怪しい投資案件には近づかないしかない
変な投資案件に資金を出してしまい、お金が戻ってこないのではないかという状況に陥ったことは今までにある。一番大きなものだと出資した数百万円がゼロになるのではないかと思った事がある。この案件は15年位の長期契約で契約直後にかなりまずい状況に陥っていたのに気づいたのだが、当時、民法改正と契約の解除権について学んでいて、当該案件の契約書の「契約の解除」の条項に立ち返って改めてよく読んだところ、状況がその条項に記載されている解約解除条件に合致していたことに気づいた。
当該契約はクーリングオフの対象外と記載されていてその説明を受けて契約したので、契約の解除はできないと思っていた。しかし、これとは別に、新民法で意思表示により、これこれの条件が整っていれば契約の効力をさかのぼって消滅させることができるケースがあるというのである。民法の原文は以下の通り。
(催告による解除)
第541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
(催告によらない解除)
第542条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
⑴~⑷ (略)
⑸ 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき
解除というのは解約と違ってなかったことにするので、契約前の状態を原状回復するのが基本的な考え方だ。この案件は金融ADR制度による仲裁での解決が可能な契約になっていた。座して死すよりは死中に活を求める方が良いという事で、取り敢えず解除の意思表示することにした。そこで当方の主張を契約で指定された仲裁機関にひとしきり相談に乗ってもらい、契約解除する旨を手紙に書いて書留で契約相手に送るという事をした。翌週に契約相手との間で面談を行い、その後出資持分の買取という形で返金が成立する結果になった。
法律知識があれば自分の財産を守ることができることもあるという事を考えると、知っておくべきことは勉強しておくことが大事だと身をもって体験した。ただ、この場合は相手の会社としての対応が誠実だったこともあった。リスクに応じてお金が増えたり減ったりというのは当然ある話なのだが、いわゆる鴨葱のような案件をつかんでゼロになるというのはちょっと勘弁してほしい。そういう状況から身を守るというのは増やすのより大変で難しいという事と、仮に相手が初めから悪意を持って近づこうとしてきた場合や、用意周到に仕組まれたものだった場合にはどうしようもないケースもある。そういったものに関わらないことが大切だ。
結局そうすると、今まで知っているような普通の商品、普通の債券や株式、普通の不動産などが投資対象になる。ヘッジファンド等も少しだけ組み込んだが、これも本当に資産が実在するのかすらどうか良く分からないし、今後投資するなら普通のアセットクラスがいい。ここに少々ビットコインなどの伝統的な暗号資産が組み込まれていてもいいと思うがせいぜいそれぐらいではないか。