チケットノルマについて | オペラ歌手くみバードの、ひたすらオペラな人生

オペラ歌手くみバードの、ひたすらオペラな人生

主催している「ありどおろ座」オペラ団の情報や合唱の練習など音楽家としての生活です。

この頃チケットノルマに関しての意見とかを書いている人がいて、
もっともらしいんだけど、ちょっと私の意見は違うんだなあ。
そりゃノルマがないのは理想ですよ。
でも一部の世界でしか通用しないクラシックでお金のかかる舞台制作をして
生活が出来るほどチケットが売れる訳ないじゃないですか?

うちはチケットノルマがありますよ。
歌い手が気持ちよく歌える様にお世話もしていますからね(技術的な事も補佐している)。


私自身は初めてノルマを持ったのは大学院の定期オペラでフィガロの伯爵夫人をやった時です。
学生だから無理に売らなくてもいいけれど、売れないと文部省から次の予算がおりないかもって言われるから頑張ってと当時1500円位のチケット100枚渡されました。
何で私が売らなくちゃいけないの?と怒っていた人もいましたが、
友人も後輩も沢山いた私にはあまり苦ではありませんでしたね。
結局120枚程売れたでしょうか?
みんなが私のお客様になってくれた・・・ってとても嬉しかったです。
翌年コシのフィオリディリージやった時も120枚売りました。
親の力も別に借りませんでしたね。

それからは極力ノルマは持つことにしました。
自分の歌を聴いて欲しい、お客様を増やす為に人のお世話もする。
そういう気持ちが我儘で狭い根性の私を少しは成長させた気がします。


私にとって一番重要なのはお金を貰ってもやりたくない役、歌いたくない歌は歌わない、
事なんです。
若い時、ドイツリートを評価されてドイツにもただで勉強させてくれると言われたけど断った事があります。日本歌曲でもそうでした。小器用に出来るから人が聴いたら涎が出そうないい話を全部断ってきました。
私はイタリアオペラがやりたかったです。
それもソプラノだから主役しかやりたくありません。
でもメジャーでもなく私の為にホールがいっぱいになる訳でないのだから自分のお客を呼ぶしかないでしょう。むしろ呼びたいです。
私にとってはどう歌うかが非常に問題なんです。
イタリアオペラが歌えるのなら借金してでもノルマを持ちたいです。
もう歳だからだんだん無理になってきてますけどね(笑)


ノルマを持たないなんてよく言えると思います(言い過ぎ?ごめんなさい)。
制作者にただで働けって言ってるものです。
もちろんボッタクリもいるかもしれませんね。
今まで会った事はないですけど。


ああ、ちょっとせいせいしました。
昔から言いたい事だったんです。
ノルマを持たない事が正義みたいに言う人がいて違うなと思っていました。
もっとうまく言えたらいいんですけど誤解する人もいるかもしれませんね。
でもいいです。もういい年だからボケババアが何か言ってるなと思えば?
その代りまだ声はでるわよっ(笑)