2016.01.07 ミケランジェロの暗号
著者ベンジャミン・ブレック ロイ・ドリナー 訳者 飯泉恵美子
英題 THE SISTINE SECRETS Mickelangelo’s Forbidden Message in the Heart of the Vatican
早川書房 2008年12月20日初版印刷 ページ数398頁 価格 3000円+税
サイズ 約 152mmx212mm ハードカバー
評価 100点満点で98点 くらいか
とても、すばらしい本。 システィーナ礼拝堂には、新約聖書の聖人は描かれていない
旧約聖書の預言者、巫女たち天地創造のシーンが描かれている
その理由、完成までの逸話、ミケランジェロの生涯を描いている。
読み進むと興味のそそられる知識がちりばめられている。
いつも思うが、英語の本を日本語に訳するのは本当に難しい。
第一編 はじめに、神は天地を創造された
ローマには元は異教徒のエトルリア人が住んでいて、ネクロポリス(死者の町)広大な墓地
であった、その墓地の番人は女神ヴァティカであった。ヴァチカンの名前の由来は、ヴァチカに
由来する。という節もある。
教皇シクストゥス4世は旧約聖書の「列王記上」6章2節にあるソロモンのイェルサレム神殿通り
の礼拝堂をバチカン建てた。 それがシスティーナ礼拝堂である。
宗教家の説明によると旧約聖書と新約聖書、ヘブライ聖書と福音書、
ユダヤ教とキリスト教それぞれに矛盾がないことを実証するため とされている。
ミケランジェロの生い立ちについて、幼少期は大富豪メディチ家のロレンツ、のもと
立派な邸宅に住まわせられ、実の息子のように育てられる。
その当時師と仰いだのは、マルシオネ・フェチーノとジョバンニ・ピコ・デッラ・ミランドラ伯爵
であり、ミケランジェロはプラトンの思想と神秘主義を統合させた新プラトン主義を
二人の教師から吸収した。
さらに、ユダヤ教の奥義や神秘的な教えからなるカバラの影響を受けた。
イタリアの他の都市では、「あのフィレンツェ的性癖」といえば、同性愛者のことであった。
ミケランジェロは女をモデルにしなかったし、女の体にも興味をいだかなかった。
その後、ユリウス二世にシスティーナ礼拝堂の天井絵の制作依頼を受ける。
第二編 システィーナ礼拝堂のようこそ
預言者ゼカリア
ゼカリアは慰めと救済の預言者である。
第2神殿の堕落しきった祭司達に対し神を忘れた汚れた行いをやめなければ襲ってくる敵によって
聖域の扉はこじ開けられ神殿が焼け落ちるであろうと内容の預言をした。
反逆児ミケランジェロは教皇が望んだ大切な場所にキリストを描かず、ヘブライの預言者を描いた
ユディトとホロフェルネス
「ユディト記」 で古代ユダヤの美しい寡婦ユディトがイスラエル滅亡をもくろんでいたアッシリア軍の
将軍ホロフェルネスに秘密の情報を打ち明けるとして取り入り泥酔したホロフェルネスの首を本人の
剣で切り落とし、侍女のペトリアと持ち帰り、城壁にさらした。
そのユディトとペトリアがホロフェルネスの首を皿に載せて運んでいる姿を描いている。
ハマンの懲罰
「エステル記」によると、ペルシャ王が最も信頼を寄せる大臣ハマンが全イスラエル人を殺すことを知った
吸虫のイスラエル美人エステルが大様にハマンの邪道な陰謀を告げ、ハマンを処刑しにイスラエル人を
救ったと言う聖書の記述をもとにした絵画。キリストの磔刑を予感させると説明されている。
しかし、これがシスティーナ礼拝堂の天井画としてふさわしいか疑問が残る。
巫女
デルフォイの巫女、クマエの巫女など描かれている巫女の肉体は、男性の肉体である。
顔だけが女性である。どうも、男色の傾向が見える。
天井の中央部
アダムとイブの禁断の果実で、描かれている木は、リンゴではなくイチジクである。
第三編 天井の彼方へ
システィーナ礼拝堂の壁画 「最後の審判」 では、キリストは復活の時、栄光の玉座に
座っていなければならないのに、立ち上がっている。
この絵でも、女性は男性の肉体を持った女性である。
細部にキリスト教の教えとずれた描写がある。
最後に
読み進んでいる内は、そうかそうかと思っていたが、
読み返してみると、そんな大げさなことではなさそうにも思う。
しかし、カソリックの総本山バチカンしかも
システィーナ大聖堂の天井画と、最後の審判の壁画が、純粋にカソリックの精神で
描かれたと言いきれず、
ユダヤや新プラトン主義の考えが随所に現れていると言う事実だけでも
驚きであった。
