過去との決別(Ⅲ) | SingleLife ~光射すほうへ

社会人。新しい生活。しかし何事もない平穏な生活。

恋愛もした。しかしやはりなかなかうまくいかない・・・。女性不信はなくなったけど、とどのつまり

女性とどうつきあったらよいのかわからない・・・。青春時代に恋愛ができなかったから・・・。

好きになる相手は必ずといっていいほど彼氏が既にいる女性。

好かれるけども、付き合うまでにいかない。いい人で終わってしまう。

しかも「転勤」に邪魔される。もう少し時間があればということが多々あった。

こと恋愛に関しては私はこういう運命なのか・・・。


時々、「カツケン」が「マユミ」と「マナミ」の近況を教えてくれる。

彼女たちの声を聴くことは叶わないがそれでいいと思った。

当時、まだビジネスマンしかもっていなかった「携帯電話」。アナログからデジタルへの移行期に

「カツケン」との連絡用として購入した。彼女たちには教えないようにとあえてした。

これは私の問題であえてそうした。とくにマナミに逢ってしまうといとおしさがおそってきて前に進めなく

なる。そう思ったからだ。


ある日、カツケンからの電話。マユミたちが別荘から巣立ったこと。

マユミもすっかり病気がよくなり、両親からの勘当も解け実家に戻れることになったらしい・・・。

それともうひとつカツケンのマユミへの想いが届かなかったこと・・・。そうか・・・。やっぱりな。

金持ちの気まぐれでは片付けられないよなあ・・・。やっぱりそうだったか。一目惚れだったらしい。

カツケンよくやってくれたよ。いままで!そう言うことしか私にはできなかった。ただありがとう・・・と。


数年たったある日、一本の電話・・・。

知らない番号・・・。

私:「はい?」

男:「~さんですか?」

私:「はい、そうですが・・・。あなたは?」

男:「~マユミさんと今現在結婚を前提にお付き合いをさせていただいてる~と申します。」

私はドキッとした。えっ!なんだ?なんだって!?

私:「えっ!どうしてあなたは私の番号ご存知なんですか?マユミだって知らないはずなのに・・・。」

男:「マユミさんが貴方の友人から無理やり聞きだしました。貴方にどうしても話したいことがあるから・・・と」

私:「そうですか・・・。で私になんの御用ですか?」

男:「実は貴方とぜひ一度会ってお話がしたくて、ご報告したいこととお願いがありまして・・・。」

私:「あなたと私がですか?」

男:「いえ、マユミも同席します。」

そうかさっきそう言ってたもんな・・・。マユミが話したいことがあるって・・・。いかん!混乱している・・・。

マナミは?マナミはどうしている?元気なのか?そんな感情が一気に湧き出した。

幸い私は今、大学時代の友人の結婚式を終えて、長野のホテルの一室にいた。

明日も休みをもらっている。明日なら時間が作れる。

もしかしたらマナミに逢えるかも・・・?封印していた想いが抑えきれなくなっていた。

私:「わかりました。明日であれば時間が作れます。私の都合は明日しかない!あわせられますか?」

男:「こちらからお願いしたことです。あわせます。では~時に。東京の何処何処の何処何処でいかがですか?」

私:「わかります。わかりました。ではまたそのときに。」


あくる日、私は高速をとばして東京に向かった。

待ち合わせの場所、二人は既に到着していて私の到着を待っていた。

マナミは・・・。居ない・・・。居ないのか!


久しぶりと声をかけた。マユミは当時と変わらず綺麗だった。いや、当時以上に・・・。幸せなんだろうなと思った。

用件はあらかた予想していたとおりだった。~月に結婚することになったこと。今のマユミに出会えたのは私の

おかげだから一度あって御礼がしたかった等など・・・。このことはどうしても私に直接会ってご報告したかったと。


私はマナミの近況をただ聞いた。今現在中学1年生。バスケ部に入ったこと。マユミにますます顔が似てきた

ということ。最近反抗期になり始めたこと。いろいろ・・・。


お相手の彼が突然切り出してきた。失礼は承知でお願いがあると・・・。

このお願いは私も予想しえなかった内容だった。


マナミには今後一切連絡・逢うことはしないでくれと彼にお願いされた。

実は逢うことはなかったが、カツケンを通じて何度か電話で話はしていた。

それをマユミはしっていたようだ。

マナミはどうやら未だ私のことをお父さんだと思ってくれていて、彼になかなか懐かないようなのだ。

結婚に反対してはいないらしい。ママが幸せになるなら祝福はしてくれているようなのだが・・・。

そういうことか・・・。

一瞬、マナミに逢えるかもなんて期待してしまっていただけに・・・。私は二の句が告げずただ黙ってしまった。

そこでようやく冷静になった。そもそももう会わないと決めていたのは誰でもなく私自身じゃないか・・・。


私は了承した。それがなによりマナミのためになる。彼女には幼いころ苦労した分、幸せになって欲しい。


私はその場にいるのがいたたまれなくなり早々に席を立った。


「マユミ、よかったな!いい人に巡り合えて。幸せにしてもらえよ。元気でな!今日逢えてよかった。」


・・・とそういい残して・・・。


                                            <つづく>