前回の更新で、私がいかに偏った人間かが露骨に窺えますね……実は元々神谷さんに出会うまで私は無気力無感情、これといって好きなものもなく、だからと言って流行を取り入れるでもない空っぽの器だったのです。その跳ねっ返りからか、神谷さんのこととなると突き詰める癖がついているようなのです。1か100かでしか生きられない……いつか友人に、本来は分散させるべきものを一点に集中しているから拗らせるんだと言われたことが。
さて、神谷さんが関わらなければ大抵のことに興味がないこの私がまさかまさか、心を奪われた作品のお話です。
現在絶賛放送中の『博多豚骨ラーメンズ』。
もう、青天の霹靂。不測の事態。
これがめちゃくちゃ面白い。
自己紹介にもあります通り、私は関西在住の人間でして。ネットされているのがBS11しかない、ということが度々あるのです。深夜枠では特によくある話ですよね。BS11にてHoney Worksの『いつだって僕らの恋は10センチだった』を録画していたのですが、それがどうも番組名予約ではなく時間帯予約になっていたようで、ワンクールで終わったこの作品の代わりに新番組としてそのままデッキに録画されていたんですよ。で、録画履歴を遡っていた時にその作品の名前を見つけました。
「新番組……『博多豚骨ラーメンズ』?」
これが、この作品とのファーストコンタクトでした。それでもタイトル自体はなんとなく聞いたことがあるなあ、というくらい。そもそも皆さん、このタイトルを聞いてどんなアニメーションを想像しましたか?
私は、今や福岡に足を運ばずとも本場さながらの博多豚骨ラーメンが食べられる日本。各地で『博多とんこつラーメン』を名乗るラーメン屋に本場・福岡のラーメン屋の店主が手分けして覆面で本島に乗り込み、その味をジャッジして回る壮大な地域密着型グルメ作品だと信じて疑いませんでした。
※これはグルメ作品ではありません。
気を取り直して。
強烈なタイトルから興味を持った私は、録画一覧画面から何を観ようとしていたのかも忘れ(今思えば『斉木楠雄のΨ難』でした)、その番組の再生ボタンを押しました。どんな平和な世界が待っているのだろうと見始めて3分後。
人が…死んだ…
そう、これがびっくり、こんなにピースフルなタイトルからは想像がつかぬほど血生臭い、殺し屋を始めとする裏稼業に勤しむ人間にスポットを当てた物語でした。
博多に住む人口のうち、3パーセントが殺し屋だと言われている……という設定。
とはいえ!博多の街を舞台に物語が進むので地域性も強く、かつ博多に住む人間ならばおっとなる(らしい)台詞や常識が散りばめられていたりと、ものすごい再現度で背景展開されていくのです。とにかく製作陣の愛がいっぱい詰まった作品。
裏稼業と一口に言ってもたくさんの職があります。殺しを生業とする〝殺し屋〟あらゆる情報を掌握し、提供と保有をする〝情報屋〟復讐したい相手がいる人間に代わり、報酬を得て復讐を代わりに請け負う〝復讐屋〟口を割らせたい人間を拷問して情報を聞き出す〝拷問屋〟〝スリ師〟殺害後の遺体の処理を行う〝死体屋〟などなど……さらには、殺し屋コンサルタントなんて人間もいたり、はたまた殺し屋を殺す、殺し屋殺し屋なんてのもいたり。
……並べて書くととにかく不穏。
そんなアンダーグラウンドな世界に生きる、数多くの人間に少しずつスポットを当てた群像劇が『博多豚骨ラーメンズ』です。
群像劇……と聞けば、私はまず『デュラララ!!』を思い浮かべますが、あの作品はとっても難しいですよね。私は頭が悪いタイプの融通がきかないオタクなので、デュラに関しては擦り切れるほど見返してやっと意味を理解するという行程を踏みました。何回見ても発見がある、何度見ても面白い。デュラはそこが魅力でした。とはいえ、群像劇は同時刻にあらゆることが多発し、行われている裏で動く組織のことまで考えると頭が混乱する!というお気持ちは痛いほどわかります。
『博多豚骨ラーメンズ』、安心してください。これがとてもわかりやすい。かといって先の展開が読めるかというと全くそんなことはないのです!張り巡らされた伏線が短いスパンで回収されていく爽快感と何が起きるのかわからないスリルが双方存在するアニメーション。めちゃくちゃ出来がいいです。小説原作(実はハマりにハマった私、全8巻読了致しました)の完全再現とまではいかないとはいえ、アニメーションならではの手法で視聴者にわかりやすい構成をとってくれているので、終わった後に『結局あれ、何だったんだ?』となることがないのです。
そして何と言っても見どころは個性的なキャラクター陣です。
主人公の馬場善治は、表の顔は『馬場事務所』を経営する探偵さん。裏の顔は殺し屋。これだけ聞けばどんな神経質な人間が出てくるのかと思うかもしれませんが、めっちゃ色男。とにかくかっこいい。柔らかくあたたかい博多弁が相乗効果となり、おっとりとした人格に比例するように首元がよれた白いニット……オフショルじゃないんです。少し怠惰なところもあり、自宅兼事務所は常に大荒れ。優しい人格の彼が殺し屋の顔を見せる瞬間。ここも見どころの1つなので是非。
林憲明(リン・シェンミン)。まずこの子を見たら「女の子!?」と思うに違いありませんが、なんと女装男子なんです。とにかく可愛い。美しい見た目をしていても、刃物を獲物とする立派な殺し屋さん。彼がどうして女装をしているのか、名前でもわかるように、どうして中国人の彼が日本にいるのか。博多豚骨ラーメンズは彼の心境や過去を通してみるのも1つの楽しみです(私の推しキャラです)。
……と、まずは主要人物2人を。先ほども申し上げましたが、群像劇なのでとにかく人物がたくさん出てきます。書いていると明日になってしまいますので、このあたりで(笑)
もしかするとまだ見ていない方がこの記事をご覧になっている可能性があるので、私から言えることはここまでです。これだけしか予備知識を出せないほど、作品内にいっっぱいの情報が詰まっています。駆け抜けるように、でも丁寧に。
『博多豚骨ラーメンはどこにいった』って?
これは、見ればわかります。この作品において『博多豚骨ラーメンズ』がいかに大切なものか。それも、大きな大きな魅力。
殺し屋という題材を通し、人々の感情や成長を描く物語。家族、バディ、仲間。人と人とのつながりをもって、見つけるものは何か。
私は、この群像劇の描く登場人物の心情のグラデーションに胸を打たれました。大切なものを失う怖さ、大切なものがあるからこそ強くなれるひと。弱くなるひと。
見終えた後に心地よい余韻を残してくれる作品です。
もし、私のような文章でこの作品を見たい!と思ってくださった方がいたとして『でももう放送中なんでしょう?途中からは…』という方。こちらの作品は公式さまがとても良心的で、定期的にニコ生にて一挙放送を行ってくれています。今週ももちろん3月18日 18:30〜振り返り上映を行なってくださいます。
少しショッキングなシーンが出てきますため、そちらの耐性がある方は是非とも。アニメーションだけでも十分楽しめる作品ですが、原作もとても面白いので是非。電撃大賞を受賞した作品です。
長くなりましたが、私はこの文章を何も見ずに打っています(笑)神谷さんが関わっていない作品で、これほどまでにのめり込む作品に出会ったのはもう何年ぶりだろう、というほど。この短期間に原作小説を揃え、かつ小説から派生した漫画本3巻、付随するアニメ雑誌。全て手をつけました。こんなことがあっていいのか。
声優さんファンにとっても豪華な面子、アニメファンにとっても飽きのこない作品。
それに加えて主題歌や挿入歌もめちゃくちゃしびれるんですこれが。うっかりOPEDのCDを買ってしまったよ……
総合芸術として、とても完成度の高いアニメーションなので、是非とも是非とも。
そしていつか私と語ってください(笑)
(次は何の話をするか決めてません……)