7月9日に観たオペラを今更書くのもナンですが、自分の記録として残しておきます。


読む絵画と言われたイギリスの風俗画家ホガースWilliam Hogarth(1697-1764)の銅版画を元にしたストラヴィンスキーのThe Rake's Progressは、1950年頃の作品ですが、擬古典的作品であり、前衛的な不愉快さはなく、英語でもあり、聞きやすいオペラです。



Sally Matthews : Anne Trulove
Tom Rakewell : Charles Castronovo
Darren Jeffrey : Trulove
Mother Goose : Kathleen Wilkinson
John Relyea : Nick Shadow
Patricia Bardon ; Baba The Turk
Peter Brandon : Sellem the auctioneer
Joanathan Coad : Madhouse keeper

Thomas Adès : Conductor
The Royal Opera House Orchestra and Chorus
Robert Lepage: Director
Carl Fillion : Set designer



クリップあらすじメモ


主役のトムが自ら語ってくれるそうです。助かります。


「イギリスの田舎でくすぶってるおいらだけど、楽して金持ちになりたいって思ってんのさ。だから恋人アンの親父には気に入られてないんだ。そんな時、ニック・シャドーって男が現われてよ、叔父さんの遺産相続のためにロンドンに行けて言われたんで、おいらはもちろん大喜びで田舎を後にしたさ。


ロンドンではまず娼婦館に連れてかれて一気に快楽にどっぷりだったけど、暫くすると都会の豪邸生活が虚しくなってきた。そんな時ニックに乗せられてサーカスの見世物だったヒゲ女と結婚することにした。その時田舎から恋人アンが訪ねてきたんだが、そりゃおいらにゃ愛想をつかしただろうさ。


ある日おいらの夢の中に出てきた石をパンに変える機械をニックが実際にくれたんだけど、このインチキ機械のせいでおいらは破産しちまった。女房にも逃げられた。


財産を全て失ったおいらにニックが「約束の一年が過ぎたからお支払いを」って言い出して、お金がないのならおいらの魂で払えと。えーっ!そんな・・


だけど、ニックは最後のチャンスをくれた。おいらがカードで勝ったら借金は帳消しにしてやると。で、まだおいらのことを想ってくれてるアンのことを念じたらおいらが勝ったのさ。だけど、ニックの野郎、おいらを狂人にする呪いを掛けやがった。それでおいらは気がふれて、アンの看病の甲斐もなく死んじまうのさ」


(「ファウスト」にそっくりな話ね。キリスト教徒にとっては魂を売るってことに何か深い意味があるんでしょう)




家舞台と衣装ジーンズ


1950年代のアメリカに読み替えてあり、ニックは映画監督でトムは人気俳優に。ROHでは新プロダクションでも、すでにブリュッセルのモネ劇場なとでご披露されてカラフルな写真を見ていたので、今回は舞台を見るのを目的にして、舞台袖の席を奮発。おかげで、細かいところまで凝ったセットと小道具、ウィットに富んだ演出を充分楽しむことができました。


でも、あちこちの批評でも言われたけど、こじんまりした舞台用に作られているので、でか過ぎるROHでは空間スカスカでで間が抜けてた。それに、こういう斬新なセットはすぐに古めかしくなるのかも。


    


  



音譜パフォーマンス音譜


トム役はトビー・スペンスにやって欲しかったわあ!われらがトビー君はパリでこの役を演じて好評だったそうなのに、きっと今回はENOのENOのキャンディード と重なってしまったのが理由にちがいない。あんなマイク使用のミュージカルより、こっちの方がオペラ歌手としてはずっとやりがいあるに決まってるのに、すっごく残念。きっと素晴らしいトムにちがいないのにぃしょぼん


今回のチャールズ・カルテロノーヴォ、ROHのトラヴィアータで聴いたことがあるけど、声に魅力がないので全然ぱっとせず、ルックスの良いのだけが救い。次回は是非トビー君を出してね!


ROHの若手歌手育成プロジェクト出身のサリー・マシューズはすらっとした金髪美人でくせのない声も悪くないんだけど、なんかぐっとくるものがないソプラノなんですよね。小さなオペラハウスでなら彼女の良さも通じるかもしれないけど、あまりにつつましやかで押し出しが弱過ぎ。


主役の若い二人はスケールちっちゃくてイマイチだった中、唯一一流と呼べるのは悪魔のニック役のJohn Relyea。凄みがきいて舞台映えする容貌と迫力のある声で、彼が出てる時だけは舞台が締まりました。



指揮者は「テンペスト 」の作曲家トーマス・アデス。指揮だけではなく、ピアノも聴いたことがありますが、なかなか広い才能の持ち主で、このストランヴィスキーもそつなくこなして文句なし。



  



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