<12月6日(日)>

今日もみぞおちがしくしく痛むので、おとなしく家でブログ書きでもしてましょう。沢山溜まってるものを、とりあえず古い順に。

明日はまた病院で超音波検査をしてもらいます。

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オペラ三昧イン・ロンドン

11月20日の初日と23日の2回目、ロイヤルオペラハウスの新プロダクション、Cherevichki(英語題名はTsuarina's Slippers)観に行きました。


ROHでの上演はこれが初めてとうい作品で、チャイコフスキーなのに全く無名なのはそれなりの理由があるのだろうと思いましたが、観て納得。話の展開がまずい上に登場人物に可愛げがなくて同情できないのが弱点ではないかしら。


チェレヴィチキというのは英語だとslippersで、舞踏会で履くヒール付の豪華な室内靴です。シンデレラの片っぽ脱げてしまうガラスの靴も英語ではslippersです。


オペラ三昧イン・ロンドン

Composer Pyotr Il'yich Tchaikovsky
Director Francesca Zambello
Set Designer Mikhail Mokrov
Costume designs Tatiana Noginova

Choreography Alastair Marriott


Conductor Alexander Polianichko
Oxana Olga Guryakova
Vakula Vsevolod Grivnov
Solokha Larissa Diadkova
Chub Vladimir Matorin
The Devil Maxim Mikhailov
Schoolmaster Viacheslav Voynarovskiy
Pan Golova Alexander Vassiliev
Panas John Upperton
His Highness Sergei Leiferkus
Master of Ceremonies Jeremy White
Wood Goblin Changhan Lim
Dancers Gary Avis, Mara Galeazi & Dancers of The Royal Ballet



あらすじはdognorahさんのブログでご覧頂くとして(→こちら )、要するに「ウクライナの村の若者が憧れの美人をモノにしようと、彼女が欲しがるゴージャスな靴を手に入れるために悪魔の手助けで都に飛び(飛行機じゃないですよ)、女帝の靴をもらって帰り、めでたく結婚」というロシアでは有名かもしれないクリスマスのお伽噺なのですが、こういう単純なストーリーはどうやって膨らませるかが大切で、魅力的な脇役を登場させたり、そしてもちろん素晴らしい音楽で引き込まないと駄目です。


音楽は、そりゃチャイコフスキーですから悪いわけはなく、新鮮味はないものの充分美しく、彼の代表作のオネーギンやスペードの女王に比べたら印象に残るアリアは少ないけれど、全編心地よく聴けます。


一番の問題は80分も掛かる前半の冗長さで、男にモテまくる若者の母親と群がるおっさん達のやり取りは、私と同じ中年グループの恋のさやあてゲームは楽しそうだし羨ましいし結構なことだと思うのですが、万人向けではないでしょう。意味のないことをダラダラ言い合うだけでつまんないし。


幕間に合った知り合い夫婦が、「つまんないから帰ろうかと思って」と言ったのも無理ないのですが、私はその時は2回目で後半はぐっと盛り上がって素晴らしいのを知ってましたから、自信を持って引き止めました。クリスマスにBBCで放映するらしいのですが、果たして後半に至るまで観てもらえるのかどうか心配で、いっそ前半はダイジェスト版にして端折ってちょっとだけづつにすればいいのにとすら思います。オペラ鑑賞人口増加を図ってのテレビ放映でしょうから、全部やったら逆効果になるだけ。


写真でご覧の通り、メルヘン調の舞台はカラフルで素晴らしく、民芸衣装も全て可愛くて、ビジュアル的にはクリスマスらしい華やかさ。おまけに後半はバレエもたっぷりあり、一気に盛り上がります。前半もバレエやってもらったらよかったのに。春の「ダイドー」と「アシスとガラテア」でもやりましたが、オペラとバレエとコラボレーション、折角同じ所を本拠地にしてるのだから、ROHの特色としてもっとやるのも一考かも。


オペラ三昧イン・ロンドン   オペラ三昧イン・ロンドン

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音譜登場人物とパフォーマンス

オペラ三昧イン・ロンドン
女の子オクサナは村一番の美人だけど、一日中うっとり鏡を見たり友達が履いてるような素敵な靴が欲しいわとおねだりする見掛けだけの女で、おまけに自分に言い寄るワクラに本当は気があるくせに、「アンタなんか退屈だわ。他の素敵な男性が好きなのよ」と嘘ついたり憎たらしいことばかり言う性格の悪さで、「女帝の履いてるような素敵な靴をプレゼントしてくれたらあなたと結婚してあげるわ」、なんて不可能な条件を皆の前で言い放ってワクラに恥をかかせるデリカシーの無さはどうだ。


綺麗なだけが取り得の女と結婚するのが幸せだなんて、と現実的なことを言っても仕方ないでしょうからさておいて、でも村人にもひどい女だと責められるオクサナを演じる歌手は、それでもチャーミングだと思わせなければいけないので大変でしょうが、美人で歌も演技も上手なオルガ・グルヤコヴァは見事そのハンデを乗り越えました。


今回彼女に一番期待してたのに最初は声がえらく硬くて失望しましたが、段々良くなって、張りのある声と声量は立派で、ロシアを代表する素晴らしいソプラノの一人に違いないです。ドン・カルロなどイタリアものも歌うそうだし他のオペラでも是非聴いてみたい人です。

男の子高嶺の花であるオクサナに一途に思いを寄せる、まるで愛の妙薬のネモリーノのような若者ワクラ役のVsevolod Grivnovは初めて聴く名前ですが、なかなか良いテノールでした。でもスケールが小さいしてスター性にも欠けるので、今回は素朴な青年がぴったりでしたが、一枚看板で二枚目役をやるにはちょっと魅力不足かも。


おとめ座ワクラのお母さんは魔女という設定ですが、魔法を使うわけではなく普通のおばさん。周りの中年男共に大もてで一度に4人が部屋でガッチャンコしてしまうという発展振りは羨ましい限り。私も又シングルになったらこうありたいものです。

ROHでもお馴染みのラリッサ・ディアコーヴァ、いつも怖いおばさん役ばかりだったけど、今回は初めての明るい役で楽しげに演じてました。最初は違和感あったけど、笑い顔もなかなかチャーミングだし、まだ案外若いのかも。


お母さん役のディアコーヴァと残酷美女オクサナのグルヤコーヴァが「ワクラは死んでしまったにちがいない」と悲しんで歌う二重唱がこのオペラの一番の聞かせどころで、実力のある女性歌手二人のハーモニーは素晴らしかったですクラッカー


ワクラの一番良いアリアは悲嘆して死んでしまおうという場面だったし、やっぱりチャイコフスキーは悲劇的な音楽の方が上手なんでしょう。


主要メンバーの中で悪魔役のバリトンが下手くそだったのが退屈さを増した理由で、凝った衣装で得な役のはずなのに、彼が歌う場面は一気にテンションが落ちてしまいました。


めっけものだったのはセルゲイ・レイフェルクスで、もう終わったと思ってた彼が意外に健闘して存在感ありました。


オケはなんだかぱっとしなかったですが、バレエはとても素敵でした。オケ横の舞台袖席からは見切れてしまって残念だったので、テレビ放映はバレエ目当てで観ようと思ってます。ガラ公演で観た男性二人の変態タンゴが忘れられないGary Avisがこんな風に女性バレリーナとペアでちゃんと踊るのを見るのは貴重ですから。コサック・ダンスも出てきて、後半は娯楽性充分。



ということで、横の席から観たのはまずかったけど、オペラには珍しいクリスマス向けのゴージャスな舞台と衣装を楽しめたし、稀なオペラに接するのは、例え駄作でもワクワクラブラブ


カメラ以下のカーテンコール写真はクリックで拡大します。左からは初日、右からは2日目です。


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     演出家のザンベロ女史


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    少年ダンサーも可愛かった            男性4人はコサック・ダンサー


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                                まだまだ健在のレイフェルクス

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