昨年の結社の全国大会で行った宮崎は、ふるさとの北九州から車で行ったこともある懐かしい土地だった。悲鳴や怒号や殴打音の響いた九州の18年間のうち、数少ない楽しい思い出があるところだった。父も母もそのときは笑っていた気がする。
遠く離れた大阪でわたしはささやかに家族をしている。けれども九州のあちこちにまだ子供のころの私のカケラが落ちている気がして、それを探しに行ったのだった。そこで…
青島
早朝の湯気をまといて鳥たちと一期一会の空をみている *
青島へ迎えに来たが四十年前の私はもういなかった
太陽として照り続く歌たちの影でわたしは頭髪を抜く *
生き抜いてしまえば長き連作の一片 秋がもうじき終わる
駆けてきた園児の束をじゅっと抱く短歌なんてどうでもいい *
もし夢がカメムシみたいに死んだなら私は安堵するのかな
しまむらのジャージ数枚買い足して娘へ譲る秋の口紅
今日ならば長いはしごが掛けれそう幼きころの月に出会えり
* 結社誌不掲載
