サザンカの道標 -2ページ目

サザンカの道標

心を音にするプロフェッショナルが好き。
神谷浩史さんについてが主。

 継続は力なりと言いますが、神谷さんがそれを体現なさっているにも関わらず、出だしで継続できていない私。なぜ始めたのだろう。疑問は尽きません。

 そんな中、常日頃懐いてくれている方が私のブログを読むと神谷さんに会うのが楽しみになると言ってくださいまして。
 たったひとり、こんな方がいらっしゃるだけで一念発起。思えばブログを始めたのも読みたいと言ってくださった方がいたからであり……やはり周りの力とは偉大だなと心の弱い私は思うのです。ありがとう。

 提示いただいたテーマは「特撮と神谷さん」。奥深い。泣いてしまうかもしれない(私が)。

 遡れば神谷さんは雑草精神がとても強いひとでした。下積み期間がとても長く、芽が出るのに時間がかかった彼がその期間どんな心持ちでいたのか。横並びでスタートしたはずの同期の方たちが一歩も二歩も前を走っている状況下で彼は、一度も腐らなかったんですよね。歯ぎしりしたくなるような悔しさは死ぬほど経験しているのに、それでも同期の成功や収穫を一緒に喜んであげられるひとだったわけです。稲田徹さんとの関係性はその代表例ですが、同世代として厳しい時代を駆け抜けてきた2人のうち、稲田さんが先にガンダムに乗り、先にヒーローになった。そこでその役目をあらゆる分野で全うしてきた稲田さんを見て、神谷さんはそれに「誇りに思う」と賞賛の念を寄せていたんですよね。このひとが這い上がってきた意味はきっとこんなところにあるのだと思います。逆に稲田さんも「この道のりを神谷くんにも歩いてほしい」と特撮に憧れる神谷さんに返していたこともあり……そんな切磋琢磨。

 少し脱線しましたが、ヒーローに憧れていても好きなものを仕事にするのが少し怖いとこぼすあたりもとても神谷さんらしいですよね。仕事を始めてから見る特撮も仕事の糧と変えるためだったと。けれど、電王で同期の鈴村さんがご出演なさった時も然り、特撮出演に対する憧憬の念についてのお話は方々で耳にしていました。その後もいくつか単発で出たり、ラジレンジャーでは視聴者と話し手の間に立ってくれる存在となってくれたりと、なにかとご縁はあったもののニチアサヒーローのお声はかからず。

 そこで2017年、満を持してキュウレンジャーの出演。これを聞いた時、本当に本当に嬉しくて飛び跳ねたのを覚えています。

 神谷さんがヒーローになる。

 生涯現役へ向かう道中の願いがまた1つ叶ったことが嬉しくて、何よりご本人の熱量も強かった。「君の声を担当することになったよ」とそう言ったあの日から「みんなのおかげで司令官になれた」と言い切るようになるまで。その期間のどの瞬間も彼は幸せだったと言います。この役と心中するだなんて台詞は今まで一度だって聞いたことはなかったんですよね。等身大の言葉を伝えようとするこのひとが、あえて強い言葉を選ぶ意味。一年という年月をかけてその答えを探すと言ってのける。ああ、これはきっとすごいものを見せてもらえる一年になると震えたものです。

 司令官というポスト自体、神谷さんの今までの役としても珍しい類のもので。もちろん、最近では責任感の問われる「長」の役が増えてきましたし、リーダー格(生徒会長など)や高貴な役なども多く請け負ってきた方ですが、生身の戦士をまとめ上げるというのはやはり毛色が違う役だなと。第一声を聞いた時、この声帯はこんな音も鳴るのかと純粋に驚きもしましたが、後日「いい加減だけど実はしっかりしているのではなく、いい加減を貫いている」という役作りを聞いた時得心がいきましたね。ブレがないんですよ。頼りになる瞬間はもちろんあって、戦士としての強さも明確でありながら、彼はその部分を貫いているわけで。役者神谷浩史さんのお話の時も書きましたが、役の理解というものをあらゆる角度から吟味する神谷さんの「愛」にはやはりくるものがありました。

 いま、キュウレンジャーの最終回も終え、イベントも指折るほどになりましたが、神谷さんがヒーローになる未来は思い描けても、こんなに幸せそうに己の役を背負ってステージに立つ彼を見る未来は想像もしていなかったように思います。いつだって作品の歯車として姿勢を正し、どこかで一歩引いて冷静な自分を住まわせている彼が手放しに「好き」「幸せ」とこちら側が白旗を上げるほどに関わるコンテンツを一ファンとしても楽しんでいる。それも、作り上げてきた仲間とともに。このひとが「今」ヒーローになったことそのものに意味があったのだというのが率直な感想ですね。

 作中でももちろん、「リュウコマンダー龍の道」を聞いていても思ったことなのですが、彼の声は特撮の正義にぴったりの音色だと常々思っていて。障害物に屈しない直線の軌道と高い透明度。混じり気のないあの声は、いまを生きる子どもたちの目に、耳にきっと憧れとして響いたのでしょう。それは紛うことなく彼の目指す「ハレ」の声であったであろうことも。
 キュウレンジャーの単独イベント然り、ラジレンジャーに救世主が集まった時も然りなのですが、神谷さんがひとたび司令を憑依させると途端に声の引力が変わったんですよね。初期段階も当然存在していたものですが、時を重ねるほどにそれはより進化していて。一年間、若きヒーローを率いてきた彼の声帯の持つ統率力には圧倒されました。

 最後の最後まで笑顔で終えたという神谷さん。楽しい現場で、楽しい作品だったからと。思えば神谷さんは、その作品に関係のない場所に役を持ち込むのを避ける方でした。けれど、何かにつけてキュウレンジャーに関するなにかを輸入して発してくれるあたり、やはりこの作品は特別だったんだなあとこんなところからも窺えました。やはりそれは愛であり、誇りなのでしょうか。

 おもちゃ売り場に並ぶバイオレット、子どもたちの瞳、溢れんばかりの神谷さんの笑顔。

 私は絶対に忘れない。

 高潔とも呼べる意思と共に夢の先を臨みながら仲間と歩みを揃え、明るい方へつま先を向ける。

 ヒーローの声を吹き込んできた神谷さんもまた、ヒーローであり続けた。そんな一年だったなと思います。


 その声を通して見たのは、

 確かに〝正義〟だった。



 また一段と紫色が似合うようになった神谷さん。次はどんな夢の結実を見せてくれるのか。声のプロフェッショナルとして生涯を全うすると言う彼がどこへ行くのか。今からとても楽しみです。





 (今度こそお歌の話したいなあ)
 (なにかあったらコメントでも使ってください)