ウルセラ論文紹介9：ウルセラ治療後の満足度に関する研究

いつも当院のブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。美容皮膚科ペルラクリニック神宮前院長の本田　淳です。

当院は、院長が診察から治療まで一貫して施行すること（ワンドクター制）を特徴としています。

◆ ペルラクリニック神宮前Webサイト

【以前の当院アドレス info@perla-j.jp は、現在ご利用になれません。

メールでのご予約・ご相談の方は、以下のフォーム

https://perla-clinic-j.com/inquiryよりご連絡ください。

お手数をおかけして申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします】

以下本文となります。

―――――――――――――――――

ウルセラの論文紹介8回目となります。

こちらは、以前 X に投稿した内容と重複します。また、当院サイトにも参考文献として紹介されています。

Patient satisfaction following treatment with micro-focused ultrasound with visualization: A retrospective cross-sectional study

2024年の論文です。

以下は簡単な要約となります。

背景

ウルセラは、FDAに承認された、安全で効果的な皮膚のたるみ治療として普及しているが、治療後の患者満足度を評価した研究は少ない。

方法
リヤド（サウジアラビア）のプライベートクリニックで、2016年から2020年に、ウルセラ治療を受けた98人の参加者に対し、調査が行われた（後ろ向き横断研究）。

結果

約3分の2が結果に「満足」または「非常に満足」と回答した。
目元や顎下を治療した患者の満足度は、他の部位の治療を受けた患者に比べて高い結果となった（注：原文は間違っています）。
治療部位数（4部位に分けている）と満足度の間には正の相関が認められた。
治療を医師が行う方が、スタッフ治療の場合より、満足度が高かった。
治療後の改善が自覚できるまでの期間と満足度にも相関があった。
副作用で最も多く報告されたのは、痛みやヒリツキで、次いで皮膚の赤みや腫れが見られたが、副作用と満足度の間に相関はなかった。
再治療に関しては高額な費用がネックとなっていた。

結論
ウルセラは、効果的かつ安全性が高いことが確認された。患者を適切に選定し、十分な訓練を受けた医師が治療する場合、より高い満足度が得られることが示唆された。

以下は、専門的な追記事項となります。ご興味のある方はどうぞ。

はじめに

最近では、ダウンタイムが短く、リスクが低い非侵襲的な治療法が求められるようになってきている。ウルセラは、他科で用いられていたHIFU技術を応用し、美容に特化したデバイスであり、2009年にFDAの承認を得た。可視化機能を付与されており、安全性と効果の高さが多くの研究で報告されている。
本研究では、ウルセラ治療後の安全性、効果、審美的結果に対する患者満足度を調査すること、さらに、医療従事者の資格と患者満足度との関連を調査することを目的としている。

メソッド

2022年1月～2023年1月に行われたretrospective cross-sectional study。
対象はサウジアラビア・リヤドのプライベートクリニックで、2016年～2020年にウルセラ治療を受けた患者98人で、電話インタビューにてデータ収集を行った。
評価内容は2部構成で、第1部では人口統計学的特徴（年齢や性別などの基本情報）を取得し、第2部では、治療部位、部位数、治療後のフォローアップ予約、治療を行った人の資格、治療結果に対する満足度、副作用、再治療を考えない理由などを評価。
統計解析は、R v3.6.3を用いて実施

結果

アラブ人の患者98人（全員女性）のうち、91人は35~50歳で、6人は51~60歳（残り1人は？）。
治療部位と治療部位数については(Figure 1）；顎下と眼周囲の治療希望者が多い。
治療は、81人をConsultant、17人をLaser specialistが担当した（注、コンサルタントとは、この場合、皮膚科医、形成外科医等の医師免許を持つ者、レーザースペシャリストとは、 Nurse Practitioner：NPのような医師以外のスタッフのことを指しているものと思われます）
治療を受けた患者のおよそ半数は、友人（55.1%）や家族（51%）が治療後の結果に気付いたと回答(Figure 2)。
回答者の約60%が、治療結果に満足～非常に満足としており、また、結果が期待通りまたは期待を上回った（Met expectations～）と回答した者は約70%(Table 2)であった。
治療後1か月以内に効果を自覚したと回答した者は全体の75%(Table 2)。
再度、同治療を受けたいと回答した者は、57.1%。
他者に同治療を勧めると回答した者は71.4%。
副作用について（Figure 3 ）
再治療を望まない理由としては、「高額な費用」が最も多かった（Figure 3 ）＊価格が患者の意思決定に大きく影響を与えている
治療後、効果を自覚するまでの期間が長いほど、以下のような傾向が見られた。

治療に対する満足度が低い（r = −0.456, p < 0.001）
他者に治療を勧める可能性が低い（r = −0.499, p < 0.001）
治療結果が期待に沿う可能性が低い（r = −0.515, p < 0.001

＊短期間で効果を実感できることが患者満足度の向上に寄与する

年齢や最後のフォローアップの時期と満足度との間に有意な関連はなかった。
眼周囲の治療を受けた患者の満足度は、他の部位の治療を受けた患者に比べて有意に高かった（p = 0.006）。同様に、顎下の治療を受けた患者の満足度も高い傾向があった（p = 0.004）。
consultant（医師）による治療を受けた患者の満足度は、laser specialist（スタッフ）による治療を受けた患者よりも有意に高いことが示唆された（満足度：71.6% vs. 29.4%、p = 0.002）。
効果を自覚するまでの時間と満足度の間には統計的に有意な線形トレンドがあった。セッション中に改善を感じた回答者の94%が治療に満足と報告したのに対し、3か月以上経ってから改善を実感した回答者の満足度は、わずか7.14%。
治療後に副作用を経験したことと満足度との間には有意な相関は見られなかった。
家族や友人が症状の改善に気付いたと報告した回答者は、そうでない回答者よりも満足度が高い（高い満足度を示した者が、88% vs 13.3% ？この数字に関して、原文の説明が不十分）
治療効果の持続期間も満足度と有意に関連していた（p = 0.002）。

考察

ウルセラはFDAにより認可された、安全で効果的な低侵襲の美容治療であり、世界中の皮膚科クリニックで日常的に使用されている。
治療に対する満足度、友人への推奨意向、期待に沿った結果が得られる可能性は、治療後の変化を実感するまでの時間と負の相関（実感までに時間がかかると上記3項目は低下する）がある。
治療後の改善を感じるまでの時間と満足度の相関は統計的に有意（早く実感できるほ満足度は高い）。
ウルセラの評価システムとして、Patient Satisfaction Questionnaire（患者満足度質問票）、Subjective Global Aesthetic Improvement Scale（主観的全体的美容改善スケール）、3段階評価システム、および独自に開発されたスコアリングシステムは確立され、十分検証されている。ただし、非匿名（記名式）で行われるため、患者の回答に影響を与え、医師のバイアスを招く可能性もある。
重篤な副作用はなし。また、副作用の発生と満足度の相関は見られない。
医師による治療がスタッフによる治療よりも、有意に高い満足度が得られた。

結論（内容的に重複しますが）