ポリヌクレオチド(PN)製剤論文紹介1:実臨床と有効性についてのレビュー① | 美容皮膚科医の日常ーペルラクリニック神宮前院長 本田淳

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以下本文となります。

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ポリヌクレオチド製剤に関する論文をご紹介いたします。

 

 

Polynucleotides in Aesthetic Medicine: A Review of Current Practices and Perceived Effectiveness

 

 

 

2022年の論文です。

 

 

以下、ごく簡単な要約・意訳となります

 

 

イントロ

  • ポリヌクレオチドはヌクレオチドが複数結合して構成される分子で、遺伝子発現の調節や組織再生を促進するため、美容医療分野で注目を集めている。
目的
  • 本レビューでは、美容医療におけるポリヌクレオチド製剤の活用状況とその有効性について、現時点での知見をまとめた。
 
メソッド
  • 「ポリヌクレオチド」「化粧品応用・cosmetic application」「美容適用・aesthetic application」に関連するキーワードで文献を検索し、人間を対象とした美容医療領域の研究をもとに分析を行った。
 
結果
  • ポリヌクレオチドが肌質の改善、しわの軽減、顔の美的改善を目的として用いられていることがわかった。特に皮膚の弾力性や保湿力が顕著に改善したとする効果が報告がある一方で、効果が限定的であったり、確認されなかったと結論付ける研究も存在する。また、ポリヌクレオチドの最適な使用法や有効性を確立するには、さらなる研究が不可欠であることが明らかになった。
 
結論
  • ポリヌクレオチドの美容医療における有用性は確認できたが、その作用機序や最適な活用方法を解明するには、さらなる研究が必要である。
    美容医療従事者は、ポリヌクレオチドを使用する際、その限界や潜在的リスクを認識すべきである。
 
 
 
 
 
 
以下は、やや専門的になりますので(長いです)、ご興味のある方のみどうぞ。
(抜粋)
 
イントロ
  • 若々しい外見を追求するニーズは、美容治療の進展を後押しし、当該分野では、天然由来の化合物を活用した新しいアプローチが現在注目を集めている。その中でも、PNは、遺伝子発現の調節や組織再生を促進する可能性があることから、特に関心を集めている。
    PNは、DNAやRNAの構成要素であるヌクレオチドからなる高分子で、細胞の増殖や分化、生存等のプロセスにおいて重要な役割を果たしている。
  • 先行研究では、PNがコラーゲンの生成を促進し、皮膚の弾力性を高め、炎症を抑制する作用があることが示唆されている。さらに、髪の成長を促進したり、傷跡を改善する効果も報告されている。
  • ところで、PNの有効性や、最適な使用方法については、既存の文献を包括的にレビューする必要があると考える。
    本レビューでは、美容医療におけるPNの現行の活用方法とその有効性について、特に顔の若返り、ニキビ跡、その他の美容的適応・応用に焦点を当てて概観する。
    このレビューが提供する知見は、美容医療従事者にとってPNの潜在的なメリットと限界をより深く理解する助けとなり、臨床現場での適切な判断を可能にすることを目指している。
  • 現在、PDRNは、再生医療や皮膚科学の分野において極めて有望な生体材料として注目されてる。PDRNはサケの精子由来であり、細胞再生や組織修復を担うデオキシリボヌクレオチドの混合物である。
    その生物学的作用は多岐にわたり、細胞増殖の促進、血管新生、抗炎症効果などが確認されており、幅広い治療応用が期待されている。そして、これらの作用は主に2つの経路によって説明される。
  1. A2 receptor stimulation pathway
    A2受容体刺激経路では、リガンドが受容体を活性化し、Gsタンパク質やアデニレートサイクレース(Ac)を介してcAMPが生成される。これによりPkaが活性化され、転写因子(NFκB、CREB、HIF-1)が刺激される。この結果、血管内皮増殖因子(VEGF)やアンギオポイエチンの発現が促進され、血管新生が進行し、血流や酸素供給が改善されることで、組織の治癒と再生が促進される(かなり要約しています)
  2. salvage pathway
    サルベージ経路は、DNAの分解で得られたヌクレオチドを再利用し、新たなDNA分子の合成に組み込むメカニズムである。この過程では、DNAヌクレアーゼが塩基を遊離し、細胞の複製や修復に必要なヌクレオチドを確保する(かなり要約しています)

  • PNは、現在、PDRNの作用機序を通して説明されており、細胞再生や組織修復における役割が注目されている。同時に、細胞増殖の促進、血管新生の誘導、抗炎症作用等、多岐にわたる生物学的活性が示唆されている。
  • 各種キーワードを用いて、MEDLINE、PubMed、Ovidデータベースで関連研究を検索した。本レビューの研究は、OCEBMのエビデンス階層に従って分類されている。
 
ポリヌクレオチドによる皮膚の改善
  • PNは、コラーゲン生成の促進、皮膚の弾力性と保湿力の向上、しわの改善等の効果が確認されており、スキンブースター、化粧品、フィラー、さらにはバイオリバイタリゼーショまで、幅広い用途で活用されている (Table 1)。
 
  • Yiらは、肌質や外観を改善する「スキンブースター」について包括的に論じており、特にPNの役割に焦点を当てている。スキンブースターは、コラーゲン生成の促進、皮膚の弾力性向上、保湿力の改善を目的とした注射治療であり、PN、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸加水分解物等、多様なタイプが存在する。

    PNをもとにしたスキンブースターは、上記の効果以外に抗炎症作用や抗酸化作用があることから、皮膚の若返り治療において特に有望な成分とされている。
    メカニズムについても詳述しており、線維芽細胞やケラチノサイトを刺激し、コラーゲンやヒアルロン酸を生成する能力があると示している(LevelⅤ)。
     

  • Morgantiらは、PNを化粧品成分のデリバリーシステムとしての活用について論じている。生分解性繊維で構成されるPNが、美容成分のバイオアベイラビリティや安定性を向上させる可能性があると考察している。また、PNの特性として、生分解性や生体適合性、さらに有効成分をコントローラブルに放出できる能力も言及している。

    PNは、保湿剤、抗酸化剤、ビタミンといった美容成分の効率的なデリバリーシステムとして活用可能であり、スキンケア製品の分野で大きな期待が寄せられている。
    PNをキャリアシステムとする利点として、浸透性とバイオアベイラビリティの向上、刺激やアレルギー反応の軽減、そして有効成分の持続的な放出が示唆されている(Level IIa)。

 
  • Yiらは、美容治療に使用されている複数のスキンブースターについてレビューし、特にPNの臨床応用に焦点を当てている。
    PNは生分解性ポリマーであり、その作用機序は、成長因子の放出を介してコラーゲン合成を刺激することによって、肌質を総合的に改善すると言及している。

    PNをスキンブースターとして使用した複数の研究についてレビューしており、その中には、PNが皮膚の弾力性向上としわ改善に顕著な効果をもたらしたことを示すランダム化比較試験も含まれている。また、ヒアルロン酸やポリ-L-乳酸などの他のスキンブースターと組み合わせることで、PNの効果がさらに向上する可能性があると指摘している(Level Ia)。

 
  • Lisらは、頸部の皮膚の老化に対するPNの治療効果を調査した。
    投与間隔等の条件を変えて、PN注射の有効性を比較する症例研究を行い、PNが皮膚の弾力性、しわの軽減、引き締め効果をもたらすことを確認した。

    具体的には、PNの高用量を1回のセッションで投与する方法と、低用量を複数回に分けて投与する方法の2つのレジメンを比較した。
    その結果、いずれの方法も皮膚の外観を改善する効果があったが、低用量を複数回に分けて投与する方法の方が、より持続的な改善効果を示した(Level IV)。

 
  • Cesareらは、PNを含むバイオリバイタリゼーションの複合治療プロトコルを提案している。このプロトコルでは、PNをヒアルロン酸、成長因子、PRP等と組み合わせ、顔の若返りを目的とした包括的な治療を行う。ここで使用されるPNは、動物由来のDNAおよびRNAで構成されている。
    研究においては、PN、ヒアルロン酸、成長因子を組み合わせた注入治療を20人の被験者に実施したところ、皮膚の弾力性、引き締め効果、しわの改善、さらにはコラーゲン合成の顕著な増加が確認された(Level IV)。

 
  • Samizadehらは、美容医療分野におけるPNの役割について概説している。PNの応用活用例として、皮膚の若返りの他、育毛促進、傷跡治療への応用を示唆している。

    PNは、細胞応答を活性化することでコラーゲン合成、血管新生、抗炎症反応を促進し、臨床効果を顕す。
    また、PNの作用メカニズムとして、シグナル伝達経路の活性化、遺伝子発現の調整、細胞代謝の調整が挙げられている。さらに、PNは単独で使用しても十分な効果を発揮するが、他の治療法との併用により、より優れた治療効果が期待できると述べている(Level V)。

 
  • Minorettiらは、美容医療従事者向けに、皮膚の老化に対処するための治療戦略を解説している。特に、PDRNおよびPNに焦点を当て、皮膚の若返り治療での活用について詳述している。

    PNについて、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の減少や、酸化ストレス、炎症といった皮膚の老化現象を効果的に改善する点が評価されている。さらに、PDRNおよびPNの安全性と有効性を検証した研究をレビューしており、肌質向上、しわの改善、顔全体の若返り効果が期待できると述べている。また、これらの治療法が臨床試験で有望な結果を示しており、副作用は少なく、リスクは低いと結論付けている(LevelV)。

 
  • Yipらは、オーストラリアにおけるアンチエイジング治療の最新動向を考察し、特にPN治療が非侵襲的な皮膚の若返り治療として注目されていることを取り上げている。

    ボツリヌストキシンやヒアルロン酸等の他の治療法と組み合わせることで、PN療法の効果をさらに高められる可能性が示唆されており、PN治療は、ダウンタイムがなく、安全で効果的なアンチエイジング治療の重要な選択肢の一つであると結論付けています(Level  V)

 
  • Aroraらは、美容目的で使用される顔用フィラーの最新トレンドと技術進歩について論じている。特に、PNがリジュビネーションためのフィラー材料としてポピュラーになっている点を強調しており、その理由は自然な仕上がりを実現しながら、ダウンタイムや合併症のリスクを最小限に抑えられるためであると述べている。

    なお、PNの効果を最大化するためには、患者の適切な選定、正確な注射技術、そして治療後のケアが重要であることを指摘している(Level V)。

 
  • Chengらは、PNを含むフィラーの最近の進展について詳述している。

    PNの特徴として、コラーゲン生成の刺激、皮膚の弾力性改善、生分解性と生体適合性、非動物由来である点が指摘されている。
    また、PNは鼻唇溝やマリオネットライン、唇など、顔のさまざまな部位で使用可能であり、従来のフィラーでーヒアルロン酸やコラーゲンーに比べ、より持続性が高く、合併症のリスクが低い点で優れていると述べている(Level V)。

 
 
 
今回はここまでとなります。
 
 
 
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