※当時の記録をもとに記しています。
- 2010年10月 -
手術は朝9時から。
看護師さんと一緒に、
手術室のある4階へ行く。
手術室の方へ進むと、
また、準備をしてくれる看護師さん達が
寄ってきた。
今回は前回より少なく、2人だったので、
ワーッと寄ってくる感じではなかった。
今回のほうが大きな手術なのに、
2人だったことに、ちょっと拍子抜け。
手術室に入り、
細い手術台の上に仰向けになる。
1回目の手術の時には
見るもの全てが初めてだったので、
興味深く記憶に残っているが、
今回は気分が沈んでいるのもあって、
あまり記憶に残っていない。
A先生も見かけなかった。
さみしい…。
背中に注射を打ち、
酸素マスクをしないうちに
まぶたが自分の意に反して閉じてきた。
1回目の時は深呼吸をしてから、
意識がなくなったのに、
今回は急だった。
なんだかこの、自分の意に反して
体が動いてくれない感覚は、
とても嫌な感じだった。
*・*・*・*・*
16時40分 手術終了。
手術前に看護師さんに終了時間を
教えてもらうよう伝えておいた。
今回は術後もA先生の声はしなかった。
手術室から病室へ戻るエレベーターの中で、
突然、「腹減った~!」
と声がした。
研修医のK先生だった。
ベッドに寝ている私の意識があるのを
知ってか知らずか、大声で言っていた。
私は、聞こえているのが
申し訳ないような気持ちになり、
意識がないフリをした。
一緒にいた看護師さんは無言だった。
*・*・*・*・*
術後の体には、
脚に血栓予防のマッサージ機、口に酸素マスク、
鼻に管、背中に痛み止め、
下腹部左右にドレーン、尿管、
そして、腕に点滴…
と、色々なものがついている。
この身動きができない状態で眠る夜が
一番しんどい…。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
手術中、患者は麻酔で眠っているだけだから
分からないが、医師や看護師さん達は、
長い時間、集中して手術に携わってくださっている。
それは、お腹も減るし、
とても疲れるだろう。
研修医K先生の声は、
そんな手術の大変さを物語るような
叫び声に聞こえた。
有難い…。
術後、すぐに意識が戻れば、
耳は聞こえるが、
体は動かせない。
しばらくは目も開けられないし、
口も開けられず、
しゃべることができない。
ふと、
危篤状態の時って、
体は動かなくても、
耳だけはちゃんと聞こえているのではないかと思った。
耳は聞こえているけれど、
体で反応できないもどかしさがあるのかも…。
そんなことを感じた
全身麻酔の貴重な体験だった。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*