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美容皮膚科 ペルラクリニック神宮前 院長の本田 淳です。
当院は、院長が診察から治療まで一貫して施行すること(ワンドクター制)を特徴としています。
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以下本文となります。
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炭酸ガスフラクショナルレーザーに関する論文の紹介になります。
2025年の論文です。
まずは要約からです
目的
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アジア人における眼周囲の静的な(刻まれている)シワに対するウルトラパルスCO2フラクショナルレーザーの有効性と安全性を評価する。
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ウルトラパルスCO2フラクショナルレーザー治療の長期的な効果を追跡調査する。
方法等
- 調査期間:2021年6月~2022年6月
- 30~65歳の眼周囲に静的なシワがあり、半年以内に同部位に対する治療歴がないアジア人30名を対象
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前向き自己対照試験(prospective, self-controlled study)
- レーザーパラメータ:眼周囲:エネルギー10mJ、カバー率10%、額、鼻根部:エネルギー17.5mJ、カバー率5%
- 評価:写真撮影(治療前、直後、2週間後、1,2,3か月後)、VASによる疼痛評価。電話フォローアップ(治療後1、3、5日目)による有害事象の調査。スキンアナライザーによるシワの評価。Antera3Dによるシワスコア、平均/最大シワ深度、平均シワ幅の評価。
結果
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VAS疼痛スコア:5.67±1.15(0~10)
- Fitzpatrick Wrinkle Scaleの低下
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3D皮膚解析:
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平均シワ深度:3か月後に有意な減少(p<0.001)。
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最大シワ深度:1か月後には改善が見られ(p<0.05)、2か月後および3か月後も有意な減少(p<0.001)。
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重大な有害事象は観察されず。
結論
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ウルトラパルスCO2フラクショナルレーザーは、アジア人の眼周囲の静的なシワを改善するのに効果的であり、高い安全性と忍容性を示す。
1. イントロ
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眼窩周囲は老化の初期兆候が現れやすい。
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眼窩周囲の老化の要因:紫外線曝露、皮膚厚の変化、皮下脂肪の減少、水分量減少、眼輪筋の反復収縮。
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眼瞼形成術(Blepharoplasty)は一般的な治療法であるが、長期のダウンタイム等、複数の問題を伴うため、多くの患者にとって最適な選択肢ではない。
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眼窩周囲の皮膚はデリケートであるため、非外科的治療には一定の制限がある。主な選択肢としては、レーザー(NAFL、AFL)、ボトックス、フィラーがある。
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ウルトラパルスCO₂フラクショナルレーザー(UPと略)は、静的なシワに対する一定の効果が認められているものの、治療結果には個人差があり、合併症(紅斑、色素沈着、感染、瘢痕等)が発生する可能性がある。
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筆者らの前研究をベースにし、治療範囲を上眼瞼、下眼瞼、額の靭帯領域(STSやORL上部? 眼窩靭帯と呼ぶ先生がいますが、あれはテクニカルタームでは・・・略)に拡大し、シワの改善について、臨床的有効性および安全性を評価した。
- 使用機器:UltraPulse CO₂フラクショナルレーザー(Lumenis社製, USA)
- 治療部位:眼窩周囲(上眼瞼および下眼瞼)、前額部、鼻根部。肝斑発生リスクが高い部位は除外。
- レーザーパラメータ:上記の通り
- 評価法
被験者の主観的評価:
疼痛;VAS(0-無痛 1~3軽度 4~6中等度 7~10重度)
満足度 (非常に満足A、満足B、どちらとも言えないC、不満Dで評価し、A+B+Cの被験者数/総数 Ⅹ100 %)
医師の主観的評価(盲検化された皮膚科医2名)
Skin Image Analyzerを用いて、治療前、2週間後、1、2、3か月後に写真を撮影し、Fitzpatrick Wrinkle Scale(1~3軽度、4~6中等度、7~9重度)にて評価。
客観的評価
Skin Image Analyzerを用いて、治療前、2週間後、1、2、3か月後に写真を撮影。
Antera3D Skin Image Analysis Systemによるデータ定量化:Overall Wrinkle Score、Average Wrinkle Width、Average Wrinkle Depth、Maximum Wrinkle Depth
安全性評価
評価は直後と3か月後
統計
Paired sample t-tests
有意水準:P≦0.05
- 被験者30名は全員女性で、平均年齢は、54.50 ± 8.74歳。
- VAS疼痛スコアは5.67 ± 1.15。
- 満足度93.33%(非常に満足10名、満足13名、どちらとも言えない5名、不満2名)
- Fitzpatrick Wrinkle Scale:治療前5.41 ± 1.83、
治療後のスコア推移:2wk:3.71 ± 1.92、1mo:4.29 ± 1.79、2mo:4.83 ± 1.80、3mo:5.26 ± 1.93
治療後2週間、1か月、2か月の時点で、治療前と比較して有意にスコアが低下(P < 0.05)
治療後3か月後のスコアは治療前と有意差なし(P > 0.05)
- 客観的評価(Antera3D):

Average Wrinkle Depthは、治療後3か月時点で治療前と比較して有意に減少(P < 0.001)
Maximum Wrinkle Depthは、治療後1~3か月で有意に改善・減少(1か月P < 0.05、2・3か月P < 0.001)。
- 安全性評価
1名の被験者において、治療直後に著明な紅斑および腫脹が発生したが、2週間以内に完全に消失した。
水疱、感染、色素沈着、瘢痕等の一般的な副反応は一切なかった。
- 眼窩周囲は顔面老化の兆候が最も現れる部位の一つであり、加齢の進行は遺伝的背景、ホルモン変動、環境ストレスが複雑に相互作用することで生じる。
- 静的な眼窩周囲のシワは動的なシワと比較して、形成機序がより複雑であり、治療が困難である。
- 現在、非侵襲的治療法として外用療法、ケミカルピーリング、レーザー、RF 等が実施されている。
- CO₂フラクショナルレーザーの適用と課題
エルビウムレーザー(2940 nm)等も含めて、アブレイティブレーザーは、Caucasianの眼窩周囲のリジュビネーションにおいて顕著な結果を示している。一方、アジア人においては、長期のダウンタイム、瘢痕形成のリスク、PIHのリスクにより、その適用範囲は著しく制限されている。 - UPの有効性と本研究の意義
近年の文献では、UPのこれまでとは異なる操作モード(フュージョンモードのこと? 全文が読めませんが、ごく一般的な手法だと思います)が静的な眼窩周囲のシワ治療に対する有効性が報告されている。
本研究で使用されたUP(Lumines社)は、最大深達度3500μm、MTZs直径120㎛(いわゆるDeepFx)で、組織の炭化リスクを抑えつつ、効果的な蒸散・アブレーションを実現している。そのため、熱損傷ゾーンが狭く、周囲組織およびメラノサイトに対する影響が最小限のため、PIHの発生を著明に軽減しており、本研究では、PIHの発生は皆無であった。 - 本研究では、全被験者において治療効果が認められ、治療後1~2か月に最も顕著な改善が見られた。
- ただし、治療後3か月時点でのシワの深さが再び悪化し(Fitzpatrick Wrinkle Scaleの推移のことを言っているものだと思われます)、過去の研究における術後2〜5年の持続的改善の報告と対照的である。これは被験者の年齢やシワの重症度等、複合的な要因が考えられる。
- 本研究の工夫:眼窩周囲の皮膚は特に薄く、一部の患者では厚さが0.2 mmしかないため、低エネルギー設定(10 mJ)とした(深達度は300 μm程度)。結果、有効性が確認され、治療後の反応も軽微で、被験者の忍容性も高いことが示唆された。
- 課題:長期的な有効性の評価には継続的な追跡調査が必要である。治療効果と患者コンプライアンスをさらに向上させるためには、今後の研究においてフラクショナルレーザーとボツリヌストキシンの併用を検討し、日常的な表情管理を最適化することで、より包括的、長期的な治療戦略を策定する必要があると考える。
- 結論:
UPは静的な眼窩周囲のシワ治療において高い安全性と有効性を示し、臨床上有用である。
今後の課題は、治療プロトコルの最適化と併用療法の模索により、より持続的で満足度の高い治療結果を提供することである。
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