かなり爪が減ってしまった。ここ数週間は短歌関係のお出掛けが続いて、うれしい悲鳴ではあるんだけど、もともと野山育ちの私はたくさんの人に会うと反動がものすごい圧力で帰ってくる。そして脳がぼわんぼわんする。


 大都市に行くのは移動自体がかなり勇気のいる修行で、それは冬の海で行水するに等しい。


 (玄米でデトックスできる時は、まし)

 周りの歩行者がいろいろな匂いと色を放ちながら歩いていく。視線の前には不規則な軌道で行き来する人波。建物は曲線でできていて視界が安定しないし、あっちやこっちで音楽がガチャガチャ流れている。

 助けてくれる大きな木々も、鳥の声もしない。風が変な匂いがする。だんだんこの辺から脳が膨らんだみたいにおかしくなる。

 それに加えて人工の光の点滅、楽しそうな声に混じって、愚痴、文句、不満の音が混じって聞こえてくる。声には臭いもあって、それが鼻腔に粘りつく。

 これを例えれば、

玉子丼
バナナチョコパフェ
ジャージャー麺
クラムチャウダー
ネギマグロ

 全部をボウルの中で混ぜ混ぜして一気に食えといわれるぐらいしんどい。だから対処するには、

サングラス
アロマオイルつきのマスク
イヤホン
お気に入りのおやつ

 これが必須。全部を身に付けると完全に映画「透明人間」に近い状態。あやしい。しかも歩きながら何か食べる変なおばちゃんである。

 自分で対処法がだいたい分かっているから、いそんな装備を用意して、それでも防御できないところには行かない。それがワガママと思われないなら、人と会うのも最高。ところが周りの理解を得るのは時間がかかる。

 時々、周りの人がよかれと用意してくれた静かな場所が別の理由でしんどかったり、相手の期待する反応をできていない自分がとても情けない。

 正直、いくつかの短歌関係の場所は、悲しいかな、出会う人は大好きだけれど、移動そのものが苦しいので、そろそろ回数を整理して、なるべく身を引いていこうと思っています。

 昨日の歌会では、歌会会場自体は大丈夫なんだけど、その後の飛び込みで入った場所の臭いがダメで、何度か外に空気を吸いに行った。参加者の方々ももう慣れているので、私の顔色見て「ぼうちゃん空気吸っといで」と声かけてくれて、ほんまに助かりました。

 小学校の時に頭痛や腹痛で早退したときの、川辺の菜の花の道を急に思い出して、ひとりノスタルジーな深呼吸だった。当時よりはましになったな、とは思うけど、自分の症状を説明できない子供は、きっとつらいだろうなと思う。

 そんな風に思いつつ歩いていると朝、こんなかわいい新芽に出会った。


 あるがままを受け入れて、

 新しい芽を出せば、いい?



・干し芋の干される前の芋だって干されるなんて知らなかったよ


じゃあまたね👋

今、ここが天国。