あたたかなちず
やさしげな風の柳の指先が曇りガラスに螺旋をえがく
シーズーのせなかのもようはせかいちずせんそうのないあたたかなちず
部屋中の ヤニの臭い よみがえる 水仙の香 若き日の母
自らの外に答えを探したら一生見つからないことがある
早朝の側溝掃除の砂袋には札束は棄てられてない
き、をひとつ「いる」のあいだに放り込む「生きる」は少し食い縛ること
胃カメラをグブリ飲むとき思い出す強制給餌のフォアグラたちを
干し芋の干される前の芋だって干されるなんて知らなかったさ
ふるさとは遠く遠くの光なりドライジンジャー紅茶に入れる
踏まれたら突然変異で葉が増えたそんな私になれそうな春