トムヤムヌードル
ふるさとの最後の夜に朝帰りした長男と段ボール積む
自転車のサドルを静かに撫でながら空気を入れる お守りのように
ゆらゆらと引っ越しトラック待つ間テレビが叫ぶ異国の戦争
耐えれずに萌出る光があるように息子は巣立つはじまりの朝
「片道」を選ぶんだよと言ってからああそうだったと一秒、止まる
なぜかしらいつもこんな時にだけ降りだす雨が私にはある
お隣の保育園から聞こえてくるしゃっきりそろったメリーさんのひつじ
京都行きバスに乗り込む長男は振り返らずに右手を上げる
天ぷらの揚げ音がふと変わるように息子が最近やさしくなった
荷造りの気合いが切れかけてきたら張り手をたのむ!トムヤムヌードル
4首目 NHK短歌2023年4月号 短歌写真部 掲載
9首目 第14回 角川全国短歌大賞の題詠大賞
じゃあまたね👋
今、ここが天国。