<28th June Thus>

晴れまた急に夏が来て(すぐ去るんでしょうけど)、暑いロンドン。

トロイヤ人の切符は人に譲って家にいましたが、またテレビ2台でサッカーとテニスを観戦。ウィンブルドンではナダル選手がなんと早々と敗退してしまいましたが、我らがアンディ・マレー選手の邪魔者であるナダルが消えて嬉しいかも。それだけじゃなく、無名のチェコ人ロソル選手は目元涼しげな美青年なので、私は最初から彼を応援。

いつも順不同のブログ記事、ストックホルム旅行はちっとも進みませんが、まず一昨日聴いたコンサートについて。

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London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

6月26日、ロイヤル・フェスティバル・ホールのSimon Bolivar Symphony Orchestra of Venezuela(Youth orchestra改め)のコンサートに行きました。


ベネズエラの貧困層の子供たちに楽器を演奏させることで犯罪から守ろうとする音楽教育運動に基づいて多数存在するオーケストラの中から選抜された十代、二十代の集団ですが、今や大変な人気で、私が切符を買ったのは1年半近く前ですが、馴染みのないプログラムにも拘わらずすぐに売り切れだったようです。

曲目の違うコンサート2回分買っておいたのですが、19日は例のアラーニャ夫婦のラ・ボエームと重なってしまい行けたのは1回だけでしたが、生で聴くのははじめてのユニークなオーケストラ、大人数の迫力と若いエネルギーに溢れた素晴らしいコンサートとなり、更に大物サプライズゲストも登場して、大いに盛り上がりましたアップ

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


トレードマークのカラフルなジャンパー姿でマンボ~ッ!(ウエストサイド物語)を叫び、客席にジャンパーを放り投げるのを見たかったのですが、平均年齢も上がってオケ名からユースを外した彼らは、これからはイロモノではなく一人前の音楽家として認めてもらいたいということなんでしょう、普通のタキシード姿で常識的な大人の振る舞いで通しました。


ラテン的大騒ぎが見られなくてがっかりですが、それでもやっぱりちょっと違うわけで、コーラス席の最前列ど真ん中の席の私は目の前にいるもの凄い人数の若者の熱気に圧倒されました。一体何人いるんでしょう、こんな大きな編成のオケをここで聞いたことはないです。なんせ、ヴァイオリンだけで50人くらい、コントラバスが13人、広いロイヤル・フェスティバル・ホールの舞台に所狭しと並ぶサマを(後ろからでも)見るだけでも壮観。
London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
クリップ

Esteban Benzecry: Rituales Amerindios (Amerindian rituals) - pre-columbian tryptic for orchestra
Richard Strauss: An Alpine Symphony

Gustavo Dudamel conductor

Simón Bolívar Symphony Orchestra of Venezuela


曲目も彼らに相応しい選択だったと思います。19日はベートーベン中心でしたが、この日の一曲目はラテンアメリカの前衛的な現代曲で、途中で眠くなったりもしましたが(目立つ席で着物姿ですからうとうとするわけにはいきませんが)、技術的には荒っぽい部分もあり、もっと洗練された演奏のできる有名オケはいるのでしょうが、でもこれだけの人数が創り出す音の迫力はもの凄いし、ちょっと例のマンボー!的な箇所もあり、あのリズムはやはりラテンならではかも。


2曲目のアルプス交響曲も私ははじめてですが、リヒャルト・シュトラウスが十代の時の登山経験にもとに作曲した50分一楽章の情景描写音楽で、夜が明けて登山がはじまり、途中のんびりと牛のカウベルが聞こえたり、雷雨にあったり道に迷ったり・・・という説明を読みながら聴いたらよく理解できました。聴く方も弾く方も小難しい観念的な理解は不要でしょうから、人生経験の少ない若者演奏者でもひけ目を感じることなく表現できだろうし、音楽自体は高尚であっても、敷居の高いクラシック音楽をこういう身近なところから入るのも良いでしょう。もちろん、物量作戦による雷雨シーンとかの迫力は凄くて、私はティンパニ奏者のすぐ後ろにいたので、ズンズン響いてきました爆弾
London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

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もちろん、このオケを世界的なレベルにまで引き上げたのは弱冠31歳の指揮者グスタヴォ・デュダメル君。彼自身このプロジェクトの恩恵を受け、17歳でこのオケの音楽監督になり、今やロスアンジェルス・オケの常任指揮者にまで出世。この大所帯をまとめるだけでも大変だろうに、今日も難しいシュトラウスを暗譜で楽しげに降り、私は真正面から彼の表情をたっぷり楽しみましたチョキ


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)     London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

クラッカー2曲終わるとすでに観客はやんややんやの総立ち状態なんですが、アンコールは何だろう、と思って楽譜を覗き込んだら、あら、ラインの黄金ですって。


そしたら、舞台袖から毛皮のケープと角付き帽子を被った大男がのっしのっしと。

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おおおお、なんと、ブリン・ターフェルではないですか目 


アイパッチして、槍持って、ヴォータンしてる~にひひ

もう一度楽譜をよく見たら、なるほど、ヴォータンのモノローグって書いてあるわ。来週4日間はここサウスバンクでブリン・フェスティバルだから、リハーサルしてるついでなんでしょうが、出てくれてありがとう。後ろからだと彼の歌はほとんど聴こえなかったけど、皆の喜ぶ顔を見るだけでも面白かったです。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


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ところで、この音楽教育の素晴らしいアイデア、スコットランドでも実践してるですって。こないだテレビでスコットランドの恵まれない子供たちがデュダメル君指揮でこのオケと共演するのを観たのですが、来年はベネズエラで共演するんだそうです。学校のカリキュラムには音楽教育はないイギリスでは貴重な機会です。


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