川村には、「今は意地でも読むまい!」と
心に決めているシリーズがいくつかある。
(あくまでも、今は、ね)
たとえば畠中恵女史の『しゃばけ』。
要するに、『ドラマ化で話題のあのシリーズ!』に
乗っかって手を出した感が嫌なのである。
なので、ほとぼりがさめるのを待とうと思う。
『謎解きはディナーの後で』も。
と、いうわけで、東川篤哉氏です。
(前回の伏線は……うん、ブラフ)
今のところ『謎解き』を避けて、烏賊川市シリーズや
『もう誘拐なんてしない』『館島』あたりに手を出しているんだけど、
(言っとくけど、『誘拐』はそれ自体はもちろん
『謎解き』もドラマ化が決まる前に読んだからね!)
今回は短編集『中途半端な密室』です。
デビュー作で表題作である『中途半端な密室』ほか、
全5編が収録されています。
ということは1編93円くらい。お得。
(帯に『500円でこの面白さ!さーレジに走ろう!』って書いてるし、言っておこう)
日本で、ミステリーというとどうもサスペンス的な要素が強いというか
人間ドラマ的な部分が大事にされると思うんだけど、
東川さんの場合は海外ミステリーを見ているような感覚というか、
純粋に『謎解き』を愉しめます。
加えて、ユーモアの要素が非常に大きく、
日本でこのジャンルをやるのは大変だったんじゃないかなと思います。
事実、どっかのレビューを見ると、
『意味のないギャグ、脱線が多い』とか
書かれてたりもしたし。
やっぱり、日本人の感覚の中で
『死』を扱うジャンルで笑いの要素が多いのは、
特に一般のファンからすると嫌悪感もあるんでしょうね。
犯人の動機とか葛藤を扱わなきゃいけない、みたいな。
名探偵コナンですらそうだからな(笑)
古典的な本格派ユーモアミステリーで、
これだけメジャーラインに進出したのは、純粋にすごいと思います。
短編の方が面白いというか、
これはご本人の得手不得手ではなく
このジャンルの得手不得手だと思うんですが、
短編の方が、やっぱり『ユーモアミステリー』は魅力的だと思います。
個人的には、子供の頃に
もう児童文学とかは読みたくないけど、
文学作品を読むほどの根性はない、って時期に
海外ミステリーに走ってたので、
(自分の場合、ホームズとかじゃなくて
V.ダインとかクイーンとかだったけど…)
どっちかっていうとラノベに近いというか、
『ミステリーとか読んでるんじゃなくて
もっとちゃんとした(便覧に乗るような)ものを読まなくては』と
思っていた節があったのですが、
久々に懐かしい気持ちになりましたね。
本を読むって、何か考えさせられるとか
何かを得るとか、そういうことも大事なんだけど、
純粋に『書を読む時間を愉しませる』というのも、
どちらが上とかではなく、やっぱり醍醐味だなあと。
本格ミステリーの入門編として、
ぜひ小学校の図書館に。
そして個人的には、こういう読み切れるエンターテインメント小説を、
駅のコンビニは置くべきだと思います。
蛇足ですが……
岡山居住経験がある人は、ぜひ読んで、ニヤニヤしてください。
表町商店街とか、天満屋とか、もう、熱いです。