<22nd Jan Thus>

寒い中、毎晩出掛けてるので、ブログの更新はおろか、一昨日発表になったバービカンの来シーズンをゆっくりチェックする余裕もありませんが、ちらっと見たら心待ちにしてるチェチリア・バルトリが来てくれるのはいいけど、ロランド・ヴィラゾンと一緒なんだと・・しょぼん。ヴィラゾンと言えば、ROHの夏のドン・ジョバンニにも出るのよねむっ(日本でもそうだっけ?)。あっ、でも、ほっ、彼が出ない日もあるからその日に行こう。

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1月20日はロイヤルオペラでアンドレエ・シェニエの新プロダクションの初日でした。


アンドレア・シェニエはフランス革命時代に実在した若き詩人。革命穏健派の彼は、ロベスピエール率いる過激派ジャコバン党により断頭台で処刑。 血生臭い革命を背景に運命に翻弄される貴族の令嬢と詩人のロマンチックな悲恋物語で(最後は一緒にギロチン行き)、以前の記事からコピペしますが、10年前にホランド・パークで見たときの記事ですが、ブログを始めたばかりで張り切ってオペラの説明を書いてた時代もあったんだ・・と、遠い目。


1789年。伯爵家の舞踏会でシェニエは貴族を皮肉る即興詩を歌い、令嬢マッダレーナと恋に落ちる。従僕ジェラールは密かにマッダレーナお嬢様を愛しているが、封建制度に不満を持つ彼は館に押し掛けた貧民たちに加わり、革命に身を投じる。

5年後。恐怖政治下でマッダレーナは貴族の身分を隠して身を潜め(発覚すればギロチン)、ジェラールはロベスピエールの部下になり革命政府で出世している。シェニエは、匿名女性からの手紙に愛の訪れを予感し、穏健派ジロンド党と過激派ジャコバン党が実権を奪い合う中、外国に逃亡すべきという友人の意見に反して、パリに残っている。

手紙の送り主はやはりマッダレーナ。彼をずっと探していた彼女と再会し二人は愛を確認する。そこへ彼女をやっと見つけたジェラールも現れ、二人は決闘になるが、怪我をしたジェラールは、恋敵であっても革命家として一目置くシェニエに彼女を託す。

シェニエは反革命の罪で捕らえられ、その命乞いにジェラールを訪れるマッダレーナ。立場が逆転した彼は彼女に愛を告白し、自分のものになれと言う。シェニエを救うために犠牲になることに合意するマッダレーナ(これトスカと同じですね。台本作者が同じだそうです)の愛の深さにうたれたジェラールは、裁判でシェニエを弁護するが聞き入れられず、シェニエは死刑宣告を受ける。

主義を曲げずに潔く死を受け入れるシェニエ。マッダレーナは他の女性死刑囚の身代わりとなり、二人は手に手を取って断頭台へ(ここはアイーダにそっくりですね)


ROHでは30年以上もやってないそうですが、テノールのヒット・アリアはあるし、ドラマチックな三角関係でも盛り上がるし、この素晴らしい新プロダクションで今後は上演機会が増えることでしょう。



家舞台と衣装ワンピース


ほんと、この日の主役はプロダクションだったと言ってもいいくらいの美しいプロダクションで、製作チームには絶大な拍手が送られましたクラッカー 


最近の新プロダクションといえば、ブーイングされた過激なイドメネオ、古めかしくてつまんないので反応が冷たかった仮面舞踏会でしたから、「ああ、よかった、やっとまともなのが出てきた」、と誰しもが喜んだに違いないです。まさに、マクヴィッカー様々ベル


マクヴィッカーは時代を読み替えたり受け狙いでショッキングにもしないので今回誰も心配はしてなかったでしょうけど、期待を上回る美しさでROHのマクヴィッカーの中でもベストを争うのではないかしら? フィガロの結婚とアドリアーナ・ルクヴルールに似た雰囲気で、設定に忠実ではあってもセットも衣装も色調が明るくてモダンなので新鮮さ充分感じられるところが、40年前に作ったんとちゃう?と思われてしまう仮面舞踏会とはえらい違いで、細かい部分もこだわりがあって小物も全て美しいキラキラ

新解釈でないとつまらないという意見もあるでしょうが、こういうまっとうなのが音楽を一番引き立たせるので、特にこういう上演機会の少ないオペラはまず設定通りに見せてもらえるとありがたいです。


                 カメラプロダクション写真はクリックで拡大します


    

 

     

                  



Music Umberto Giordano

Libretto Luigi Illica
Director David McVicar
Set design Robert Jones
Costume designs Jenny Tiramani
Lighting design Adam Silverman
Movement Andrew George
Conductor Antonio Pappano
Andrea Chenier Jonas Kaufmann
Maddalena de Coigny Eva-Maria Westbroek
Carlo Gérard Željko Lučić
Bersi Denyce Graves
Madelon Elena Zilio
Contessa de Coigny Rosalind Plowright
Roucher Roland Wood
Pietro Fléville Peter Coleman-Wright
Fouquier-Tinville Eddie Wade
Mathieu Adrian Clarke
The Incredibile Carlo Bosi
     
音譜パフォーマンス

一人一人は上手なのにドラマとして盛り上がりに欠けたのは、主役3人のケミストリーがいまいちだったのではないかしら? まずビジュアル面がね・・。でか女のエヴァ・マリア・ウェストブルックのせいでヨナス・カウフマンが貧弱に見えちゃうし、マノン・レスコーの時のオポライスとの熱々演技と比べるとよそよそしい。そして、恋敵でもあるフェラール役のゼリコ・ルチッチは若作りしないといけないと思うのに、白髪カツラでで老け過ぎだ。


歌唱面でも、いつもよりうんと遠くから見たせいもあるでしょうけど、ストレートに迫ってくるものがなくて、うっとりとまではいきませんでした。 

ロールデビューのカウフマンはいつも通り上手なんだけど、無難に演じてたし(彼は大袈裟じゃないから、近くからでないと良さがわからないかも)、ウエストブルックは真摯な演技は素晴らしいけど歌は細やかさに欠け、そもそもこのヒロインの(私が持ってる)イメージには合わなくて、もっと可憐な容貌と細い声のソプラノの方が良いと思うんです。それに、彼女はROHに出過ぎですしね。いや、歌ってくれるのはありがたいのですが、その分他のソプラノを聴く機会が減るわけで・・。

ルチッチは大きな拍手もらってたけど、適役とは思えなくて、雰囲気が善良過ぎるし声もまろやか過ぎ。


    


レビューは3ツ星と4ツ星で(一つだけ5ツ星もあったけど)、私の評価はプロダクション4ツ星、パフォーマンス3ツ星半ってとこでしょうか。


     


   


     


     

      

久し振りのデニス・グレーヴスはデブになってて声も不快だったけど、二人の迫力おばさん、ロザリンド・プラウライトとエレーナ・ゼリオは健在。


カチンコ29日のライブ・シネマの日にもう一度、逆側から見ます。




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