EP6第12章:竜の城/第2話:勇者と魔神 | 大福のイルーナ戦記

大福のイルーナ戦記

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 EP6第12章 竜の城 

ミッション名:勇者と魔神
---闇の城・深冥の巣窟---

サウロ「フゥ、ここが城の最上階か。嫌な雰囲気をひしひしと感じるよ。」


リヒト「ええ、私も感じています。なにが襲い掛かってくるか分かりません。皆さん、周囲に警戒してください。」


[ヨシュカが冒険者に近づき、耳打ちする]


ヨシュカ「…闇竜フィンスダンの姿が見えませんね。どこへ行ってしまったのでしょうか…?」


冒険者[考えるエモート]


[地鳴りがする]


リヒト「現われたか!しかし一体どこから…!?」


「よう、随分いい格好になったじゃねえか リヒト」


リヒト「…なんで。」


リヒト「なんで君がここにいるんだ…。ケルトイ!」


サウロ「ケルトイ、その姿は一体…!?」


ケルトイ「…なんだ、あんたも来てたのかよ。この格好?あぁ、こいつはスピカと天竜ウラドゥームからの施しもんさ。長寿の竜と神の力を受け継いだ俺は神に等しい存在になったんだよ。」


リヒト「神?神だって!?」


ケルトイ「笑っちまうよなあ。神を憎んでいた俺がどういう訳か神になっちまうなんて…。けどまあ、あいつらのような姿にならなくてよかったぜ。あんなのと同じにされるなんて俺は死んでもごめんだからな。」


サウロ「ケルトイ…ピュリースがここにいたからもしかしたら君もと思っていたけれど…。あの子は一緒じゃないのか?」


ケルトイ「…あの子じゃねえ、スピカだ。スピカは俺の中にいる。」


サウロ「…彼女は、救えなかったのか。いや、君が手に入れた神の力というのはもしかして…。」


ケルトイ「スピカと天竜は、俺に力の全てを託してくれた。俺はあいつらの為にも、この力で世界を無に還す!スピカは最後まで人の為に尽力した。それに比べて、人間は、神は!相手の都合を考えず他人を傷つけ、次から次へと過ちを繰り返す。挙げ句の果てに、お前は神に命じられるまま自然と共に生きる竜を大地へ縛りつけ、自然の秩序を破壊した!遅かれ早かれ、この世界は終わりだ。それならいっそ、俺の手でこの世界を白紙に還す…!」


ヨシュカ「白紙に還す…!?」


冒険者[考えるエモート]


ケルトイ「俺が手に入れたのは記憶を司る力。記憶を与えるのも、奪うのも思うがままだ。俺はこの力でこの腐敗した世界の記憶を全て吸収し、この汚れた世界を無に還す!」



リヒト「ケルトイ、その考えは間違っている!神の力を悪用するな!この世界はまだ立て直せる!竜を封印する事さえできれば、加護を失ったこの世界もまた昔のような美しい世界を取り戻せるはずなんだ!」


ケルトイ「その考え自体が間違ってるんだよ!」


ケルトイ「竜は自分の縄張りを守り、モンスターたちの動きを抑制していたんだ!だけど、竜が消えた今じゃあ、モンスターがせきを切ったように暴れまわっている。それでもお前は自分の行いが正しいって言えんのか!」


リヒト「そんな…!私は今まで、神が正しいと思って…。」


ケルトイ「…リヒト、これは絵本の中の物語じゃあないんだ。竜は悪じゃない。お前は勇者になれない。お前なら分かるだろう?これ以上、竜たちを傷つけるな。そうしたら俺だって…。」


リヒト「…違う!違うぞケルトイ!君の言っている事は全て嘘だ!ソフィス様は竜を封印すれば、世界の平和は守られると言っていた。皆も…スピーシア様もきっとそれを望んでいる!私は神の、正義の名の元に、悪を滅ぼす!そして私が、この世界の勇者になるんだ!」


ケルトイ「…お前は昔からそうだったな。夢みたいな話が大好きで、考えが幼稚で単純。神に英雄と担がれ浮かれやがって…。」


ケルトイ「…もう俺たちは昔には戻れないんだな。」


ヨシュカ「ケルトイ…。」


ケルトイ「上等だ!俺の邪魔をするなら、先にお前から始末してやる!」


リヒト「残念だよケルトイ。君に剣を向けたくはなかった。」


ヨシュカ「どうしよう…ボクたちはどちらに味方すれば!?」


[選択肢]
①冷静になれ
②落ち着け


[①も②も同じ会話]

サウロ「危ない!皆、避けろ!!」


ケルトイ「フィンスダン!」

フィンスダン「ケルトイ、目の前の敵に集中せよ。異分子の相手は私が受け持つ。」

フィンスダン「人間よ。我が同胞、ケルトイの邪魔はさせぬ。お前たちはこの闇竜フィンスダンが深淵の闇に葬ってやろう!」

ヨシュカ「冒険者さん…。」


[選択肢]
①ここは戦うしかない
②…隠れていて


[①も②も同じ会話]

ヨシュカ「……。」

サウロ「こんな事に巻き込んでしまってすまない。いくよ!」

[闇竜フィンスダンと戦う]

フィンスダン「グ、グオオオォ…。」

サウロ「こっちはなんとかなりそうだね。リヒトの方は…!!」

ケルトイ「ハッハッハ!さっきまでの威勢はどうしたよ、勇者様ぁ!!」

サウロ「そんな、リヒトが力で押されている!?」

ケルトイ「ハッ!俺は受け継いだ力を自分のものにできるよう、時間の許す限り鍛えた。力を過信し、振り回すだけのお前に負ける訳ないだろ!これで、終わりだ!」


リヒト「くっ…!」

[眩い閃光が辺りを包む]


サウロ「な、なにが起こったんだ…ッ!?」


ヨシュカ「ケルトイが…!」


ケルトイ「ぐっ、あ…お、お前は…!!」

アルマス「我が名は天神アルマス。天空の神にして、イルーナ12神の1柱…」


リヒト「イルーナ12神!?何故、天界へ戻られた貴方がここへ?イルーナの危機を察し、馳せ参じた。神と竜の力を得し者よ。

そなたは人間の身でありながら、人智を超越した力を手に入れ、竜たちと結託しこのイルーナを脅威にさらした。人理に背いたその罪、身をもって償ってもらうぞ。」


リヒト「アルマス様…!」

ヨシュカ・サウロ「……。」

ケルトイ「は、はは…ハハハハハッ!!綺麗事を並べて満足か?神と仰がれるのがそんなに心地いいか?一度は自分で決めたルールを捻じ曲げてまで、自分の信仰を高めに来た独裁者が!」

リヒト「…!」


ケルトイ「知っているぞ、お前のしでかした暴挙の数々を。お前は神々の頂点に立ちながら義神オブリガウスと戦神オリティウスの争いを止めなかった。それどころか、その戦争に乗じて、秀でた力を持つ人間神への信仰を妨げる可能性を持つ実力者たちを、刺客を使って次々に殺めていった。その証拠に、お前は戦争に参加しなかった勇の女神グリーシアを神の地位から降ろした。自分の地位を確立させる為に、意に沿わない奴を排除したんだ!」


アルマス「……。」


ケルトイ「リヒトに竜たちを封印するよう指示したのは、竜から余計な知恵を与えられぬよう、自分に都合がいい完璧な箱庭を作り上げる為だろう?あわよくば、戦争で生き残った俺やリヒトが竜と相打ちになる事を望んでいた。違うか!?」


アルマス「…余は、とんでもない思い違いをしていたのだ。この世は全て、創造主である余の思い通りになるのだとだが、現実は違った。スピーシアは自害し流された涙から様々な人種に変化し世界は余の思いもよらぬ方向へと進み始めた。余は気付いたのだ。世界は支配するものではなく、見守り、愛でるものだと。その事に早く気付いていれば、スピーシアは死なず、そなたもこのような事を考えなかったはず…」


ケルトイ「やめろ!今まで散々好き放題しておいて、悟ったロを叩くんじゃねえ!どれだけの人間がお前に助けを求めたと思っている?どれだけ多くの声を無視した?お前はそうやって表面上で反省した気でいるが、弱者をあざ笑い人を蔑む本質は変わらないんだ。本当の事を言えよ。自分の手のひらで人間が戦い、苦しむ姿はさぞかし滑稽に見えただろう?なあ!?」


リヒト「いい加減にしろケルトイ!世界を創造した主神がそんな事をする訳がない。嘘にしても度が過ぎる!」


ケルトイ「……そうかよ。」


アルマス「これでそなたの野望も終わりだ。さらばだ魔神ケルトイ!」


サウロ「なっ!?」


ケルトイ「フィンスダン!?チビ共も!?」


フィンスダン「ここは退け!お前がここで倒されてしまえば、我らの悲願は果たされない!」


ケルトイ「だ、だけどそれじゃあお前が…!」

風竜の子供「ケルトイいこー!」

風竜の子供「ここはフィンスダンおじいちゃんにまかせてー。」

フィンスダン「いけ、ケルトイ!そして己が信念を貫け!!」

ケルトイ「…くそぉ!!」

[ケルトイと風竜の子供たちが引く]

フィンスダン「ケルトイさえいれば、我らの願いは果たされる。お前たちは世界が変わりゆくさまを指をくわえて見ているがいい。ハハハ、ハーッハッハッハッハッ!!」

[眩い光が発せられ、闇竜フィンスダンが封印される。]

アルマス「…逃がしたか。」

リヒト「天神アルマス様、協力していただきありがとうございました。」

アルマス「余が力を貸せるのはここまで。これで竜の大半は封印した。あとはあの魔神を残すのみ。そして彼は、リヒト勇者であるお主が倒すのだ。」

リヒト「私が…ケルトイを。」

リヒト「分かりました。必ずやこの私がケルトイを倒してみせます!」

ヨシュカ「リヒト…。」

サウロ「……。」

[アルマスが天界に戻る]

リヒト「ケルトイをこのまま放っておく訳にはいきません。サウロさん、もう一度協力してケルトイを…いや、魔神を打ち倒しましょう!」

サウロ「…すまないが、俺はこれ以上協力できない。」

リヒト「な、何故ですか!?」

サウロ「確かにケルトイはこの世界を滅ぼす気でいる。絶対に、誰かが止めなければいけない。」

リヒト「だったら…!」

サウロ「だが、ケルトイの言っていた事も事実だ。あの主神は改心したと言っていたが、結局自分で掟を破り、この場へ降臨した。俺はあの神の言っている事を信用できない。この世界はもしかしたら、一度やり直した方がいいのかもしれない。そう思うと俺は…。だから君に協力はできない。俺は、勝利したどちらかの考えに従うよ。」

リヒト「…分かりました。では、後は私一人でケルトイを止めてみせます!」

[リヒトがその場を去る]

[記憶の碑石が出現する]

ヨシュカ[記憶の碑石を収納する]

ヨシュカ「…ズルいですね。重要な決断を他人に委ねるなんて。」

サウロ「大人はズルいんだよ。ハハハ…俺を卑怯者と笑うかい?」


[選択肢]
①一人じゃ決められない事もある。
②笑わない


[①の場合]
冒険者[頷くエモート]

冒険者[呆れるエモート]

サウロ「…ありがとう。」

---ミッションが終了しました---

サウロ「俺はこれ以上、彼らに関わる事はやめるよ。天神アルマスを見ていると、グリフィスの一件がチラついてしまうんだ。彼が本当に、今までの行いを悔いているとしても、心が拒んでしまう。君がリヒトについて行くのなら、俺の代わりに2人の行く末を見届けてくれないかい?」

アインザーム「どうやらこの城の竜は封印できたようだな。皆無事でなによりだ。あの副神…ピュリースといったか?あやつはなかなかの強敵だった。奴らの攻撃を防ぐので精一杯だったのだが…。戦いの最中、突然ピュリースがなにかを察知したようにどこかへ去っていったのだ。一体どこへ行ったのだろうか…。」

ヨシュカ「あんなボロボロな身体で、ケルトイはどこへ向かったのでしょうか?ケルトイにとって安心できる場所…。うーん、どこでしょうか?」