<6th Oct Sun>

お琴関連あれこれの週末でした。来月踊りの伴奏させて頂くことになってますのでね。でも、昔はもっと上手だったのになあと感じざるを得ないので、リタイアしたら新しい楽器をゼロから習って進歩を実感したいかも。

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ヘンデルのアグリッピーナは5月31日にバービカンのコンサート形式で聴きましたが(→こちら)、このミュンヘンで既にお披露目されたコスキー演出のプロダクションを9月23日初日、26日、30日の3回、後になって放出された舞台脇のお得な席で観ました。

 

アグリッピーナは暴君ネロの母親で、古代ローマ史上で有名な悪女。連れ子のネロを次の皇帝にしようと躍起になるのが話の中心ですが、オペラでは有名なポッペア(後にネロ妻になる)も登場して、権力争いと恋のさやあてでややこしい展開になり、簡単に説明できないので、わかりやすい図解入りの→こちらをご覧下さい。

 

 

Music George Frideric Handel 

Libretto Vincenzo Grimani

Director Barrie Kosky

Set designer Rebecca Ringst

Costume designer Klaus Bruns

Lighting designer Joachim Klein

Dramaturg Nikolaus Stenitzer

 

Conductor Maxim Emelyanychev

Agrippina Joyce DiDonato

Nerone Franco Fagioli

Poppea Lucy Crowe

Ottone Iestyn Davies

Claudio Gianluca Buratto

Pallante Andrea Mastroni

Narciso Eric Jurenas

Lesbo José Coca Loza

Orchestra Orchestra of the Age of Enlightenment

 

 

 

レビューはこちら。ほぼ4ツ星が並んだのは私の思った通り。クリックで記事に飛びます。

The Telegraph ★★★★

Broadway World ★★★★

Evening Standard ★★★★

The Stage ★★★★

The Guardian ★★★★

The Times ★★★★

The Arts Desk ★★★

Bachtrack ★★★

 

無機質なメタルの二階建ての箱で、残念ながら私の見切れ席からは上の階がほとんど見えなかったので、演出についてああだこうだ言う資格はないのですが、ドタバタ喜劇仕立てで大いに笑わせてもらいました。 現代の衣装だけどクラシックで洒落てて素敵。

 

  

日本公演で留守のロイヤルオペラのオーケストラに代わってOrchestra of the Age of Enlighnmentがお得意のバロックで軽やかに美しく。バービカンでおなじみの若いロシア人指揮者マキシム君のROHデビューは大成功。ちょっとふっくらして大人の雰囲気出てきました。

 

   

しかし、3回も観ると、やぱり最後は歌唱が決め手で、これが駄目だと退屈してしまうわけですが、今回は全くキャラも違う二人のカウンターテナーが歌唱面でも正反対で、しかも二人共超一流ですから、彼らを聴くだけでも何度行っても楽しめます。カウンターテナーを知らない人でも、「へえー、色んな声と歌い方があるものだ」、とCTに関する偏見も減るでしょうし。

 

おかま丸出しの百面相のゴテゴテでど派手なフランコ・ファジョーリと、すっきり普通でストレートなイエスティン君という対照的な二人の違いを演技面でも歌唱面でも殊更に強調した演出がCT好きの私にとっては今回の一番の成果。

   

 

   

 

   

ジョイス・ディドナートの歌には飽きてる上に声が重くなって魅力減ったし、あまり聞かせどころもないのですが、コミカルな悪女ぶりは当然お見事。

 

弱点はポッペア役のルーシー・クロウで、まあ可愛いし演技も悪くないのですが、かすれた声は元にはもう戻らないのでしょうかね。昔は濁りのない美声だったのに・・。今回はとっかえひっかえのドレスだけでもってる感じ。

 

男性の脇役二人も存在感ありましたが、パランテ役のバリトンはバービカンと同じ人で、立派な声量。ナルチーゾのCTは、バービカンでは長身美男子だったけど、今回はまるでマット・ルーカスのようなタコ坊主。2回目はちゃんと声が出てて悪くなかったけど、あとの2回は貧弱でファジョーリとイエスティン君とはあまりにも差がつき過ぎ。 これだけ若くて上手なCTがたくさんいるのに、他にいなかったんですかね? 若手アーチストとして飼ってる中に珍しくCTがいて、演技も歌もなかなかのテリー君をなぜ出さないのかしらと不思議でしたが、地下の小劇場に出演中だからでしょう(切符持ってましたが評判悪いし忙しいのでリターンしました)。

 

楽しみにしてた大好きなヘンデル、期待通りだったし、思いがけず安い値段で観ることが出来て、大満足。もう一回分取ってあった分を諸事情で諦めたんですが、もっと買っておけばよかった、とつい欲張りたくなるような楽しいバロックでした。