふと見てみると、それは葉っぱタニシでした。
さっきぶつかった時に付いたのかもしれません。

ボクは葉っぱタニシを取ろうと、引っ張ってみましたが全然取れる気配がありません。
あまり無理に引っ張って潰してしまうのも可哀想なので、しばらく放っておくことにしました。
しかし葉っぱタニシは1週間たっても2週間たっても指先から離れようとはしませんでした。
どこへ行くにもいっしょです。最近では旅の仲間とさえ思えるようになってきました。
ある夜、明日で丁度1ヶ月だなぁと空を見ながら思いました。

翌朝目を覚ますと、指先には葉っぱタニシの姿はありませんでした。
今日で知り合って丁度1ヶ月だったのに…
ボクは「さよなら」も言えずに別れてしまったことに寂しさを覚えました。
もともと「こんにちは」から始まった出会いでもなかったので、
しょうがないと言えばしょうがないのですが…
しみじみと葉っぱタニシが付いていた指先を見つめると、そこにはキラリと光るものが
ありました。
よく見てみるとそれは一粒の砂金でした。
葉っぱタニシなりに何か思うところがあったのかもしれません。

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