オペラの旅〜ロンドンにて | オペラ歌手くみバードの、ひたすらオペラな人生

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主催している「ありどおろ座」オペラ団の情報や合唱の練習など音楽家としての生活です。

この頃ヨーロッパ周遊でオペラの旅をする時、初日にロンドンを選ぶ事が多い。

理由は午後に着いてその日の夜オペラが見れるからなのだが・・・

今回、15時半にヒースロー空港に着くから19時開演には間に合うだろうと思ったのがとんでもない事に!

というのは空港で2時間近くも待たされコヴェントガーデン駅に着いたのは10分前。

ホテルまで歩いて10分だから走ってコンシェルジュに荷物を投げ出す様に預けてテアトロまで走る走る。

心臓が飛び出るのではないかぐらい頑張って何故か余裕で間に合ったのだが、

一番前の席なのに普段着よりラフな服装で恥ずかしいったらなかった・・・

という訳でこれからロンドンは要注意だな。

 

ロンドンでのオペラはこの日の「ファウスト」と翌日の「運命の力」。

今回も贔屓の歌手オンパレード。

「ファウスト」のA・シュロット「運命の力」のL・テジエ。

二人共素晴らしかったが特にテジエはこんなに発声のいいバリトンがいるだろうかと驚いた。

発声のいい歌手というのはブレスがいいという事につきる。

そして長年の積み重ねで身体という楽器が鳴り響く様になる。

可笑しかったのは「ファウスト」が始まる前に女性が出てきて、ソプラノが降りた事とシュロットが風邪を引いていますが歌います、と説明した時。シュロットの時に「キャーッ」っと黄色い悲鳴をあげた人がいて笑えてしまった。気持ちはわかるけどね。

 

そして演出に関してはいつも期待していないのだが相も変わらずつまらないものばかりだった。

特に「運命の力」では折角素晴らしい前奏曲を聞きたいのに変な小芝居をやられて興ざめだった。

オペラは総合芸術だがすべてが完璧なものにはなかなか出会えない

我々は歌手なので第一番に声を気にする。

良い歌手がいればそれでとても幸せになる。

それが後に自分の技術を向上させることにつながるから。

 

写真はロンドンの電話ボックスの前で☎️